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2006.07.08

伊藤若冲の動植綵絵 その四

396三の丸尚蔵館で開催中の“花鳥展ー愛でる心、彩る技”は今日から4期がスタートした(8/6まで)。

若冲の“動植綵絵”にもワクワクするが、今回はこれより期待値の高い作品が2点ある。若冲の“旭日鳳凰図”と酒井抱一の“花鳥十二ヶ月図”。若冲7点と抱一の傑作。こんな贅沢な展示があろうか!

“動植綵絵”は“老松白鳳図”、“向日葵雄鶏図”、“大鶏雌雄図”、“群鶏図”、“池辺群虫図”、“貝甲図”の6点。“老松白鳳図”の隣に右の“旭日鳳凰図”(部分)がある。今回は鳳凰図2点、鶏図3点、そして図鑑タイプの小動物、昆虫、貝甲が2点というとりあわせ(全30点のグループ分けは拙ブログ06/3/28)。左に展示されている2点のほかは、鳳凰、鶏を中心に据えた花鳥画であるが、鳥のポーズや姿態をみていると人物を描いた肖像画のようにみえてきた。“群鶏図”はさながらレンブラントらがはじめた集団肖像画。

右の“旭日鳳凰図”は“皇室の名宝展”(99年、東博)で見て以来。あの時も大変感動したが、また、この絵を見られた幸せを噛みしめている。若冲の彩色画のなかでは一番惚れ込んでいる絵である。大げさにいうと、この絵をきっかけにして、若冲にのめり込んだといってもいい。全体図ではこの絵の素晴らしさが伝わらないのであえて、部分図にした。

背中の茶色の羽根、胸のところのうすピンクの羽根、そして首まわりと頭の後ろの白で縁どられた青い羽根がなんともゴージャス!そして、口ばしととさかの赤の輝き。鳳凰という鳥にふさわしい凝りに凝った華麗な描写である。若冲は中国画にでてくる鳳凰をみて、“どうせ神話上の鳥なのだから、とびっきりお洒落でうっとりするような鳳凰にしよう。そのほうが見る人も喜ぶ”と思ったのかもしれない。そのイメージを形にする技をもってるのが若冲の凄いところ。鳳凰とともに惹きつけられるのが様式化された白い波濤。惜しむらくは、左にいる鳳凰の存在感が薄いこと。尾っぽの途中が岩に隠れて切断され、全体の姿が一見してつかめないのである。右の鳳凰だけにしとけば、画面がスッキリして、超傑作になったのだが。

鶏の集団肖像画、“群鶏図”にも目を奪われる。ここに出てくる鶏は“向日葵雄鶏図”や“大鶏雌雄図”の鶏とは羽根の描き方が全然ちがう。色数はあまり変らないが、羽根一枚々のデザインがバラエティに富み、ファッションショーのモデルが着ている衣装を見ているよう。茶色の羽根にもいろいろな柄があるが、よく目立つのが白と黒の組み合わせ。鱗模様であったり、矢印形のまだらとか、先端だけ黒、あるいは生え際は白であとは黒とか。他の絵ではあまり感じなかった黒の美しさがここにはある。一番豪華な姿をしているのは中央で左をむいてる鶏。薄茶とピンクがかった羽根はふさふさした感じで、高価な毛皮のコートを着た貴婦人のようにみえる。

酒井抱一の“花鳥十二ヶ月図”は花鳥画では名画中の名画。昨日も書いたが、構図、色、申し分ない。とくに赤が本当に美しい。抱一は赤を効果的に生かす描き方を熟知している。椿、牡丹、柿。見てのお楽しみ。

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コメント

いづつやさん、こんにちは
いづつやさんの熱がこちらにも伝わったくるような熱い文で、私も記憶が蘇ってきました。願わくば、もう1回行きたいなと思っていますが果たしてどうなるか?
プライスコレクション展の若冲も凄いのですが、「動植綵絵」の見事さ(絵絹の質の高さ、絵の具の発色の良さ)を実感できた今回の展示でした。

投稿: アイレ | 2006.07.15 18:44

to アイレさん
ワールドカップが終わりましたので、絵画ネタはこれから全開でしょうか?
ワールドカップのときだけのにわかサッカーファンですが、楽しく読まさ
せてもらいました。

若冲の動植綵絵は4期まできちゃいましたね。今回はこれにプラス旭日
鳳凰図。彩色画では旭日鳳凰図が一番好きで、実はこの公開をずっと待っ
てたんです。また会いたいと。ですから大変喜んでます。

若冲の彩色画はだいたいみていますが、色彩の輝き、装飾性の点で群を
抜いているのは“旭日鳳凰図”、“動植綵絵・群鶏図”、“釈迦三尊像”
です。色だけで絵の価値がきまるわけではないのですが、私は形より色が
好きなものですから、今回ベスト3の2点をみれて、最高の気分です。

しかも、酒井抱一の名画、赤が美しい“花鳥十二ヶ月図”もでているのです
から、たまりません。抱一といえば、8/3~24、ホテルオークラで行われ
る“アートコレクション展”に花鳥画の記念碑的傑作“四季花鳥図屏風”
(京都、陽明文庫)が展示されます。抱一の花鳥画も今年は当たり年で、
花鳥画のベスト3といわれる“花鳥十二ヶ月図”(三の丸尚蔵館)“四季花
鳥図巻”(東博)、“四季花鳥図屏風”(陽明文庫)の2つがみれます。
ご参考までに。

投稿: いづつや | 2006.07.16 11:13

こんばんは。

レンブラントとはこれまた面白い見方ですね。
いづつやさんのそういう視点がとても参考になります。

そうそう、おけはざまさんとばったり遭遇しました。
8月になったら暑気払いでもいたしましょう。

投稿: Tak | 2006.07.18 23:53

to Takさん
4期がはじまった日はでかける前に隣の方と今日はTakさんと会うかも
しれないねとしゃべってたんです。

動植綵絵の公開も早いものでもう残り6幅になりましたね。彩色画の
最高傑作ですから、見ごたえがあります。若冲の遊び心に勝手に
イメージを膨らますのは楽しいですね。絵画は自由にみないとつまら
ないですから。
8月の暑気払い、企画していただけると楽しみがまた増えます。

投稿: いづつや | 2006.07.19 17:59

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