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2006.07.05

菱川師宣記念館

426川村記念美術館のあと、内房総、鋸南町(きょなん)にある菱川師宣記念館を訪問した。

ここは、前回の川村行きの際、連チャンで回る予定であったが、想定外の交通渋滞に巻き込まれ、入館時間に間に合わなくなったため、訪問を先延ばしにしたところ。記念館は保田(ほた)漁港から近く、国道127号線沿いの“鋸南道の駅”のなかにある。

菱川師宣が描いた浮世絵の代表作はだいぶ観てきた。東博では有名な“見返り美人図”、“歌舞伎図屏風”(重文)、“よしはらの躰”。ここでまだお目にかかってないのが“北楼及び演劇図巻”。ずっと待っているのだが、なかなかでてこない。出光美術館にもあのぽっちゃり顔の肉筆美人画や江戸の町や遊郭を描いた風俗画がある。“秋草美人図”、“遊楽人物図貼付屏風”、“江戸風俗図巻”、“遊里風俗図”。弟子の師平による“春秋遊楽図屏風”も逸品。

また、静嘉堂文庫で観た藤の下で綺麗な着物に身をつつんだ数組の男女が踊りや食事に興じる場面などが描かれた“十二ヶ月風俗図巻”も印象深い。菱川師宣の絵はなめらかな線で生き生きと描かれた美人画だけかと思っていたが、MOAには岩佐又兵衛の作風をちょっと髣髴させる“大江山物語”のような説話物もあった。大江山に住む鬼の棟領酒天童子が源頼光等に退治される話しを絵画化した墨摺りも忘れられない。そして、昨年7月の大谷コレクション展に出品された“元禄風俗図”(拙ブログ05/7/17)もよかった。

師宣の生地に建てられた記念館なので、そこそこの作品は展示してあるかもしれないが、まあびっくりするような絵には出くわさないだろうなと踏んでいた。はたして、予想通りの肉筆画や版画だった。興味深くみたのが、師宣が気楽な鑑賞用、絵手本として描いた“雑画巻”。猿、貝と鼠、天女と雷神などいろいろな画題がでてくる。“江戸風俗図巻”もあったが、これは菱川派とあるから弟子たちによる工房作。

収穫は東海道の道のりを描いた道中名所絵図ともいうべき折本、“東海道分間絵図”。作者である地誌図の大家から版下を依頼された師宣は、図ばかりでは楽しみが薄いので、風俗を加えて美しくしたら、女子供も喜ぶのではないかと提案すると、じゃそれでいこうとなったらしい。確かに観てて楽しい名所絵図である。もうひとつ、ここを訪問してよかったな思ったのは、右の“築山図付庭尽”のような絵本をいくつも見れたこと。師宣は絵づくしの絵本を沢山描いているが、これはその一つで、様々な庭の図を集めたもの。ほかには“美人絵づくし”とか“四季模様づくし小袖雛形”などがある。

一度は行ってみたかった菱川師宣記念館。浮世絵の生みの親、師宣が生まれた保田に足を踏み入れたことは浮世絵好きとしては感慨深いものがある。

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