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2006.07.16

岡本太郎の明日の神話

489汐留の日本テレビで公開されている岡本太郎作、巨大壁画“明日の神話”(8/31まで)をみてきた。

NTVの特別番組“Be TARO”は見なかったが、かなり前からこのフレーズが流れていたので修復が完了した“明日の神話”をこの目で早く見たいという思いが日増に大きくなっていた。壁画の公開時間は朝11時から夜7時までで、入場無料。

展示会場ではサクソフォンが軽快な音楽を奏でるバンドが練り歩き、雰囲気を盛り上げる。美術品を鑑賞しているのだが、イベント会場に足を踏み入れたという感じである。TV局とのタイアップだから、賑やかな空気を演出するのはお手のもの。赤や黄色の原色がくっきりの岡本太郎の大壁画は自由にイベント感覚で見るのが相応しいかもしれない。

壁画は横30m、縦5.5mあり、右の原画は左の部分。“明日の神話”の経緯は
・1969年 メキシコシティで完成。ホテルのロビーに仮設置 (ホテルは結局未完成) 
・2003年 メキシコシティ郊外の資材置き場で発見される 
・2005年7月 愛媛県東温市で修復作業はじまる 
・2006年6月 修復作業が完了  

この壁画には原爆が炸裂する瞬間が描かれている。そして、右のほうには1954年、ビキニ環礁の水爆実験で被爆したマグロ漁船、第五福竜丸が死の灰を浴びながらマグロを引っ張っている場面もある。中央の炎に焼かれる白い骸骨が胸にズキッと突き刺さる。その下では黒い線で表現された人々が赤い炎のなかを逃げまどい、まわりには濃い緑、茶褐色、赤などの色調で描写された鳥や動物たちの悲しげな姿がみえる。

岡本太郎はこの壁画について、“原爆が爆発し、世界は混乱するが、人間はその災い、運命を乗り越え未来を切り開いていくーといった気持ちを表現した”と述べている。原爆の悲劇だけを描いたのではなく、それに立ち向かう人間の逞しい生のエネルギーをも描いているのである。左端の手を上げたり、足を跳ね上げたりしている白い3人はそのことを象徴的に表しているのであろうか。

500円で販売しているカタログに壁画修復ムーブメントに関わった人たちの熱い思いや“Be TARO”を実践しようとする著名人たちの言葉が載っている。何か新しいことを創造しようとする意気込みが伝わってきて、こちらも元気がでる。いくつか紹介すると。

★糸井重里(コピーライター、Be TAROをつくる)
“岡本太郎のことを強くて端的に表す言葉って何かないかな、と思って。例えば、Be
TARO!とか。お前がTAROになれ!っていうメッセージが岡本太郎から発せられているんじゃないか”
★黒川紀章(建築家)
“創造とは何かという精神を、後世に伝えたい。Be TAROはすなわちBe Creative、Be 爆発”
★村上隆(アーティスト)
“岡本太郎みたいになりたいと思った瞬間に岡本太郎から離れていく。僕は前例のない、岡本太郎ではない何かにならなきゃいけない”
★宮沢りえ(女優)
“岡本太郎という存在を知ると知らないのとでは、人生の楽しみ、ちょっと違うかな”
★鶴田真由(女優)
“私のBe TAROは想いがあったら突っ走れ。これで行きたいと思います”

自分の“Be TARO”を考えてみよう。過去、岡本太郎を取り上げたのは拙ブログ05/8/312/26

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コメント

今日川崎市岡本太郎美術館行ってきます。
企画展示はウルトラマンですがそんなのはどうでもよく、常設の「明日の神話完成への道」に期待です。
実はこの展覧会招待券があるのですが、岡本太郎に魅せられたいづつやさんご入用でしょうか?
ご入用の節はお気軽にこのメールアドレスにメールください。
しかし岡本太郎を「イベント」に使う日本テレビってどうかなー。

投稿: oki | 2006.07.17 10:49

to okiさん
明日の神話、大壁画でした。列に並んだひとは壇上から見れ、写真などを
撮ってました。もうお祭り気分ですね。川崎市の記念館でウルトラマン展
ですか。漫画はみませんので招待券はお気持ちだけ有難くいただくこと
にします。

okiさんは色々展覧会情報お持ちですね。国立新美術館の来年の開館記念
展がポンピドーセンターの作品であることをいち早く教えてもらいました。
有難うございます。ワクワクしますね。

投稿: いづつや | 2006.07.17 13:25

左端の三人は岡本の「いこい」という作品に通ずると岡本太郎美術館の解説にありました、岡本は自分の既存の作品をいろいろとりいれたようですね。
ところで「明日の神話」は最小の原画からだんだん大きくなっていて、四つの原画があるそうですがメキシコでNo4最大の原画に基づいて作成していたらホテルの設計変更でNo3の原画ー現在名古屋市美術館蔵を持ち込んで再制作したそうです。

投稿: oki | 2006.07.18 12:32

to okiさん
明日の神話の原画が4つもあったのですか。原画というのはてっきり1つだけ
と思ってました。壁画のなかでは左端の柔らかい人物像のところが唯一明るい
ですね。“いこい”という作品はみたことありません。興味が涌いてきました。

投稿: いづつや | 2006.07.18 18:18

岡本太郎美術館発行のやはり五百円のカタログによると四つの原画は岡本太郎記念館、川崎市岡本太郎美術館、富山県立美術館、名古屋美術館に所蔵されているようです。
当時の岡本太郎は多忙でしたからメキシコの「明日の神話」に没頭できたわけでもない、弟子に任せてメキシコを訪れるのは一年ぶりということもあったそうです。
同時にアルプ的な「五大陸」という彫刻も作ろうとしたようですが、メキシコのホテル経営の悪化とともに原型だけがつくられておしまいということでした。

投稿: oki | 2006.07.18 22:22

to okiさん
いつもの癖で図録とかパンフレットの文章はろくに読みませんので、下絵
のことを見落としてました。そういえば、青山の記念館にも下絵が飾って
ありましたね。岡本太郎も忙しいのにとんだ骨折り損で嫌になったでしょうね。

投稿: いづつや | 2006.07.19 17:30

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