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2006.07.04

パウル・クレー展

181今年2回目の“パウル・クレー展”を川村記念美術館でみた(8/20まで)。

これは2月、大丸東京店であった企画展(拙ブログ06/2/11)の巡回ではなく、ドイツのクレーコレクションでは定評のある3つの美術館蔵と国内の美術館の作品によるもの。約150点の絵画、素描、版画がでている。

国内からは東近美の純粋な色彩のコンポジションが美しい“花ひらく木をめぐる抽象”や大原美術館の“A”などがあるので、ひょっとすると日本にあるクレーのいい絵が全部集まっているかもしれない。これはまたとない機会である。ドイツの美術館からやってきたのにもいい絵がある。

数が多いからクレーのいろいろな絵を楽しめる。作品をタイプ別にみて気に入ったのは。
Ⅰ色彩美:“駱駝”、“バラの庭”、“測量された区画”、“花ひらく木をめぐる抽象”
Ⅱモザイク画:“直角の半円”、“プルンのモザイク”
Ⅲ文字や記号がある絵:“上昇”、“回転”
Ⅳ引掻き線描:“イルマ・ロッサ 女調教師”、“旗のたったパヴィリオン”、“花の神殿
 にて”
Ⅴシュルレアリスム:右の“頭も手も足もハートもある”、“黒い殿様”、“真珠をつけた
 旦那さん”
Ⅵ太い線:“婦人とモード”、“赤いチョッキ”、“石板の花”、“砕けた鍵”

好みのタイプはカラリスト、クレーの天分が発揮された色彩が鮮やかな油彩画。“花ひらく木をめぐる抽象”のような幾何学模様にも惹きつけられるが、駱駝の三角のこぶと耳が緑や赤のタンポポの頭のようなフォルムのなかに混じり、ダブルイメージで構成されている“駱駝”が印象深い。また、小さなモザイク画、“直角の半円”も観てて心がスッキリする絵。

クレーの頭は柔らかいなと感じさせるのがシュールな絵。今回一番ドキッとしたのは右の“頭も手も足もハートもある”。画面の真ん中に赤いハートのマーク。胴体を無くして、頭と手足をばらばらにし、四隅に配している。なんか変だがタイトル通りのイメージが面白い。もう一点、思わず笑ってしまうのが“真珠をつけた旦那さん”。これをみて瞬間的に連想したのが宴会芸の腹踊り。目とか鼻、口を描いた腹をくにゃくにゃ動かして、笑わせるあの腹芸である。興味のある方は是非ご自身の目で。

難病にかかり、辛い時期に制作した“太い線”タイプの作品が最後のコーナーに沢山飾ってある。中でも、黒の太い線でシンプルに顔の輪郭をつくったり、歩く姿を表現した“赤いチョッキ”はイメージが色々ふくらむ楽しい絵。クレーの多面的な画才と深い精神性が作品を通して十分伝わってくる質の高い回顧展であった。

この美術館のあと、北海道県近美(8/29~10/9)、宮城県美(10/17~12/10)でも開催される。

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コメント

川村記念美術館では、昨年のヴォルスに続いて、パウル・クレー展をやっているんですね。
といいつつ、川村記念美術館へは一度も足を運んだことがない。
パウル・クレーの絵は天使の世界が描かれてますね。但し、ユーモラスで、詩的で音楽的で、悲劇性に満ちている、そんなクレーの妖精の世界。


投稿: やいっち | 2006.07.09 19:41

to やいっちさん
今年はクレー展がよくあります。大丸のときと較べると、出品数がかな
り多いです。とびっきりの目玉がないのは、残念ですが、そこそこの質
の作品が多いのでクレーの色々なタイプの絵を楽しめます。今回は天使
は出てないのですが、一筆描きのヴィーナスや山の精があります。

投稿: いづつや | 2006.07.10 01:04

いづつやさん、こんばんは
川村記念美術館の会期は終わってしまいたが、TBさせていただきました。
今回、驚いたのは日本の美術館所蔵の作品が多かったこと。
本当にクレーは日本人から好かれているのですね。
私も今回の展覧会で思ったのはクレーが優秀なカラリストだという点です。
様々な色をちりばめた絵画が多いのに決して雑音に聞こえない感じの絵と言えばよろしいでしょうか?
実際にはありえない色の配置でも素直に受け入れることのできるカラーバランスに脱帽でした。

投稿: アイレ | 2006.08.31 00:34

to アイレさん
国内の美術館にこれほどクレーの絵があるとは知りませんでした。結構いい
作品がありましたね。

カラリスト、クレーが描いた色彩豊かな作品をみると心が揺すぶられます。
晩年は難病に苦しめられ日々だったのに、一筆描きのユーモラスな絵を描く
のですから、クレーという画家は本当にピュアな心の持ち主だったのですね。
とても惹きつけられます。

投稿: いづつや | 2006.09.02 15:07

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