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2006.07.13

ポップアート展

432損保ジャパン美術館で“ポップアート展”(9/3まで)がはじまった。

現代アートについては、漠然と年1、2回くらいは名品をみたいと思っている。昨年は10月、府中市美術館へ出かけ、“ホイットニー美術館”で予想以上のいい作品にめぐり会えた(拙ブログ05/10/7)。

1960年代~2000年代と副題のついたこのポップアート展は開催の情報を得たときから期待していた。最近、タイミングよくウォーホルやリキテンスタインの作品のことがでてくる村上隆著“芸術起業論”を読み終えたばかりなので、府中美のときよりも鑑賞欲が強い。

出品されているのは現代アートでは定評のあるミスミコレクションの絵画、版画、写真80点あまり。作家は31人。知ってる作家は10人もいないから、逆に作品への感度はとても新鮮。しかし、誰でも感じることはできるのだから、問題は作家が提示した新しい表現方法や概念についていけるかどうか。これはかなりあやうい。セクション毎についているミニ解説が頭に入り、楽しめるのもあれば、理解が進まず、作品自体に魅力を感じないものもある。

現代アートでも人の心を揺さぶる傑作には印象に強く残るフォルムや色彩の美しさがある。ウォーホルやリキテンスタインがはじめたポップアートは、アメリカの黄金時代における一般大衆の日常生活や楽しみのイメージをそのまま作品にしているので、理解に困るようなことはなく、スッと作品に入れる。

お気に入りはリキテンスタイン。11点ある。色数が少なく、太い黒の輪郭線でつくる平面的な構成はシンプルそのもの。マンガのひとコマをとってきた“泣く少女”は本当に悲しそうな顔をしている。モネの作品を題材にした“積わら”ははじめてみるタイプの絵。黄色と黒、そして、ドットだけで表現されているがいい感じ。部屋の中に円や三角であらわされた形が浮遊する大作、“ふたつのかたち”にも魅せられた。

6点あったウォーホルの作品で好きなのは色彩の対比が鮮やかな“$9”。面白い形に惹きつけられるのが、エイズのため31歳の若さで亡くなったキース・ヘリングの“グローイングⅡ”。これは子供の落書きみたいな絵。手足がふえ、全体がふらふらする様子がよくでている。こういうのは誰でも簡単に描けそうだが、作家本人にしか生み出せない個性的な作品。

現在、30代、40代の作家が描いた最新作にググッとくるのがあった。道についたガソリン、ジュース、ペンキ、血などのシミを集めて、画面のなかで組み合わせたイングリット・カラムの“VVWpt?”(01年)。赤やうす青、うす茶などのペンキを乱暴にキャンバスにぶっつけたようにみえるが、よくみると実に丁寧にシミを描いている。色の組み合わせがうまいので、その色彩の美しさに吸い込まれそうになる。

今回、一番感動したのがマリーナ・カポスの右の“077、白鳥、2004”(04年)。このLA在住の女性アーティストはカリフォルニア州生まれで、現在34歳。左をむいた横顔の半分は白で、耳の部分はうすい青。こみかみのあたりには濃い緑の木が上に伸び、髪と肩は二羽の白鳥?とシルエットになった森とダブルイメージになっている。不思議な香りのする今を映したポップアートである。非常に惹きつけられた。まだ1点しか観てないからわからないが、この画家にのめり込むような予感がする。My好きな女性画家に即登録した。

okiさんから教えていただいたスー・ウイリアムズの“スーパーフラットの試み”(01年)は事前のイメージとはだいぶちがった。村上隆の目指すところとは相当開きがある。才能豊かな新世代のポップアーティストの作品をみれたのは大収穫だった。この人たちは近い将来、NY、LAの画廊めぐりをするころにはビッグネーム入りをしているかもしれない。いや、もうそうなっている?

■■■■■06年後半展覧会情報(拙ブログ7/1)の更新■■■■■
 ・下記の展覧会を追加。
 ★西洋美術
 7/8~8/31    岡本太郎・明日の神話の公開   汐留日本テレビ
 10/14~1/14  アールデコ・ジュエリー展      東京都庭園美術館
 ★日本美術
 7/4~9/24    民藝運動の巨匠展          日本民藝館
 9/29~12/10  現代日本画名作展          八王子夢美術館       

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コメント

なかなかポップアートの文化背景まで解説があって楽しめましたよね。
村上のスーパーフラットとはだいぶ隔たりがありましたか、アメリカの作者がスーパーフラットを誤解していたのかな。
八王子市夢美術館の日本画の展覧会は小さい展示場なのに900円も取られるのですよね、「ぐるっとパス」を使わなければー。
僕は明日の夜間開館で若冲観てきます。

投稿: oki | 2006.07.13 22:33

to okiさん
解説がわかりやすく、2000年以降に制作された作品がありましたので、
大変楽しかったです。スーパーフラットが村上隆以外の外国人作家に理解さ
れるのは時間がかかりそうです。村上隆に続く日本人作家がでて、ウォー
ホルとリキテンスタインの二人がポップアートをひっぱったようにスーパー
フラットを世界標準にしてほしいのですが。

八王子夢美術館はまだ行ったことがありません。

投稿: いづつや | 2006.07.14 11:40

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