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2006.07.14

エミール・ガレとドーム兄弟展

433Bunkamuraで行われている“エミール・ガレとドーム兄弟展”(8/27まで)をみた。

ロシアのエルミタージュ美術館が所蔵するガラス工芸品だから、期待を裏切ることはない。昨年、江戸東博であった“エミール・ガレ展”(拙ブログ05/1/30)を見逃した人は、この展覧会をみると少しリカバリーが出来るかもしれない。というのも、この大回顧展の目玉の一つとして展示してあった傑作、花器“トケイソウ”がふたたびやってきているからである。

今回、ガレの作品は42点ある。江戸東博とくらべると数は1/3弱とかなわないが、流石エルミタージュだな感じさせるレベルの高い作品がいくつもある。北澤美術館(拙ブログ04/12/21)や回顧展でガレのガラス作品をかなり鑑賞したので、そこから醸し出される装飾美や高い芸術性に体がビビッドに反応するようになった。

代表的な絵柄に自然と目がいく。ピンク色に魅せられる“トンボにリボン文花器”と“蘭文蓋付壷”。緑のシダの紋様が素晴らしい“シダ文花器”。ドキッとするのが回顧展にも別ヴァージョンがでていた“ヒキガエルにトンボ文花器”。濃い青地に深く彫られた黒のトンボとカエル、キンセンカは一度みたら忘れられないほど強いインパクトをもっている。

心が宝飾品をみるときのように昂揚するのはなんといっても花器“トケイソウ”。扁平な形の胴部に表現された紫色の花を咲かせるトケイソウに目を奪われる。見事な作品である。これが飾ってある部屋にはもうふたつ感動の作品があった。ひとつは大変見栄えのする“菊文花器”。白地に伸びやかに花を開いた菊に圧倒された。もうひとつはガレの作品ではなく、フランス大統領からロシア皇帝ニコライ2世に贈られた一対の大きなセーヴル磁器。ナポレオン展にもセーブルの名品がいくつもあったが、この双頭の鷲が描かれた黄色の花器もまた極上品。うっとりして眺めていた。

この展覧会のもうひとつの売りであるドーム兄弟の作品は24点ある。過去、ドーム兄弟のガラス作品は北澤美術館とウッド・ワン美術館で今回と同じくらいの数をみた。右は花の文様では一番気に入った“チューリップ文花器”。生き生きとした赤いチューリップがとても印象的。ドーム兄弟の作では花の絵柄より風景のほうが魅力がある。花器やランプに木々のむこうにみえる湖にヨットが浮かぶ風景や樹木が情趣豊かに描かれている。

とくに惹きつけられたのが“風雨樹木文ランプ”。ランプのステム、笠いっぱいに風でしなやかに曲がる幹や枝が描かれ、激しい雨をあらわす線が斜めに幾本も引かれている。西洋画や浮世絵に雨が描かれることはあるが、工芸品の絵柄にでてくるのは珍しい。たらし込みのような幹の灰色と背景のうす紫と緑が雨の風景に溶け合い、切々とした哀愁が漂っている。

最後のコーナーには期待もしてなかったルネ・ラリックの作品がある。これは嬉しいオマケ。質の高い種々のガラス工芸がコンパクトにぎゅっと集まった感じのする展覧会であった。東京のあとは次の美術館で開催される。
 ・いわき市立美術館:9/9~11/8
 ・岩手県立美術館:11/18~1/28

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コメント

いづつやさん、こんばんは
実は昨年の江戸東京のガレ展に行かなかったので、「トケイソウ」は初見でしたが、壺部分の地色の藤色の美しさに惹かれてしまいました。
やはり夏はガラス作品で涼を取るのが一番です!!!
最後の部屋では私はティファニーの花器の玉虫色の輝きや、ぐにゃっとしたフォルムにかなりぐっときました。
また最初のセクションのガラスなどもかなり良かったと思いました。

投稿: アイレ | 2006.08.07 01:49

to アイレさん
ガレの“トケイソウ”は風格がありますね。入ってすぐのところに展示
してあった黄金色の“双耳扁壷”、緑に金箔が散らされた“蛇形把手付
水差し”も魅力的ですし、最後に玉虫色の“花器”やラリックの“バッカス
の巫女”まで出てくるのですから、ガラス作品の展覧会としては一級で
しょうね。

ガラスの透明感と絵画とが輝きが違う鮮やかな色が夏の暑さを吹っ飛ば
してくれますね。ガラス作品で涼を取るとはいい話を聞きました。
納得です。

投稿: いづつや | 2006.08.07 13:40

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