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2006.08.21

若冲のここが好き! その五 スーパー絵師Jakuchu

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三の丸尚蔵館にも“プライスコレクション展”を開催中の東博にも、かなりの外国人が押しかけている。とくに若年層の男仲間やカップルの鑑賞態度が熱い。目立つのはアメリカ人だが、中国語を喋っている人(中国人?台湾人?)も結構みかける。予想以上の速さでJakuchu絵画の衝撃が世界中に広まっているようだ。

昨年の“北斎展”でも外国語があちこちで飛び交う光景がみられたが、既に確立している北斎ブランドを若い世代を中心に支持されている若冲ブランドが急速に追い上げるかもしれない。イタリアでは今、ルネサンスの巨匠、ダヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエロよりカラヴァッジョの人気が高いように、海外ではいつの日か若冲が日本人絵師のトップに立つ可能性は充分にある。

若冲の作品には稀代のコレクター、プライス氏ならずとも、海外の美術愛好家の目をかっと見開かせる衝撃の作品がいくつもある。まずは、海外の人には馴染み深いモザイク画のような桝目描き。拙ブログでも04/11/2905/3/7で取り上げた。今回、プライスコレクション展にも“鳥獣花木図屏風”が展示されている。

右は静岡県美が所蔵する“樹花鳥獣図屏風”(右隻の部分)。モザイク画といえば、イコン画というようにすぐ宗教画を連想する外国人にとって、日本人以上にこの桝目描きから強いインパクトを受けることだろう。若冲のモザイク画も綺麗な花が咲き、白象や鳳凰のまわりに黒豹や鶏など沢山の生き物が集う極楽浄土の世界を描いたものだから、宗教画という点では同じ。だが、黄金の輝きで人々にイエスの偉大さを植えつけたモザイク画より、観る者を生き物の楽園に誘い、α波をいっぱい放出させてくれる若冲の桝目描きのほうがずっと楽しい気分になる。

点描画ですぐイメージするのがシカゴ美術館にあるスーラの代表作、“グランド・ジャット島の日曜日の午後”。この絵は門外不出なので、現地に出向かなければ一生目にすることはない。いつか実現しようを思っている。若冲の絵の中にも、水墨の点描画がある(拙ブログ05/3/27)。この絵を観たときの衝撃はいまでも忘れならない。スーラの点描法では陽の光をあびた明るい自然の風景を保つために、小さな色の点を丹念に並べのに対し、若冲は石燈龍の質感や陰影を表現するため、墨の点々を用いた。あの超観察力がこの技法を生み出したのだろう。この点描は中国の山水画の米点描(べいてんびょう)を参考にしたようだが、中国画の技にも精通していたことが窺がえる。

今回、“動植綵絵”のなかで最も気に入っている真ん中の“菊花流水図”(拙ブログ6/17)でちょっとした発見があった。琳派狂いなので、左右に流れを変え、手前にほうにくるにつれて大きくなる流水のフォルムが琳派で馴染みの流水文と似ているだけでうっとりしてしまう。驚くのはふぐ刺しみたいな菊の花びらが根無し草のように宙に浮遊していること。このアール・ヌーヴォー風というかサイケ調の感覚は何なのか!?若冲の底知れぬ画技に完全にKOされた。

この絵を見た後、見えぬ糸で結ばれたようにある絵と遭遇した。それは損保ジャパン美で開催中の“ポップアート展”(9/3まで、拙ブログ7/13)にでていた下のリキテンスタイン作、“ふたつのかたち”。背景になっている部屋の角っこの前に描かれた連続した円や重なった三角が空間に浮かんでる感じが若冲の絵と似ている。“二つの絵は本質的には同じ画面構成だ!”と心に中で叫んだ。若冲の絵がポップアートの旗手、リキテンスタインの絵とコラボしているとは思いもよらなかった。若冲、恐るべし!!

拙文“若冲のここが好き!”にお付き合いいただきまして有難うございます。5回でひとまず終わりにいたします。若冲の絵とはこれからも長く向き合っていきますので、また先で思うことがあれば書き足すことにします。

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