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2006.07.29

長澤芦雪の白象図

4482回目のプライスコレクション展(東博、8/27まで)は最後のガラスケースがないコーナーからみた。

前回(拙ブログ7/7)じっくりみたので、展示作品のおおよそのイメージは覚えている。でも、はじめてみる絵というのは観ているようで画面全体をとらえる目が弱かったりで、2回鑑賞の効用も結構ある。

絵の表情が光のあて方でいろいろ変わるのをみると感激する。この見せ方は本当に有難い。最初に飾ってある酒井抱一の“佐野渡図屏風”では明るい光が画面にあたると金箔の地から雪が現れる。そして、暗くなるとその雪が消えていく。その隣にある鈴木其一の“柳に白鷺図”はしばらくみていると、白鷺の白い羽がまぶしいくらい輝いてくる。

其一の大きな屏風、“群鶴図”も気分が高揚する。これはワシントンのフリーア美術館にある尾形光琳の作品を模写したもの。光琳との違いは左右の流水文の描き方と鶴の羽の色。其一が腹側と背中の羽を黒とねずみ色ではっきり分けているのに対し、光琳は尾っぽの白でまるく輪郭線をとった部分は同じなのに黒を腹側の羽だけでなく、背中の三分の一くらいまで使っている。好みとしては其一の鶴のほうがいい。ねずみ色の羽のところに光があたると金地に美しく映える。不思議なのは尾っぽの白は光沢を増すのに、首のところの白はそれほどでもないこと。これはなぜ?

長澤芦雪の巨大な黒牛と白象をまた楽しんだ。牛の顎とか鼻の上には髭がある。象も牛も背中が画面からはみだしている。こうした意表をつく構図はどのようにして生まれるのだろう?展覧会に登場する作品の中には必ず、普通の頭では思いつかない視点で対象を捉えたのが1,2点ある。こういう経験を何回かすると、ほかに絵師にはない奇抜な構成力が芦雪の作品の大きな魅力となって体のなかに入っていく。もうひとつ芦雪の絵で惹くつけられるのがかわいらしさ。師匠応挙の“かわいい”描写をちゃんと受け継いでいる。黒い牛の腹のところにいる子犬のかわいいこと。

芦雪は子犬のほか猿も描いているが、かわいい子供を描いた絵が忘れられない。それは04年、京都の金閣寺でみた右の“白象遊童図”。京都市観光協会は寺院とタイアップして毎年、非公開文化財の特別公開を実施しており、バスツアーで回った金閣寺方丈にこの絵があった。子供たちが白象の頭や鼻にのったり、腹から滑り台のように下に降りたりして、楽しく遊んでいる。右のほうにいる子供は象にのる順番を待っているところ。

南紀串本町の無量寺にある“虎図”(拙ブログ05/2/13)も観てると肩の力がぬけてきて、ほんわかする絵。この猫のような虎と較べると、プライス氏が所蔵する芦雪の虎(猛虎図)は頭がやけに小さいが、かなり怖い。芦雪の描く虎はかわいい虎だけではなかった。

芦雪に興味がある方に参考情報を。現在、パウル・クレー展を行っている川村記念美術館の常設展示に屏風絵、“牧童図”が出ている。牛の背中に乗っている童や木のまわりで遊ぶ童士たちのユーモラスな表情に心が和む。

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2006.07.28

若冲の白 vs 抱一の赤

447伊藤若冲と酒井抱一の絵をまた観たくなり、三の丸尚蔵館に足を運んだ。

現在ここで開催中の“花鳥展の4期”(7/8~8/6)は特別。ほかの期より感激度が格段に大きいのである。若冲の“旭日鳳凰図絵”、“動植綵絵”、抱一の“花鳥十二ヶ月図”(拙ブログ06/7/8)の豪華3点セットを一回だけの鑑賞で終わらせるのはもったいない。

次にこれらを観れるのはかなり先になるだろうから、もう一度観ておこう、そして感動を体中に浸み込ませようという思いが日に日につのっていた。

まず、“旭日鳳凰図”。今回も画面の隅から隅までじっくりみた。若冲には鶏の絵が多いので、鶏が最も好きだったのかなと考えがちだが、そんなことはないと思う。鳳凰は空想上の鳥だし、鶴を実際にみる機会は少ないので、どこにでもいる鶏が観察するのに都合がよかっただけかもしれない。若冲が描いていて一番気分がハイになったのは鳳凰ではないだろうか。

“旭日鳳凰図”の画面は“動植綵絵”より一回り大きい。鳳凰の姿態や色のイメージは中国画の“百鳥図”から得たのであろうが、若冲はこれにファンタジックで優雅な香りを加え、近寄りがたいほど気高い鳳凰に昇華させている。右の鳳凰の片足を上げ、両翼を大きく広げたポーズに見蕩れてしまう。何色もある羽根が女王の着る衣装のようにとても豪華に見えるのに、ケバケバしさが感じられないのは白(=胡粉)の使い方が上手いから。

日本画で美しく見えるかどうかは白をどう使うかにかかっている。この画面では白が出てこないところを探すほうが難しいくらい。それほど、白い線、白面が多い。首の後ろの青、黄色で描かれた羽根はちゃんと白で縁どられている。同じことは広げた左右の茶色の羽根にもいえる。先っぽに鮮やかな赤と青の毛をもつ茶色の尾羽根の中央にも白のシダ文がある。白は画面に装飾的な雰囲気や奥行きや空間の広がりをつくりだす波文だけでなく、上方の太陽をかこむ雲を表す茶色線の下にも引かれている。左の鳳凰の腹の辺りが地の土色とかぶって、はっきり輪郭が捉えられないのは、白の見せ方が弱いためである。

“旭日鳳凰”だけでなく、“動植綵絵”でも“老松白鳳図”のように、“どおー、私の白の美しさに参った!”と言われてるような気がする絵が何点もある。鶏のとさかみたいに鮮やかな赤が印象深い作品もあるが、その赤も白によって輝きを増している。若冲は胡粉の魅力にとりつかれた絵師ではないだろうか。

若冲の白に対して、抱一の得意とする色は赤。今回出品された“花鳥十二ヶ月図”にその技が冴えわたっている。右は4月“牡丹に蝶図”、5月“燕子花に鷭図”、6月“立葵紫陽花に蜻蛉図”。牡丹と立葵の赤が鮮やかである。この“花鳥十二ヶ月図”は4、5点ある同名の絵のなかで最初に描かれたもので、絵の完成度は一番高い。12点のうち赤が出てくるのは9点あるのにたいして、プライス氏所蔵のものは5点、出光美術館のは3点しかない。

三の丸尚蔵館の花鳥図のなかで、構図、色の組み合わせで赤がとくに美しく感じられるのは1月の白梅の枝に囲まれるように描かれた赤い椿、3月の桜の木にとまる雉子の赤い頬、4月の大きな牡丹、10月の鈴なりになった赤い柿の実。三の丸、プライス氏、出光の11月はどれも白鷺が描かれているのに、小さな赤の点々があるのは三の丸だけ。赤には観る者の視線をひきつける魅力があることを抱一は知っていて、効果的に赤を使っているのである。

酒井抱一の作品に関する情報をひとつ。ホテルオークラで開催される“アートコレクション展”(8/3~8/24)に抱一の花鳥画の傑作、“四季花鳥図屏風”(京都、陽明文庫)が出品される、これは今回の“花鳥十二ヶ月図”、“四季花鳥図巻”(東博、拙ブログ05/9/15)とともに花鳥画三大傑作といわれている。04年、日本橋三越であった琳派展にも出た。ご参考までに。

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2006.07.27

横山大観の黄色の絵

446東博の平常展にMy追っかけ日本画のリストに入っている待望の絵が登場した。

横山大観が描いた右の“游刃有余地”(ゆうじんよちあり)で、本館1階の近代美術のコーナーに展示してある(7/19~8/27)。

この絵を画集で知り、いつかお目にかかりたいと思っていたのに、04年京近美であった大回顧展でも展示替えのため見逃していた。ようやく観ることができた。

大きな2幅の絵である。左にいる老人は料理の名人。右手に包丁をもっている。右の黄色の服を着ているのが中国の皇帝で、後ろに女性が付き添う。この場面は“荘子”養生篇のなかにでてくる話しを絵画化したもの。皇帝がこの料理人が上手に牛を捌くのを見て、その腕を褒めた。すると、老人は“何度も牛を捌いているうちに、骨と骨の隙間が見えるようになりました。この隙間を薄い刀の刃で切るのだから、まだ余裕があり、うまく牛を捌くことができます”と答えた。それで、游刃有余地の題名がついている。

この話しに特別興味を覚えたのではなく、とても惹きつけられ一度本物を見てみたいと思ったのは皇帝の服の黄色。日本画では黄金、青、緑、白、赤はよくでてくるが、黄色を使った絵を描く画家は限られている。すぐ思いつくのは前田青邨、速水御舟、カラリストの小野竹喬くらい。青邨の“観画”では一人の女性が黄色のチャイナドレスを着ている。美しいのが御舟の“昆虫二題”にでてくる黄色の蛾。御舟はひまわりを描いたりしているので、黄色の絵が多い画家かも知れない。晩年の小野竹喬は黄色使いの名手。その風景画にはうっとりする。

青邨や御舟の黄色に較べると、大観の黄色は画面全体のなかで大きな割合を占めている。そして、素晴らしいのがこの黄色と女性の上着のピンク、老人が着ている服の深い群青の鮮やかなコントラスト。昔、台湾の故宮博物館にあった乾隆窯で焼かれた黄色の花瓶に大感激したことがあるが、黄色で興奮するのは久しぶり。Myカラーが黄色・緑になったのは中国の陶磁器とゴッホのイエローパワーに魅せられたため。で、洋画ではゴッホの作品などで黄色を楽しむ機会が多いのだが、日本画ではこうした体験は数えるほどしかない。

大観はこの絵のほかにもいくつか黄色を使った作品を制作している。“竹林七賢”、“瀟湘八景・漁村返照”(重文、東博)、“老子”。大観作品の魅力は“生々流転”などの水墨画だけではない。それと同じくらい惹きつけられるのが黄色の絵や琳派風の装飾美を表現した“夜桜”など天性の色彩感覚が発揮された作品。

長らく待った“游刃有余地”を観れていい気分になっていたら、その隣に鏑木清方の“黒髪”、前田青邨の“維盛高野の巻”、安田靫彦の“二少女”というくらくらする位いい絵があった。ここの日本画はいつも期待を裏切らない。しかも静かに楽しめる。理想的な鑑賞空間である。

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2006.07.26

渓斎英泉の裏見之滝

445東博が所蔵する浮世絵は一ヶ月弱で作品が変る。だから、うっかりしてると見逃しそうになることがある。

色々手をひろげている美術鑑賞のなかで、ここの浮世絵コーナーにいるときの満足度はいつも上。一度にでてくる数は多くはないが、一点々の質が高いので面積としての満足の総量が大きいのである。

一人でみているときは声をだすと、周りの鑑賞者に“この人ちょっと危ない!”と思われるといけないから黙っているが、隣の方がそばにいると、やたらに“ちょっと、ちょっと、ここ見て!”を連発する。

今回でている作品の展示期間は7/19~8/14。それにしても、東博が所蔵する浮世絵の数は底知れない。もう2年も見ているが、同じ作品にまた会ったというのがない。北斎や広重の場合、“富岳三十六景”、“東海道五十三次”など画集でお馴染みの作品がでてくることが多いが、鈴木春信、鳥居清長、喜多川歌麿などは次から次と見たことのないのが登場する。

で、おのずとこの3人の作品への期待が高くなる。今回は春信と清長にいいのがあった。春信は“玩具の山車をひく母子”と“舟中蓮とる二美人”。とくに“二美人”がいい。舟に乗っている少女のような顔をした二人の女性のうち、屈んでいるほうの手の先には大きな蓮が浮かび、背後の景色はなく、描かれているのは様式化された水流文だけ。日常生活とは違う文学的な情景を描くのは春信の得意とするところ。

三枚続の清長の“品川座敷の遊興”はこちらも浮かれてくるような楽しい絵。真ん中にはひょっとこの面をつけて大げさに踊って笑いをとる幇間とそれを取り囲むように立つ長身で品のいい清長美人の芸者が大勢描かれている。面白いのは右の場面。明かりを暗くして楽しいときをすごしている男女の客が隣の宴会をうるさそうにしている。

風景画のなかにはじめてみるいい絵があった。それは渓斎英泉が描いた滝の絵。日光山名所之内、“華厳之滝”、“裏見之滝”、“霧降之滝”の3点。右の“裏見之滝”はとくに興味を惹く絵。流れ落ちる水の量感を白と青のまだらの色面で表しており、その光景は力強く豪快。そして、登場する人物が絵の面白さをさらに掻き立てる。下に落ちる滝の真ん中あたりに細い道があり、そこを3人の旅人がおっかなびっくりで通ろうとしている。これがスリル満点なのか、滝壺のところにいる別の男たちがその様子を見上げている。旅人たちの会話が聞こえてくるようである。“オイ、そっちへ行けるか?”、“あの3人大丈夫かなあ?”。

昨年、太田記念館で広重が描いた肉筆画、“裏見之滝”(拙ブログ05/5/8)を見た。旅人がでてくる滝の絵でよりリアルなイメージが頭の中に入った。今回はこの絵が一番の収穫。

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2006.07.25

奥村土牛の那智

444美術館と美術館の距離が近いとセットで回ることが多い。

渋谷方面だと、日本民藝館と松涛美術館、あるいは陶磁器専門の戸栗美術館。府中美術館へ行ったときは損保ジャパン美術館をペアリング。白金台だと東京都庭園美と松岡美術館を同時に見る。

アクセスのちょっと悪い山種美術館の場合、東近美の本館か工芸館へ行ったあと訪問する。ここはもう何年も通っている。いつもは見終わったあと、絵葉書を購入してファイルしていたが、代表的な所蔵品を相当数みたので前回、分厚い図録を買った。ときどきこれを眺めているが、近代日本画を代表する名画が沢山あるので、観てて楽しい。

手元にある日本画の図録は山種、東近美、京近美、足立美の4冊。ここに載っている作品の全部ではないが、ビッグネーム画家のものをつぶしていこうというのが当面の観賞計画。もう最終コーナーを回って、残り100mという感じである。

今回、山種が“旅と画家”のテーマで展示している作品(8/13まで)はバラエティに富んでいる。近代日本画だけでなく洋画、浮世絵にも会える。ここが洋画も所有していることは知らなかった。しかも質が高い。佐伯祐三が描いたパリにあるレストランの雰囲気がよくでている“レストラン”と“クラマール”。そして、萩須高徳の“シャトー・ランドン”、“ノワルムーチェの捨てられた舟”。もう1点、安井曽太郎のいい水彩画、“上高地風景”。

横山操の“マンハッタン”は日本画となっているが、これは洋画みたいなもの。NYの高層ビル群が太い黒の輪郭線で平面的に表現されたこの作品からは巨大都市に流れるひんやりとした空気が伝わってくる。平山郁夫が描いた“ロンドン霧のタワーブリッジ”にも足がとまる。

大作でその風景に圧倒されるのが3点ある。共通するのが滝。岩崎英遠が描いた“懸泉”の何本もある水流から水が激しく落下する光景は迫力いっぱい。滝壷のうえには虹がみえ、大画面の中央下あたりで一人の男がすざましい滝を眺めている。稗田一穂と奥田土牛は那智の滝を描いている。稗田の“濤声熊野灘”では、画面の上の方に遠景として描かれた那智の滝は霧のかかる黒い山々の割れ目から白い線となって下に落ちている。手前の切り立つ崖、海面からでる岩に波が砕け散る厳しい海の表情、そして遠くの幽玄的な那智の滝が強く心をうつ。

これとは対照的に那智の滝をどどーと表現したのが右の奥村土牛作、“那智”。大きな絵なのでびっくりした。縦が2.7m、横が1.5mある。誰がみても、滝をストレートに実感する絵である。一度みたことのある那智の滝はこんな生き物のような白い水が太いかたまりとなって荒々しく落ちていた。じっとみていると水しぶきが飛んでくるのではないかと錯覚する。この感じは絵の前に立たないとわからない。土牛の感性がとらえた自然そのものが眼前にある。大変感動した。

ここは御舟と土牛のコレクションで名を売った美術館。流石、土牛の作品はこのほかにも“甲州街道”、“雪の山”、“大和路”と名画が揃っている。事前の情報ではあまり期待してなかったが、実際は見ごたえのある作品が沢山でていた。こういうときは本当に嬉しい。

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2006.07.24

土田麦僊の島の女

443東近美の平常展はおおよそ2ヶ月毎に作品が入れ替わる。

洋画はこの間、ずっと飾られているが、近代日本画は出っ放しもあるが、一部の作品は前期だけ、あるいは後期だけしか展示されない。

観賞の軸足は日本画のほうにあるので、いつも2回出向く。で、一年のスパンでみるとここへは毎月行っていることになる。都内の美術館でこれほど頻繁に訪問するのは東近美と東博だけ。これがもう2年も続いている。ここの平常展がいいのは名画を静かにゆったりみられること。展示される作品の質は折り紙つき。

今回の展示(7/30まで)で魅了された作品をあげると。今村紫紅の“時宗”、“後三年絵巻模写”、速水御舟の“写生図巻”、小倉遊亀の“浴女その二”、鏑木清方の“明治風俗12ヶ月・5月~8月”(現在は7、8月)、小林古径の“唐蜀黍”(とうもろこし)、平福百穂の“荒磯”、右の土田麦僊の“島の女”、棟方志功の“柳緑華紅頌”、東山魁夷の“残照”、山口蓬春の“榻上の花”など。

はじめての作品で画家の高い画技にびっくりさせられたのが今村紫紅と速水御舟。“後三年絵巻”の原画は東博でみたことがあるが、女の首がゴロンと転がっていたり、女たちが城の門めざして必死に逃げるところなど凄惨で緊迫する場面を見事に模写している。かれいやはぜなどの魚や黄色の蛾や蝉を精緻に描写した御舟の写生帖をみていると、円山応挙の写生画が目の前をよぎった。いつみても思うことだが、御舟の技はやはり群を抜いている。

ひさしぶりに見たのが右の“島の女”(部分)。名古屋で97年に開催された“土田麦僊展”以来のご対面である。これは麦僊が八丈島を旅行したときに見た現地の風景を絵にしたもの。髪を櫛ですく上半身裸の女の顔がとても気に入っている。両目の間が標準よりは広くあいた垂れ目と小さなおちょぼ口がなんとも可愛い。人物や木の葉や枝の輪郭線が淡い墨線でゆったり描かれた平明な画面からは、タヒチの女を描いたゴーギャンの絵のように南洋の雰囲気が伝わってくる。

のびのびとして開放的なイメージは淡い色調、簡潔な造形とともに、壁のほうをみている後ろ向きの女と手前の女、2本の木をそれぞれ対角に配して表現された奥行き感や空間のとりかたから生まれている。対象の配置や複数の視点の重ねあわせにより、空間の広がりをつくっていくのが日本画の一番の特徴である。

洋画では、お気に入りの香月泰男の“水鏡”、安井曽太郎の“奥入瀬の渓流”、瑛九の“れいめい”、松本竣介の“Y市の橋”、岡本太郎の“燃える人”があった。これらはもう何回も見ているが、飽きるということがない。それどころか、また見入ってしまう。名画の証である。

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2006.07.23

アンリ・ルソーの私自身、肖像=風景

296昨日の人気TV番組、“美の巨人たち”は面白かった。

登場した画家は素朴派のアンリ・ルソー。そして、画家が描いた絵のなかで焦点の当たった一枚の絵は右の“私自身、肖像=風景”。

この絵は03年、中欧を旅行した際、訪問したプラハ国立現代美術館でみたことがあるので、どんなアートエンターテイメントになるのか興味深々であった。

街の中心からちょっと離れたところにあるプラハ国立現代美術館の自慢はルソーのこの絵とチェコ出身の巨匠、ミュシャ(拙ブログ04/12/5)と抽象画家、クプカ(04/12/6)の作品。とくにルソーの“私自身、肖像=風景”は代表作としてつとに有名なので、この絵の前に立ったときは感激した。

とにかく不思議な絵である。真ん中に頭の帽子から服、靴まで黒ずくめの画家(=ルソー)がすっくと立っている。この髭づらの男、誰かに似ている。すぐ、映画“道”や“その男 ゾルバ”にでていた名優、アンソニー・クイーンを思い出した。背景の風景で目がいくのが橋の手前の万国旗が飾られた帆船。その旗のなかにどういうわけか日の丸やそのヴァージョンらしきものが4つみえる。

橋のむこうに描かれたエッフェル塔は旗と一部がかぶってることもあり、それほど目立たない。それより船の前、セーヌ岸を散歩している二人の姿に目がとまった瞬間、心臓がフリーズする。“ナニー、この小さい人物は!”画家と2人の大きさはまるで“ガリバーと小人”。両者の間の距離をおもわず目測していると、この絵が目の前の風景を描いているようで実はファンタジックで不思議な世界を表現した絵であることがじわじわとわかってくる。この絵にみる人間の大小の不思議さは現在、プライスコレクション展に出品されている“白象黒牛図”(長澤芦雪)における牛と子犬、象と鳥で味わうびっくり度より数倍のインパクトがある。

このへんてこな感じが体を支配するようになると、右に描かれている気球や白い雲への関心は薄くなる。気球ははっきりと覚えているが、雲のイメージは残ってない。番組のなかで雲について面白い話しがでてきた。美術評論家の海上氏によると、ここに描かれた雲は当時あった日本地図の本州を模写したものであり、その中にある太陽は歌川広重が“本郷”という風景画(1840年頃)のなかに描いた太陽を真似たものであるという。この説明は100%納得できる。これで、帆船の旗のなかに日の丸などが目立つ理由がわかった。

ルソーは浮世絵の平面的な表現方法が気に入ったのだろう。無邪気に、もっと自由に絵を描きたいルソーにとって、遠近法をきっちりいう伝統的な西洋画より日本の浮世絵のような描き方のほうが合ってたのかもしれない。村上隆がいうスーパーフラット(超二次元的)はもうこの頃からはじまっていたともいえる。アンリ・ルソーと風景画の歌川広重がこんな風につながっていたとは。いい番組を見た。

なお、06年後半展覧会情報にも載せたが、世田谷美術館で“アンリ・ルソー展”
(10/7~12/10)が開催される。

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2006.07.22

川端龍子の筏流し

441棟方志功とともに時々無性にみたくなるのが川端龍子の絵。で、大田区の龍子記念館へ出かけた。

ここの展示は年2回で、現在は“川端龍子の世界”(5/31~12/21)のタイトルで所蔵品19点がでている。04年の後期から通っているので、所蔵の作品もそろそろ一巡してまた、同じ絵が一部でてきた。

この間、昨年末と年初に江戸東博、五浦美術館であった大回顧展もみたので、代表作のほとんどは鑑賞したことになる。この記念館にある作品も残りわずかとなった。

龍子が好きな理由は二つあって、一つは大作だということ、もう一つは龍子が絵の見方を教えてくれるから。西洋画でも祭壇画やルーベンスの絵のように大きな絵は沢山あるが、近代絵画となると、モネでもピカソでも一部大作はあるものの、小さな額装におさまった作品が一般的になる。これに対して近代日本画の場合、東山魁夷のように比較的大きな作品が代表作であるケースが多い。そんな大作に慣れている日本画愛好家でも、川端龍子の超大画面の絵となるとまた別の感慨をもつにちがいない。横長の作品だと、縦が2.4m、横は7~9mもある。この超大作の絵に魅せられてここへ通うようになった。

絵の見方についてはちょっと説明がいる。絵は対象を忠実に再現しなくても観る者に感動を与えられるということを教えてくれるのが川端龍子と棟方志功の絵。4,5年まえ、大原美術館であった棟方志功の回顧展に肉筆画の鯉の絵がでていた。細部は丁寧に描かず、太い線でささっと描いただけだが、体を左右に曲げた、あるいはひねりのはいった丸い鯉がまるで生きているように感じられた。鯉の動きの特徴をぱっとつかまえられれば、ディテールまで全部描写することはないんだ。その対象の本質やイメージが伝わるフォルムと色使いで描けば絵になるということがわかった。

それとおなじことを龍子の作品をみててよく感じる。龍子は人物、魚、、鳥、動物などの姿態は克明に描かない。また風景画にでてくる木々や海、川の水も大まかにざざっと勢いにまかせて描いてるようにみえる。でも人物の表情や鳥や動物の生気がちゃんと伝わってきたり、自然の雄大さやエネルギーをみてとれる。

右の絵は代表作のひとつ、“筏流し”。激流の迫力にいつも圧倒される。川は龍子の生まれ故郷和歌山県の熊野川。両サイドの岩にぶつかり砕け散る白い水流の描写が見事。筏はこれから傾斜のきつい難所にさしかかるところ。筏をあやつる先頭の筏師の緊迫感に満ちた動作や顔つきに観る者の視線が集まるようにした構図が実に巧み。濃い茶色と金泥でおおまかに描かれた岩のヴォリューム感もたっぷりでている。

ほかにも子供たちの表情がとても可愛い“都会を知らぬ子等”、“百子図”といったいい絵がある。今回も大きな満足が得られた。

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2006.07.21

書の国宝 墨蹟展

440五島美術館で行われている“書の国宝 墨蹟展”(7/23まで)へ前期、後期2回足を運んだ。

書については、空海の書や装飾料紙の最高傑作“本願寺本三十六人家集”、また俵屋宗達の下絵に本阿弥光悦が散らし書きした和歌などは昔から興味をもって鑑賞していたが、今回のような墨蹟をじっくり観るという経験はあまりない。過去あった“鎌倉禅の源流展”、“建仁寺展”など一連の大仏教展でも、書はさらっと流し、絵画や彫刻のほうに鑑賞のエネルギーを注いできた。

だが、今年は東博の“書の至宝展”やアラビア書道との遭遇と書に縁があるので、この流れを大事にしようと思い、展示替えもなんのそのと五島美に通った。通期、90点のなかで、国宝が12点、重文が56点あるのだから、日本にある墨蹟の名品はほとんど揃ったといっても過言ではない。でも、MOA、東博、五島美が所蔵するものは多少馴染みがあるが、大半は知らないものばかり。

禅宗の高僧の書である墨蹟は茶室の床に掛けられる“茶掛”として、大名や茶人たちに愛蔵されてきた。中国人僧の墨蹟がどういう風に日本にやってきて、その後誰の手に入ったかという経緯をみていると、床に掛けられた高僧の偈(げ)、法語などに茶をたてる主人の感性や精神性が表れているようで、とても興味深い。

大名のなかでは松江の松平不昧(ふまい)公はかなりの名品を愛玩している。東博から出品されている国宝4点のうち3点は雲州松平家に伝来したもの。その一つ右の“虚堂智愚墨蹟 与照禅者偈頌”の書体に魅せられた。虚堂智愚(きどうちぐ)は13世紀南宋時代の臨済宗松源派の巨匠で、これは日本からやって来た鎌倉の浄智寺の僧、無象静照に書き与えた法語(仏の教え)である。

虚堂は大徳寺・妙心寺派の直系の祖にあたり、大徳寺派の禅と密接な関係があった茶道では、虚堂の墨蹟はとりわけ重んじられ、右の書は茶会で一番多く使われたという。今回、虚堂の書に7点お目にかかったが、その装飾的な字の形に釘付けになった。華やかな感じがするのが“今”、“天”、“夲”などにみられる左払い。これまでみた墨蹟では一番美しい書である。

日本人僧が書いたものでは宗峰妙超(1282~1337)の力強い墨蹟が印象深い。なかでも“徹翁字号”の大字が忘れられない。また、一休宗純の“尊林号偈”や“七仏通偈”にも思わず立ち止まってしまう。書はまだ入り口をすこし入ったところ。これから機会をとらえて目を慣らしていけばいい。

いずれ書をやろうと考えているので、重くて大きな図録も買っておいた。これだけ大きいと本物の墨蹟が目の前にあるようで、会場での体験が蘇ってくる。

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2006.07.20

棟方志功の道標の柵

439特定の芸術家にあまり偏らないで、いろいろなタイプの画家、陶芸家、彫刻家、版画家をとりあげようと心がけているのだが、好きな作家はどうしても回数が多くなる。

お気に入りの板画家、棟方志功の作品は鎌倉にある棟方板画館を定期的に訪問している度、紹介することにしている。不思議なものでこちらの気持ちが作家に集中していると向こうからも近づいてきてくれる。

棟方の場合、今年は5月に横浜そごうで“棟方志功と柳宗悦展”といういい回顧展があった。これはブログするタイミングを失したが、現在、日本民藝館で行われている特別展にでている絵については昨日ふれた。

7/1からはじまった棟方板画館の06年後期展(12/17まで)にもいい絵があった。今回のテーマは“清風妙韻ー心を描く風景画”。代表作のひとつ、“富嶽頌”は過去数回みた。これは詩人、草野心平とコラボした詩画集“富士山”として出版された。棟方の感性がとらえた様々な富士の情景のなかで、はじめてみたときから脳裏に焼きついているのが“赤富士”。“嗚呼ーあの絵か!”と同じ感想をもつ方も多いかもしれない。

風景画では“東海道五十三次板画柵”と同様、日本人の琴線にふれるものがある。この“富嶽頌”と一緒にでているのが“東海道五十三次”の別ヴァージョン“追開棟方板画東海道妙黛屏風”。“東海道五十三次”は彩色の縦画と墨の横画が交互にでてくる構成になっているが、この絵は縦も横も墨一色。このなかの“御油”や“大扉”がいい感じ。

今回のお気に入りは肉筆画2点と彩色の版画1点。棟方は墨や絵の具で描く肉筆画を“倭画”と呼んでいる。この倭画について、横浜そごうの回顧展に柳宗悦の意外なコメントがでていた。柳はこう言う。“棟方の倭画はとても出来不出来がひどいのです。悪い方が多い位ですが、よいものになると又神品です”。これまで見た肉筆画はいい印象のほうが多かったので“へえー、不出来なのもあるのか!”とそこにでている倭画をじっくりみると、流石、柳の眼力は鋭く、確かにぱっとしないのもあった。ここにある“御鷹図屏風”と大作“清風妙韻図”は神品とまではいかないが、上位にはいる出来栄えである。

右は一番の収穫であった彩色板画、“道標の柵”。これは弘前市民会館大ホールの緞帳の原画らしい。棟方の素晴らしい色彩感覚が存分に発揮された名作である。カラリスト好きなのでこういう絵に会うと天にも昇る気持ちになる。4人の女性の体は白の顔と足以外は墨一色。背景は右から赤、緑、橙色、紫。この背景の色と花で弘前の四季を表している。右の桜の春から夏、秋、冬と続く。

棟方が女性を描くときは一つのパターンがあり、普通に立っている女性と逆立ちをしているように頭が下にくる女性を交互に配置する。最初は頭が下にある女性をつかまえるのに苦労するが、目が慣れてくると“ああー、ここにいるいる”と人物の輪郭がわかってくる。また、手が相対的に大きく、八つ手の葉っぱのように描かれているのも特徴のひとつ。弘前城の別名、“鷹揚城”にちなみ、真ん中には鷹が2羽いる。鮮やかな色彩の輝き、躍動する女性像に惹きつけられ、しばし眺めていた。

ここに来るといつもいい気分になる。次回の展示は来年になるが、また期待して出かけよう。

        ■■■■■棟方志功の展覧会情報■■■■■
10/5~17   幻の棟方志功展(大原美術館所蔵)   大丸東京店

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2006.07.19

民藝運動の巨匠展

106日本民藝館の創設70周年を記念した第2弾の特別展“民藝運動の巨匠展”(9/24まで)をたっぷり楽しんだ。

民藝派陶芸家が好きな人にはたまらない名品がずらっとでている。出品数は河井寛次郎、濱田庄司、バーナード・リーチ、富本憲吉に染色家の芹沢銈介、板画家の棟方志功の作品を加えて約200点。節目の年ならではの嬉しい展覧会である。

04年に濱田とリーチのミニ特別展(拙ブログ04/12/3)があったので、2人の作品はかなりみたつもりだが、まだまだ新しいのがでてくる。一体ここには全部で何点くらいあるのだろうか?河井の制作拠点が京都だったことと関係してるかもしれないが、濱田とリーチの作品のほうが充実しているような気がする。

とくに濱田の作品に圧倒される。前回でてた“緑釉黒流描大鉢”にまた会った。勢いよく掛けられた黒の太い線でできあがる模様は計算されたものではなく即興的にうまれたものだろう。これが観る者にほどよい緊張感を与えてくれる。濱田庄司の鋭い感性が現れた傑作である。大鉢はもう1点、灰地に格子の変形タイプがでている。

大鉢とともに濱田の陶芸でぞっこんなのが赤絵の作品。今回は“白掛赤絵鉢”、右の“赤絵丸紋角瓶”、“赤絵酒注”があった。“赤絵丸紋角瓶”をやっとみれたので嬉しくてたまらない。石膏型で成形された角瓶の形にグッとくるが、心を揺さぶるのは白地に伸び伸びと描かれた円文と線模様の赤と草花文の緑。すっきりした色の組み合わせがなんとも心地いい。

河井では代表作のひとつ、“呉須辰砂丸文草花図角瓶”や“点彩角瓶”、“海鼠釉扁壺”も目を楽しませてくれる。前回の“濱田・リーチ展”でリーチの素晴らしい素描に驚いたが、またまたいい絵があった。“宍道湖”、“瀬戸内海”、“巡礼”、“ヨセミテ”。余白をたっぷりとる構図は東洋人の絵心と変わりない。どんしてこんなに上手なのだろうか?

リーチお得意のガレナ釉の代表作、“兎文大皿”、“櫛描柳文楕円皿”はいつみても感激する。モティーフとして使う兎とかペリカンとか蛸の形は簡略的だが、その姿には動きがあり、強い生命力がつたわってくる。ラスコーの洞窟に描かれた鹿やバイソンにも通じるリーチの鳥や生き物の大皿は魅力いっぱいである。

棟方志功の作品は横浜そごうで開かれた“棟方志功と柳宗悦展”(5/12~6/11)にもでていた。生まれたばかりの赤子のまわりで万歳をする女性たちが描かれた“再誕の柵”やうすい朱色が印象深い“観音経曼荼羅”に足がとまる。芹沢銈介の染色作品を普段見る機会がないので、こうしていくつかの名品がみられるのは有難い。型染の“いろは屏風”、“四季屏風”、“琉球風物”などが飾ってある。そのなかで美しい赤に目を奪われる“琉球風景”を夢中になって観た。

民藝派ビッグネームの作品の魅力をあらためて確認することのできる貴重な展覧会であった。

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2006.07.18

三輪壽雪展

437今年開かれる陶芸展では一番期待していた萩焼の人間国宝、三輪壽雪の回顧展(東近美・工芸館、7/15~
9/24)を観た。

初日から出足がいい。流石、11代三輪休雪の“鬼萩茶碗”の人気は高い。

壽雪は現在96歳。03年、“休雪”号を長男に譲って、自ら“壽雪”と号してライフワークである“鬼萩”の新たな形を求めて、日々作陶活動を続けている。今回は初期の頃から06年に焼かれた茶碗、水差、花入、角皿などが180点あまりでている。タイトルの“萩焼の造形美 三輪壽雪の世界”がぴったりあてはまる大回顧展である。

11代休雪の代名詞となった“鬼萩”が生まれたのは20年前、壽雪75歳のころである。毛利家のために茶道具をつくる御用窯としてはじまり、300年以上の伝統をもつ三輪家の伝統を受け継ぎながら、休雪が独自の形を表現しようとしてたどりついたのが“鬼萩”。鬼萩は砂や小石を混ぜた粗い土でつくる萩焼のこと。繊細優美なものより荒削りでも力強いものが好きだった休雪にとって、この鬼萩が自分の内面を映しだせる形だったのである。両足で踏みながらつくる土づくりや水挽きでは、砂が混じっているので足の裏や手に血がにじむらしい。

白の釉薬は15歳年上の10代休雪(隠居の号、休和)が藁の灰と長石の粉を使い、開発した“休雪白”をさらに改良したもの。兄がつくった雪の柔らかさをだした白を11代は鬼萩のために奥行きのでる白にした。昔からこの縮れを起こした分厚い白をみると綿雪を連想すると同時に、小さい頃駄菓子屋にあった白砂糖が表面にもっこりついたビスケットを思い出す。鬼萩茶碗のもう一つの特徴は大きく十文字に切り込まれた割高台。この堂々とした高台が茶碗の形をより力強くみせている。

今回は20年の間に制作した鬼萩茶碗の代表作の大半がでているので、鬼萩の色や造形の色々なヴァリエーションを楽しめる。色では、雪のように純白のもの、縮れがなく、貫入が入った白一色のもの、ところどころに釉薬がかかってないむき出しの土があり、それが表現力をもっているもの、白い鬼萩が窯変でうす桃色やうす紫に染まったものなど。右の“鬼萩割高台茶碗”は今年焼かれた最新作。野趣のなかに凛とした美しさが感じられる茶碗である。縮れた柔らかい白とその間からみえる鉄地とのコントラストが見事。

今年制作された茶碗がこれを含めて7点ある。東近美の前に寄った日本橋三越の美術画廊にも06年作の茶碗が20点、水差が2点展示してあった(7/11~17)。最近のものは、高台、茶碗全体が大きくなっている。鬼萩の新しい形や色をみていると、三輪壽雪はもう自在に創作している感じ。好きな松尾芭蕉の言葉がある。
“格に入りて出ずば即ち狭し 
 格に入らざれば邪の路に入る 
 格に入りて格を出れば自在を得し”

現在の壽雪はまさに“自在を得し”の域に達している。偉大な陶芸家である。

なお、この展覧会は東近美のあと次の美術館を巡回する。
・山口県立美術館・浦上記念館(萩市):10/7~11/26
・福岡三越(福岡市):07/1/2~1/14
・松阪屋美術館(名古屋市):2/7~2/18
・茨城県陶芸美術館(笠間市):4/21~6/24

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2006.07.17

大リーグ後半戦スタート

436大リーグの後半戦がはじまった。ワールドカップでは日本代表のプレーに“がっかりだよー”だったので、大リーグで活躍する日本選手への関心が例年以上に高い。

所属チームの成績が気になるところだが、イチロー、城島のいるマリナースはアメリカンリーグ西地区の最下位。首位アスレチックスから4ゲーム離されている。同地区の大塚がストッパーをつとめるレンジャーズは首位とは1ゲーム差の2位をキープ。

昨年ワールドチャンピオンになった井口が所属するホワイトソックスは2位。カージナルス(田口)は今年も相変わらず強く、ナショナルリーグ、中地区の首位を走っている。ヤンキースはアリーグ東地区の首位ボストンとは半ゲーム差の2位につけている。

今年の誤算は松井が左手首を骨折し、戦列から離れたこと。アクシデントから2ヶ月たち、怪我も順調に回復し、8月中旬にはゲームに出られるというから一安心。もう少し待てばまた、松井の豪快なバッティングがみられるだろう。ヤンキースにとって、残り74試合はシビアな戦いになる。

アメリカンリーグで今年注目のチームはホワイトソックスと同じ中地区のデトロイトタイガース。現在、ホワイトソックスに4.5ゲームの差をつけトップに立っている。この首位争いをしている2チームが0.674、0.626と高い勝率で走っているため、ほかの地区のチームはワイルドカード(各地区の2位で一番勝率の高いチームがプレーオフに進出)を獲得することが難しい状況になっている。

だから、ヤンキースは是が非でもボストン・レッドソックスに勝って地区1位に入らないと、ポストシーズンに残れない。松井は巻き返しのための重要な戦力。だが、あまり松井に期待しすぎると逆に松井自身がプレッシャーを感じて、調子があがらなくなる可能性もある。実戦から遠ざかっているので無理は禁物。あせらずがんばって欲しい。

イチローの打率、0.344(アリーグ3位)は当たり前という感じ。いずれ1位になってくれるだろう。1年目の城島の活躍も予想通り。打率は0.289、ホームランは10本、打点41。立派は成績である。マリナースは今年もダメだろう。西地区はいつも後半、アスレチックスとエンゼルスがすごい頑張りをみせる。最後はどちらかが優勝するのではないか。

本日のヤンキース戦で4安打を放った井口(左の写真)は守備、打撃の両面でチームの勝利に貢献している。打率0.292、ホームラン10本、打点41は城島とほぼ同じ成績。今年の井口は前半戦に大リーグファンに永く語りつがれるであろう凄いファインプレーをした。ピッチャー横に飛んだ低いゴロを信じられない姿勢で捕球し、その体勢のまま一塁に投げて打者をアウトにしたのである。VTRでみたが今までみたこともない超ファインプレーだった。

ホワイトソックスは新加入のホームランバッターのトーメが期待通り31本(2位)を放つなど勝率は6割を超えているが、首位のタイガースのピッチャーがすごいので追いつけるかどうかわからない。150キロの速球をびしびし投げ込んでくる投手陣を大リーグNO.1捕手I.ロドリゲスがリードしているので鬼に金棒。途中から、ホワイトソックスはワイルドカード狙いの戦い方をするかもしれない。

横浜ベイスターズからドジャースに入団した斉藤隆が現在、ストッパーで頑張っている。チームは2位につけているので、まだまだ優勝の望みがある。10月のワールドシリーズまで、日本人選手をBS1の大リーグ中継で目一杯応援しよう。

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2006.07.16

岡本太郎の明日の神話

489汐留の日本テレビで公開されている岡本太郎作、巨大壁画“明日の神話”(8/31まで)をみてきた。

NTVの特別番組“Be TARO”は見なかったが、かなり前からこのフレーズが流れていたので修復が完了した“明日の神話”をこの目で早く見たいという思いが日増に大きくなっていた。壁画の公開時間は朝11時から夜7時までで、入場無料。

展示会場ではサクソフォンが軽快な音楽を奏でるバンドが練り歩き、雰囲気を盛り上げる。美術品を鑑賞しているのだが、イベント会場に足を踏み入れたという感じである。TV局とのタイアップだから、賑やかな空気を演出するのはお手のもの。赤や黄色の原色がくっきりの岡本太郎の大壁画は自由にイベント感覚で見るのが相応しいかもしれない。

壁画は横30m、縦5.5mあり、右の原画は左の部分。“明日の神話”の経緯は
・1969年 メキシコシティで完成。ホテルのロビーに仮設置 (ホテルは結局未完成) 
・2003年 メキシコシティ郊外の資材置き場で発見される 
・2005年7月 愛媛県東温市で修復作業はじまる 
・2006年6月 修復作業が完了  

この壁画には原爆が炸裂する瞬間が描かれている。そして、右のほうには1954年、ビキニ環礁の水爆実験で被爆したマグロ漁船、第五福竜丸が死の灰を浴びながらマグロを引っ張っている場面もある。中央の炎に焼かれる白い骸骨が胸にズキッと突き刺さる。その下では黒い線で表現された人々が赤い炎のなかを逃げまどい、まわりには濃い緑、茶褐色、赤などの色調で描写された鳥や動物たちの悲しげな姿がみえる。

岡本太郎はこの壁画について、“原爆が爆発し、世界は混乱するが、人間はその災い、運命を乗り越え未来を切り開いていくーといった気持ちを表現した”と述べている。原爆の悲劇だけを描いたのではなく、それに立ち向かう人間の逞しい生のエネルギーをも描いているのである。左端の手を上げたり、足を跳ね上げたりしている白い3人はそのことを象徴的に表しているのであろうか。

500円で販売しているカタログに壁画修復ムーブメントに関わった人たちの熱い思いや“Be TARO”を実践しようとする著名人たちの言葉が載っている。何か新しいことを創造しようとする意気込みが伝わってきて、こちらも元気がでる。いくつか紹介すると。

★糸井重里(コピーライター、Be TAROをつくる)
“岡本太郎のことを強くて端的に表す言葉って何かないかな、と思って。例えば、Be
TARO!とか。お前がTAROになれ!っていうメッセージが岡本太郎から発せられているんじゃないか”
★黒川紀章(建築家)
“創造とは何かという精神を、後世に伝えたい。Be TAROはすなわちBe Creative、Be 爆発”
★村上隆(アーティスト)
“岡本太郎みたいになりたいと思った瞬間に岡本太郎から離れていく。僕は前例のない、岡本太郎ではない何かにならなきゃいけない”
★宮沢りえ(女優)
“岡本太郎という存在を知ると知らないのとでは、人生の楽しみ、ちょっと違うかな”
★鶴田真由(女優)
“私のBe TAROは想いがあったら突っ走れ。これで行きたいと思います”

自分の“Be TARO”を考えてみよう。過去、岡本太郎を取り上げたのは拙ブログ05/8/312/26

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2006.07.15

旧朝香宮邸とルネ・ラリック

434一日にいくつかの展覧会を観るときは西洋美術、日本美術を混ぜず、今日は西洋もの、次は日本ものという風に美術館をまわっている。

今回の“エミール・ガレとドーム兄弟展”(Bunkamura)のあとに行った東京都庭園美術館の“旧朝香宮邸のアール・デコ展”(10/1まで)は理想的な流れだった。二つの展覧会の接点はアール・デコのガラス工芸作家、ルネ・ラリック。

ラリックの作品は昨年、集中的に観て、ガレと同じくらい好きになった。Bunkamuraでは最後にラリックの“バッカスの巫女たち”に出会い、気分がプラトー状態で庭園美術館に足を運んだら、ここにもラリックの名品があった。展覧会は予備知識・情報を必要以上にもたないで見ることにしているので、こうした思わぬ作品のコラボレーションに遭遇すると腹の底から喜びがこみ上げてくる。ミューズに感謝。

今回の展覧会は正面入り口の隣にある“小客室”の改修工事が完了したのを機に、アール・デコの館、旧朝香宮邸をじっくり観てもらおうと企画されたもの。建物を公開するのは3年ぶりらしい。1933年に竣工したこの旧朝香宮邸に当時、アール・デコの顔だったアンリ・ラパンとラリックが関わった。装飾家のラパンは大客室、大食堂、小客室などの内装設計や壁画を手がけ、ラリックは右の大客室のシャンデリア、大食堂にあるパイナップルとざくろが描かれた天井灯、正面玄関のガラスレリーフ扉などを制作した。

この美術館へは過去2回来たことがあるが、企画展にでている作品を見るのに夢中で、部屋の内装とか、つくりに目がいってなかった。もちろん、立派な邸宅であることは体いっぱいで感じていたが、シャンデリアなどがラリック作とはつゆ知らなかった。一番感動したのが見栄えのする玄関のガラスレリーフ扉。いつもあったのだろうが、ラリックが頭にないものだから、見過ごしていた。ラリックの提示した4種類のデザインから選ばれたのが翼のある女性像。が、宮邸の玄関に裸婦はふさわしくないので、女性は薄布で覆われたという。

部屋にラリックのガラス作品がいくつか飾ってあった。いずれも名品。1階の“花瓶、大きなダイア”、2階の“フォルモーズ、金魚文”、“バッカスの巫女たち”、“雀”、“香水瓶”。その中で心を揺すぶられたのが、光の角度で色調が変化するオパルセントガラスでつくられた“バッカスの巫女たち”と香水の香りの魅力をつたえるのにぴったりの丸い形と深い青が美しい“香水瓶・真夜中”。

2階の部屋では“ボンボニエール”という小さなキャンディーボックスにはじめてお目にかかった。ヨーロッパでは子供の誕生祝いや結婚式、復活祭などの祝い事のとき、砂糖菓子をこの箱に入れて、卓上に飾る習慣があり、明治以降、天皇家や宮家でも特注のボンボニエールをつくり、贈答品にしたという。精巧に細工された“鶴亀”、“犬張子”などの“慶びの小箱”を時間を忘れてみた。

予想だにしなかったラリックの名品が見れ、ボンボニエールという初ものまであった。大げさにいうほどではないが、ミニエポック的な展覧会になった。

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2006.07.14

エミール・ガレとドーム兄弟展

433Bunkamuraで行われている“エミール・ガレとドーム兄弟展”(8/27まで)をみた。

ロシアのエルミタージュ美術館が所蔵するガラス工芸品だから、期待を裏切ることはない。昨年、江戸東博であった“エミール・ガレ展”(拙ブログ05/1/30)を見逃した人は、この展覧会をみると少しリカバリーが出来るかもしれない。というのも、この大回顧展の目玉の一つとして展示してあった傑作、花器“トケイソウ”がふたたびやってきているからである。

今回、ガレの作品は42点ある。江戸東博とくらべると数は1/3弱とかなわないが、流石エルミタージュだな感じさせるレベルの高い作品がいくつもある。北澤美術館(拙ブログ04/12/21)や回顧展でガレのガラス作品をかなり鑑賞したので、そこから醸し出される装飾美や高い芸術性に体がビビッドに反応するようになった。

代表的な絵柄に自然と目がいく。ピンク色に魅せられる“トンボにリボン文花器”と“蘭文蓋付壷”。緑のシダの紋様が素晴らしい“シダ文花器”。ドキッとするのが回顧展にも別ヴァージョンがでていた“ヒキガエルにトンボ文花器”。濃い青地に深く彫られた黒のトンボとカエル、キンセンカは一度みたら忘れられないほど強いインパクトをもっている。

心が宝飾品をみるときのように昂揚するのはなんといっても花器“トケイソウ”。扁平な形の胴部に表現された紫色の花を咲かせるトケイソウに目を奪われる。見事な作品である。これが飾ってある部屋にはもうふたつ感動の作品があった。ひとつは大変見栄えのする“菊文花器”。白地に伸びやかに花を開いた菊に圧倒された。もうひとつはガレの作品ではなく、フランス大統領からロシア皇帝ニコライ2世に贈られた一対の大きなセーヴル磁器。ナポレオン展にもセーブルの名品がいくつもあったが、この双頭の鷲が描かれた黄色の花器もまた極上品。うっとりして眺めていた。

この展覧会のもうひとつの売りであるドーム兄弟の作品は24点ある。過去、ドーム兄弟のガラス作品は北澤美術館とウッド・ワン美術館で今回と同じくらいの数をみた。右は花の文様では一番気に入った“チューリップ文花器”。生き生きとした赤いチューリップがとても印象的。ドーム兄弟の作では花の絵柄より風景のほうが魅力がある。花器やランプに木々のむこうにみえる湖にヨットが浮かぶ風景や樹木が情趣豊かに描かれている。

とくに惹きつけられたのが“風雨樹木文ランプ”。ランプのステム、笠いっぱいに風でしなやかに曲がる幹や枝が描かれ、激しい雨をあらわす線が斜めに幾本も引かれている。西洋画や浮世絵に雨が描かれることはあるが、工芸品の絵柄にでてくるのは珍しい。たらし込みのような幹の灰色と背景のうす紫と緑が雨の風景に溶け合い、切々とした哀愁が漂っている。

最後のコーナーには期待もしてなかったルネ・ラリックの作品がある。これは嬉しいオマケ。質の高い種々のガラス工芸がコンパクトにぎゅっと集まった感じのする展覧会であった。東京のあとは次の美術館で開催される。
 ・いわき市立美術館:9/9~11/8
 ・岩手県立美術館:11/18~1/28

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2006.07.13

ポップアート展

432損保ジャパン美術館で“ポップアート展”(9/3まで)がはじまった。

現代アートについては、漠然と年1、2回くらいは名品をみたいと思っている。昨年は10月、府中市美術館へ出かけ、“ホイットニー美術館”で予想以上のいい作品にめぐり会えた(拙ブログ05/10/7)。

1960年代~2000年代と副題のついたこのポップアート展は開催の情報を得たときから期待していた。最近、タイミングよくウォーホルやリキテンスタインの作品のことがでてくる村上隆著“芸術起業論”を読み終えたばかりなので、府中美のときよりも鑑賞欲が強い。

出品されているのは現代アートでは定評のあるミスミコレクションの絵画、版画、写真80点あまり。作家は31人。知ってる作家は10人もいないから、逆に作品への感度はとても新鮮。しかし、誰でも感じることはできるのだから、問題は作家が提示した新しい表現方法や概念についていけるかどうか。これはかなりあやうい。セクション毎についているミニ解説が頭に入り、楽しめるのもあれば、理解が進まず、作品自体に魅力を感じないものもある。

現代アートでも人の心を揺さぶる傑作には印象に強く残るフォルムや色彩の美しさがある。ウォーホルやリキテンスタインがはじめたポップアートは、アメリカの黄金時代における一般大衆の日常生活や楽しみのイメージをそのまま作品にしているので、理解に困るようなことはなく、スッと作品に入れる。

お気に入りはリキテンスタイン。11点ある。色数が少なく、太い黒の輪郭線でつくる平面的な構成はシンプルそのもの。マンガのひとコマをとってきた“泣く少女”は本当に悲しそうな顔をしている。モネの作品を題材にした“積わら”ははじめてみるタイプの絵。黄色と黒、そして、ドットだけで表現されているがいい感じ。部屋の中に円や三角であらわされた形が浮遊する大作、“ふたつのかたち”にも魅せられた。

6点あったウォーホルの作品で好きなのは色彩の対比が鮮やかな“$9”。面白い形に惹きつけられるのが、エイズのため31歳の若さで亡くなったキース・ヘリングの“グローイングⅡ”。これは子供の落書きみたいな絵。手足がふえ、全体がふらふらする様子がよくでている。こういうのは誰でも簡単に描けそうだが、作家本人にしか生み出せない個性的な作品。

現在、30代、40代の作家が描いた最新作にググッとくるのがあった。道についたガソリン、ジュース、ペンキ、血などのシミを集めて、画面のなかで組み合わせたイングリット・カラムの“VVWpt?”(01年)。赤やうす青、うす茶などのペンキを乱暴にキャンバスにぶっつけたようにみえるが、よくみると実に丁寧にシミを描いている。色の組み合わせがうまいので、その色彩の美しさに吸い込まれそうになる。

今回、一番感動したのがマリーナ・カポスの右の“077、白鳥、2004”(04年)。このLA在住の女性アーティストはカリフォルニア州生まれで、現在34歳。左をむいた横顔の半分は白で、耳の部分はうすい青。こみかみのあたりには濃い緑の木が上に伸び、髪と肩は二羽の白鳥?とシルエットになった森とダブルイメージになっている。不思議な香りのする今を映したポップアートである。非常に惹きつけられた。まだ1点しか観てないからわからないが、この画家にのめり込むような予感がする。My好きな女性画家に即登録した。

okiさんから教えていただいたスー・ウイリアムズの“スーパーフラットの試み”(01年)は事前のイメージとはだいぶちがった。村上隆の目指すところとは相当開きがある。才能豊かな新世代のポップアーティストの作品をみれたのは大収穫だった。この人たちは近い将来、NY、LAの画廊めぐりをするころにはビッグネーム入りをしているかもしれない。いや、もうそうなっている?

■■■■■06年後半展覧会情報(拙ブログ7/1)の更新■■■■■
 ・下記の展覧会を追加。
 ★西洋美術
 7/8~8/31    岡本太郎・明日の神話の公開   汐留日本テレビ
 10/14~1/14  アールデコ・ジュエリー展      東京都庭園美術館
 ★日本美術
 7/4~9/24    民藝運動の巨匠展          日本民藝館
 9/29~12/10  現代日本画名作展          八王子夢美術館       

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2006.07.10

マンダラ展と村上隆

431結構な頻度で出かけている展覧会の大半は期待通りの満足が得られているが、たまには下調べ不足で失敗するケースもある。

埼玉県立近代美術館で7/8から開幕した“マンダラ展”(9/24まで)は、砂絵マンダラの実演があるというので期待していた。で、僧侶による実演がはじまる午後1時にあわせて、時間調整をして入館し、展示されている絵画や彫刻をさらっとみて、さあ、お目当ての砂絵をみようとスタンバっていた。

だが、4,5人の僧侶はなかなか描きはじめない。定規とコンパスで下描きの線や円弧を引いてるだけ。どうやらこの砂絵マンダラの制作過程を全く勘違いしていた。TVでマンダラ図が鮮やかな赤や緑で形づくられていくのをみて、下絵を描かず、いきなりどんどん描いていくものと勝手に想像してたのが間違いのもと。

初日は下絵づくりで次の日から彩色していくようだ。よくみると、材料の色のついた砂はどこにもおいてない。係りの人に確認しなかったが、2日目から彩色にはいり、7/16に完成するのだろう。僧侶のまわりを取り囲んで今か々と制作が始まるのを待っていた大勢の人も状況がつかめたようで、ぽつぽつとその場から消えていった。

砂絵は観れなかったので、展示物からなにか収穫がないかともう一度みた。すると、面白いことに村上隆が“芸術起業論”で論述していた興味深い考えを裏付ける仏画に出会った。それは右の“法界語自在文殊図”(部分)。この展覧会は2部構成で最初にマンダラ世界に住む仏や神をグループ分けして、絵や彫刻でみせ、次のコーナーでネパール、チベットで描かれたマンダラ(=仏たちの住む宮殿)絵を展示している。この仏画は20世紀、ネパールで制作されたもの。この絵のどこに注目したかというと、真ん中にいる文殊菩薩の複数の顔と8本の腕。

村上隆の作品、沢山の目をもつかわいいキャラクター“メメクラゲ”がどういう風にして誕生したかが本のなかにでてくる。これがなかなか面白い。村上は水木しげるの漫画“ゲゲゲの鬼太郎”の大ファンで、とくに体中に目を持つ“百目”という妖怪キャラクターがお気に入り。家に百目ダンボールの紙に夜行塗料のついた置き物があり、複数の目が自分を睨み続けているような気がしたという体験から、村上は“多数の目を並べると人を見つめ続ける圧迫感を与えることが出来る。西洋美術の技法は三次元の世界を二次元に表現するという錯覚を生み出しているが、多くの目も錯覚を生み出せると”気づく。で、この多数の目でスーパーフラット(=超二次元的)の概念を表現したのが“メメクラゲ”。

この話しを右の絵と関連づけてみると、複数の顔や胴体からでた何本もの腕がでた大小の文殊菩薩が多数の目になっている。画面は二次元だが、たしかに遠近感があり、大きな空間のなかに自分がおり、見つめられているように錯覚する。これまで、村上隆がいうような視点でこうした仏画を見たことはなかったが、目からうろこが落ちた。

砂絵が見れず惜しいことをしたが、千手観音や文殊菩薩の絵と村上隆のスーパーフラットが結びつくという予想もしなかった鑑賞体験となった。なお、砂絵の公開制作は7/16(日)まで(10時~17時半)行われる。ご参考までに。

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2006.07.09

村上隆著 「芸術起業論」

4301週間くらい前、新聞の広告に現代アーティスト、村上隆が書いた“芸術起業論”(幻冬舎)がでてたので、早速購入し、読んだ。

村上隆の作品を観たのは“コスモス”(拙ブログ05/2/14)と“とんがり君と四天王”(05/8/18)の2点しかないのに、面白いキャラクターが登場する絵画やオブジェにいっぺんに魅せられてしまった。それまで、村上隆というアーティストの作品については全く知らず、抽象的なイメージをもっていたので、こんなポップ的な作品に出会うとは思ってもみなかった。

いまや村上ブランドは欧米のオークションで高値で取引きされている。本にもでてくるが、今年の5月には1億円の値がついたという。日本人の芸術作品としては史上最高額である。これをみても、村上隆が現代アーティストのトップランナーの一人であることはまちがいない。

この本で村上はアメリカ人に自分の作品がなぜ受け入れられたかを論理的に熱く語っている。感心するのは、日本の歴史、文化を深く分析し、自分の新しい表現方法を欧米の美術の世界で使われているルール、文脈のなかで、ビジネスコンサルタント顔負けのプレゼ能力で説明しているところ。アメリカのアートシーンで多大な影響力を持っているインテリの美術批評家や美術館のキュレーターに論理的に説明しないと、いつまでたっても評価されないと気づき、自分の作品のベースとなっている日本のアニメなどのサブカルチャーを新しい日本文化論で提示する。

これまでの浮世絵や琳派でくくられるジャポニズム論ではもう聞き飽きたということになるので、彼らに馴染みのコンセプト、ポップという入り口を用意した。それが漫画やアニメのキャラクターなどの“かわいいを重視する文化”や“オタク文化”という新しい文脈。日本の漫画の主人公やかわいらしいキャラクターは日本古代の神道における神々の設定、自然現象に魂が宿るというアニミズムに源流があるのだと。

さらに、村上は“これまでイギリスとアメリカが生み出したポップという概念が主流だったが、日本文化の本質であるスーパーフラット(=超二次元的)がポップにかわる新しい概念かもしれない”と未来のことまでふみこんでいく。それで企画されたのが日本の芸術の本質を探る“スーパーフラットプロジェクト”。01年アメリカの各地の美術館で開催された“スーパーフラット展”、02年パリのカルティエ現代美術財団の“ぬりえ展”、そして05年のNYジャパンソサエティギャラリーでの“リトルボーイ展”。

“スーパーフラット論”は絵画技術の本質をついている。一点透視図法を用いた西洋の伝統に対して、日本画は多数の視点をもちこんで描かれているが、これで様々な遠近が生まれている。現在では映画“マトリックス”のようにCGでは一点透視図法よりスーパーフラット的空間のほうが自然にみえるという。

この本で村上作品への理解が深まった。“コスモス”の誕生のことが書いてある。村上は生活のために美大予備校の講師を9年間やったそうで、そこで花のデッサンを生徒に教えたという。毎日、花にふれあっているうちに花に接して心を通わす方法がわかってきて、機会があれば花と人の顔を合体させたキャラクターを作りたいと思ったらしい。

“とんがり君”は宇宙人と修行僧が合体したもの。手が沢山あるのは日本美術に詳しい村上が千手観音のイメージをもってきたものだが、ロンドンでみたアンデス文明展にも千手観音みたいな像があり、手や顔が沢山あるのは人の欲望の象徴で、人間の限界を突破したいときに使う表現ではないかと理解し、この像に世界共通の意味づけができたという。この“とんがり君”は難病に苦しむ子供たちや看病する親のためにつくられたもので、村上は死んでいく子供たちに“君が生まれてきたことは祝福されている。人はみな死ぬけど、大事なことは死ぬまでの時間の中で君が自由になることなんだ”というメッセージを伝えたかったと語っている。

07年ロサンゼルス現代美術館で、村上隆の大規模な回顧展が予定されているという。見に行きたくなった。

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2006.07.08

伊藤若冲の動植綵絵 その四

396三の丸尚蔵館で開催中の“花鳥展ー愛でる心、彩る技”は今日から4期がスタートした(8/6まで)。

若冲の“動植綵絵”にもワクワクするが、今回はこれより期待値の高い作品が2点ある。若冲の“旭日鳳凰図”と酒井抱一の“花鳥十二ヶ月図”。若冲7点と抱一の傑作。こんな贅沢な展示があろうか!

“動植綵絵”は“老松白鳳図”、“向日葵雄鶏図”、“大鶏雌雄図”、“群鶏図”、“池辺群虫図”、“貝甲図”の6点。“老松白鳳図”の隣に右の“旭日鳳凰図”(部分)がある。今回は鳳凰図2点、鶏図3点、そして図鑑タイプの小動物、昆虫、貝甲が2点というとりあわせ(全30点のグループ分けは拙ブログ06/3/28)。左に展示されている2点のほかは、鳳凰、鶏を中心に据えた花鳥画であるが、鳥のポーズや姿態をみていると人物を描いた肖像画のようにみえてきた。“群鶏図”はさながらレンブラントらがはじめた集団肖像画。

右の“旭日鳳凰図”は“皇室の名宝展”(99年、東博)で見て以来。あの時も大変感動したが、また、この絵を見られた幸せを噛みしめている。若冲の彩色画のなかでは一番惚れ込んでいる絵である。大げさにいうと、この絵をきっかけにして、若冲にのめり込んだといってもいい。全体図ではこの絵の素晴らしさが伝わらないのであえて、部分図にした。

背中の茶色の羽根、胸のところのうすピンクの羽根、そして首まわりと頭の後ろの白で縁どられた青い羽根がなんともゴージャス!そして、口ばしととさかの赤の輝き。鳳凰という鳥にふさわしい凝りに凝った華麗な描写である。若冲は中国画にでてくる鳳凰をみて、“どうせ神話上の鳥なのだから、とびっきりお洒落でうっとりするような鳳凰にしよう。そのほうが見る人も喜ぶ”と思ったのかもしれない。そのイメージを形にする技をもってるのが若冲の凄いところ。鳳凰とともに惹きつけられるのが様式化された白い波濤。惜しむらくは、左にいる鳳凰の存在感が薄いこと。尾っぽの途中が岩に隠れて切断され、全体の姿が一見してつかめないのである。右の鳳凰だけにしとけば、画面がスッキリして、超傑作になったのだが。

鶏の集団肖像画、“群鶏図”にも目を奪われる。ここに出てくる鶏は“向日葵雄鶏図”や“大鶏雌雄図”の鶏とは羽根の描き方が全然ちがう。色数はあまり変らないが、羽根一枚々のデザインがバラエティに富み、ファッションショーのモデルが着ている衣装を見ているよう。茶色の羽根にもいろいろな柄があるが、よく目立つのが白と黒の組み合わせ。鱗模様であったり、矢印形のまだらとか、先端だけ黒、あるいは生え際は白であとは黒とか。他の絵ではあまり感じなかった黒の美しさがここにはある。一番豪華な姿をしているのは中央で左をむいてる鶏。薄茶とピンクがかった羽根はふさふさした感じで、高価な毛皮のコートを着た貴婦人のようにみえる。

酒井抱一の“花鳥十二ヶ月図”は花鳥画では名画中の名画。昨日も書いたが、構図、色、申し分ない。とくに赤が本当に美しい。抱一は赤を効果的に生かす描き方を熟知している。椿、牡丹、柿。見てのお楽しみ。

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2006.07.07

プライスコレクションのここが凄い!

509東博で“プライスコレクションー若冲と江戸絵画展”(7/4~8/27)がはじまった。初日だったので、まだ混んでなかったが、週末は大勢の人が押し寄せるのではなかろうか。

今、東京には伊藤若冲の最高傑作“動植綵絵”(三の丸尚蔵館)と有名なプライス氏の若冲コレクションが響きあうという願ってもない美術鑑賞空間が出現した。上野と皇居の2箇所を移動するだけで、若冲絵画の真髄にふれられるのだから、これほど楽しいことはない。

プライスコレクションのお目当てはもちろん若冲が中心だが、ほかにも追っかけていた作品がある。600点にものぼるといわれる江戸絵画コレクションから厳選された101点のなかで、どの絵が凄いか、魅力があるかをピックアップしてみた。

Ⅰ伊藤若冲 
画集によく載っている作品は今回の18点のなかに全部含まれている。一部はみたことあるが、プライス氏が24歳ころから蒐集した自慢の若冲ワールドが目の前にある。気持ちがぐーんとハイになるが、国内にある若冲作品と較べて、どの絵が凄いか、冷静にみてみよう。誰もが羨むのが“鳥獣花木図屏風”(拙ブログ04/11/29)。これは海外に流失した日本の名画の一つにあげられる絵である。

モザイク画のような描き方に仰天するが、これに目が慣れてくると、白象、豹、鹿や鳳凰、鶏、鶴などを沢山スーパーフラット(超二次元)に描いた楽園世界からしばらく離れられなくなる。静岡県美にある同タイプの“樹花鳥獣図屏風”(拙ブログ05/3/7)に較べると、こちらの方が色が鮮やか。とくに目にしみるのは木々や野原に使われている緑やうす緑。そして、画面中央にドンといる大きな象や横にのびる細長い線に見える白。

2度目の対面で、ちょっとした発見があった。色に組み合わせで、はっきり捉えられない対象がある。とくに左隻にそれを感じる。例えば、鶏のまえにいる黒い羽の鳥(ほろほろ鳥?)の顔はどこにあるの?また、静岡県美の作品では、茶色の尾っぽを勢よく上に跳ね上げた鳳凰の姿に釘付けになったのに対し、ここにいる鳳凰はどうなっているの?という感じ。首や腹、前の羽根、尾っぽの配色がイマイチでぱっとみて、形態がわかりにくいのである。“動植綵絵”でも色がかぶるところがある。稲穂の茶色と雀の羽の茶色が重なるとか。カラリストという点では若冲より酒井抱一や神坂雪佳のほうが上のような気がする。

今回一番魅了されたのが水墨画の屏風“花鳥人物図屏風”と右の“鶴図屏風”。墨の濃淡がこれほど美しく感じられる絵はそうない。鶏や鶴の羽の濃い墨が輝いている。と同時に、横向きあるいは背中をこちらにみせる卵形の僧侶、なすびやハート形の鶴、円々に太った鶏など意表をつくフォルムに目が点になる。こういうユーモラスな形の鶴や鶏の絵をみる機会は過去あったが、これほどどっと出てくると完璧にKOされる。絶品である。自分の家で毎日眺められたらどんなに心が洗われることだろう。

彩色画の“紫陽花双鶏図”、“旭日雄鶏図”、“雪中鴛鴦図”、“群鶴図”、“竹梅双鶴図”も高い画技で映しとった写実と超想像力から生まれる幻想の入り混じった上質の花鳥画である。だが、最高傑作の“動植綵絵”を観ているからか、色の輝き、細かい描写に物足りなさを感じてしまう。三の丸尚蔵館でこの絵を楽しんでいる人の多くは同じ感想をいだくはず。

Ⅱ江戸絵画 
まず、円山応挙。最後のコーナーに飾ってある“懸崖飛泉図屏風”。余白をたっぷりとり、画面の上のほうに滝を描く作品は何点か観たことがあるが、これほど澄みきった山水画ははじめてみた。川の流れのうす青は代表作、“保津川図”(重文)を連想させる。また、“赤壁図”の水流の描き方は大英博物館が所蔵する“氷図”と似ている。

長澤芦雪の“象と牛図屏風”は若冲の作品とともにプライスコレクションの価値を高めている作品。これは長年追っかけていた絵で、やっとお目にかかれた。大きな黒い牛とその後ろ足のところにちょこっと座っている白い子犬のコントラストが実にいい。右の画面からはみだした白象の背中には黒い鳥がいる。白黒、そして大小の対比を強調する芦雪の豊かな発想にただただ感服するばかり。“牡丹孔雀図屏風”は4つくらいある応挙の名品と較べると負けるが、師匠譲りの首や胴あたりの羽根一枚々の繊細な描写は見事。Aクラスの絵であることはまちがいない。

Ⅲ江戸琳派 
酒井抱一の“花鳥十二ヶ月図”は優品。この画題は人気があり、抱一は何点か制作した。三の丸尚蔵館のもの(花鳥展4期に出品される)がベストだが、出光所蔵よりはこちらの方が色が鮮やか。紫陽花の青(6月)、2羽の白鷺の構図のとりかた(11月)などに足がとまった。“三十六歌仙図屏風”も代表作のひとつ。ワシントンのフリーア美術館に色使いがちがうだけでこれと全く同じ人物配置の絵があり、流石、プライス氏も同じものを手に入れていた。名古屋であった琳派展(94年)に、抱一らしい装飾的で品のある作品“四季草花図・三十六歌仙図色紙貼交屏風”とともにでていたので、2回目の鑑賞である。

プライス氏が若冲とともに愛したのが鈴木其一の絵。9点あるが、これだけ其一の高い画才があますことなく発揮されたコレクションは日本には無い。素晴らしいの一言。“漁樵図屏風”と“柳に白鷺図屏風”は94年の琳派展にでていた。04年の琳派展(東近美)でみて感動した風俗画の逸品、“群舞図”にまた会った。もう、嬉しくてたまらない。今回はじめてみた“群鶴図屏風”にも感激した。この“群鶴図屏風”、“柳に白鷺図屏風”は最後のガラスケースがとっ払われ、ライティングが工夫された展示室に飾られている。光の変化に画面の色が微妙にかわっていき、これが気分を最高潮に高めてくれる。観てのお楽しみ。

Ⅳ浮世絵 
浮世絵のなかにびっくりするいい絵があった。勝川春章の“二美人図”。肉筆美人画では一番の名手といわれる勝川春章の傑作はMOA、出光美術館、東博にあるが、かりにMOAの“婦女風俗十二ヶ月図”(重文)を10点とすると、これは8点くらいの絵。また、河鍋暁斎の“妓楼酒宴図”という面白い絵があった。客や花魁、幇間らがどんちゃん騒ぎをしている座敷の衝立には眉間に皴をよせた達磨が描かれている。このとりあわせがユーモアたっぷり。

ここで紹介した絵のほかにも見所はいっぱいある。満足度200%の展覧会であった。

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2006.07.06

広重の東海道五十三次シリーズ

427歌川広重が描いた風景画の傑作、“東海道五十三次”にはいくつか別ヴァージョンがある。

馴染みのものは広重が37歳のときに刊行した“保永堂版”。これが大ヒットしたので、広重はその後亡くなる(1858)前年まで、20種以上の東海道シリーズを描いた。太田記念美術館では現在、そのなかの主要シリーズを展示している。日本橋から26宿目の掛川までは前期で終了し、後期(7/1~17)は27宿目の袋井から終着点の京三条大橋まで。

“保永堂版”(1833年)のほかの東海道とは?時間軸でみて早いほうから並べると、
1840年    狂歌入東海道 
1841~42年 行書東海道 
1849~50年 隷書東海道 
1848~52年 美人東海道 
1852年    人物東海道 
1855年    竪絵東海道 

狂歌入、行書、隷書東海道というのは過去あった浮世絵展で時々みたことがある。直近では、鋸南町の菱川師宣記念館に“狂歌入”が全点でていた。今回はじめてみたのが美人、人物、竪絵東海道。“美人”は宿場の風景がでてくる画中画を背景にして女性が描かれた縦長の絵。

これらの東海道シリーズは絵の価値としては保永堂版には敵わない。保永堂版を10点とすると平均的には6点くらいの作品である。登場人物が多く、ごちゃごちゃしてたり、構図も悪くはないが、“保永堂版”のようにハットさせられたり、動きがあるものが少ない。だが、なかには8点を与えてもいいのがある。

後期の作品では、大きな遠州だこが目を惹く“袋井”(隷書)、波の描写と真ん中にある2本の松が印象深い“浜松”(隷書)、構図と緑の色が冴える“荒井”(隷書)、手前に大きく描かれた渡舟と遠景の小さな鳥の対比が見事な“桑名・七里の渡舟”(隷書)、広重が得意な雪景色の“石薬師”(行書)など。

右は6点くらいの絵だが、描かれている場面に引きつけられた“大津”(隷書)。拙ブログで取り上げた大津絵を売る店を描いている。旅人が土産物として買った大津絵がこんな風に売られていたのかと興味深くみた。アイチャッチに“鬼の念仏”が飾られている。店の中では旅人が4枚の絵の中からどれを買おうかと思案中。これはいい絵をみた。

今回の展覧会で広重の東海道シリーズは終了。次の狙いは“木曾街道六十九次”。千葉市美術館で開催される“東海道・木曾街道展”(9/5~10/9)が待ち遠しい。

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2006.07.05

菱川師宣記念館

426川村記念美術館のあと、内房総、鋸南町(きょなん)にある菱川師宣記念館を訪問した。

ここは、前回の川村行きの際、連チャンで回る予定であったが、想定外の交通渋滞に巻き込まれ、入館時間に間に合わなくなったため、訪問を先延ばしにしたところ。記念館は保田(ほた)漁港から近く、国道127号線沿いの“鋸南道の駅”のなかにある。

菱川師宣が描いた浮世絵の代表作はだいぶ観てきた。東博では有名な“見返り美人図”、“歌舞伎図屏風”(重文)、“よしはらの躰”。ここでまだお目にかかってないのが“北楼及び演劇図巻”。ずっと待っているのだが、なかなかでてこない。出光美術館にもあのぽっちゃり顔の肉筆美人画や江戸の町や遊郭を描いた風俗画がある。“秋草美人図”、“遊楽人物図貼付屏風”、“江戸風俗図巻”、“遊里風俗図”。弟子の師平による“春秋遊楽図屏風”も逸品。

また、静嘉堂文庫で観た藤の下で綺麗な着物に身をつつんだ数組の男女が踊りや食事に興じる場面などが描かれた“十二ヶ月風俗図巻”も印象深い。菱川師宣の絵はなめらかな線で生き生きと描かれた美人画だけかと思っていたが、MOAには岩佐又兵衛の作風をちょっと髣髴させる“大江山物語”のような説話物もあった。大江山に住む鬼の棟領酒天童子が源頼光等に退治される話しを絵画化した墨摺りも忘れられない。そして、昨年7月の大谷コレクション展に出品された“元禄風俗図”(拙ブログ05/7/17)もよかった。

師宣の生地に建てられた記念館なので、そこそこの作品は展示してあるかもしれないが、まあびっくりするような絵には出くわさないだろうなと踏んでいた。はたして、予想通りの肉筆画や版画だった。興味深くみたのが、師宣が気楽な鑑賞用、絵手本として描いた“雑画巻”。猿、貝と鼠、天女と雷神などいろいろな画題がでてくる。“江戸風俗図巻”もあったが、これは菱川派とあるから弟子たちによる工房作。

収穫は東海道の道のりを描いた道中名所絵図ともいうべき折本、“東海道分間絵図”。作者である地誌図の大家から版下を依頼された師宣は、図ばかりでは楽しみが薄いので、風俗を加えて美しくしたら、女子供も喜ぶのではないかと提案すると、じゃそれでいこうとなったらしい。確かに観てて楽しい名所絵図である。もうひとつ、ここを訪問してよかったな思ったのは、右の“築山図付庭尽”のような絵本をいくつも見れたこと。師宣は絵づくしの絵本を沢山描いているが、これはその一つで、様々な庭の図を集めたもの。ほかには“美人絵づくし”とか“四季模様づくし小袖雛形”などがある。

一度は行ってみたかった菱川師宣記念館。浮世絵の生みの親、師宣が生まれた保田に足を踏み入れたことは浮世絵好きとしては感慨深いものがある。

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2006.07.04

パウル・クレー展

181今年2回目の“パウル・クレー展”を川村記念美術館でみた(8/20まで)。

これは2月、大丸東京店であった企画展(拙ブログ06/2/11)の巡回ではなく、ドイツのクレーコレクションでは定評のある3つの美術館蔵と国内の美術館の作品によるもの。約150点の絵画、素描、版画がでている。

国内からは東近美の純粋な色彩のコンポジションが美しい“花ひらく木をめぐる抽象”や大原美術館の“A”などがあるので、ひょっとすると日本にあるクレーのいい絵が全部集まっているかもしれない。これはまたとない機会である。ドイツの美術館からやってきたのにもいい絵がある。

数が多いからクレーのいろいろな絵を楽しめる。作品をタイプ別にみて気に入ったのは。
Ⅰ色彩美:“駱駝”、“バラの庭”、“測量された区画”、“花ひらく木をめぐる抽象”
Ⅱモザイク画:“直角の半円”、“プルンのモザイク”
Ⅲ文字や記号がある絵:“上昇”、“回転”
Ⅳ引掻き線描:“イルマ・ロッサ 女調教師”、“旗のたったパヴィリオン”、“花の神殿
 にて”
Ⅴシュルレアリスム:右の“頭も手も足もハートもある”、“黒い殿様”、“真珠をつけた
 旦那さん”
Ⅵ太い線:“婦人とモード”、“赤いチョッキ”、“石板の花”、“砕けた鍵”

好みのタイプはカラリスト、クレーの天分が発揮された色彩が鮮やかな油彩画。“花ひらく木をめぐる抽象”のような幾何学模様にも惹きつけられるが、駱駝の三角のこぶと耳が緑や赤のタンポポの頭のようなフォルムのなかに混じり、ダブルイメージで構成されている“駱駝”が印象深い。また、小さなモザイク画、“直角の半円”も観てて心がスッキリする絵。

クレーの頭は柔らかいなと感じさせるのがシュールな絵。今回一番ドキッとしたのは右の“頭も手も足もハートもある”。画面の真ん中に赤いハートのマーク。胴体を無くして、頭と手足をばらばらにし、四隅に配している。なんか変だがタイトル通りのイメージが面白い。もう一点、思わず笑ってしまうのが“真珠をつけた旦那さん”。これをみて瞬間的に連想したのが宴会芸の腹踊り。目とか鼻、口を描いた腹をくにゃくにゃ動かして、笑わせるあの腹芸である。興味のある方は是非ご自身の目で。

難病にかかり、辛い時期に制作した“太い線”タイプの作品が最後のコーナーに沢山飾ってある。中でも、黒の太い線でシンプルに顔の輪郭をつくったり、歩く姿を表現した“赤いチョッキ”はイメージが色々ふくらむ楽しい絵。クレーの多面的な画才と深い精神性が作品を通して十分伝わってくる質の高い回顧展であった。

この美術館のあと、北海道県近美(8/29~10/9)、宮城県美(10/17~12/10)でも開催される。

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2006.07.03

ルーヴル美術館展

424東京芸大美術館で開催中の“ルーヴル美術館展”(8/20まで)は開幕して3日後に見た。

多くの人が入場していたが、大混雑というほどではなく、メイン会場である3階に展示してあった作品をじっくりみることができた。ここは外から光が入り、明るく開放的な展示空間だったので、とても気持ちがいい。

ルーヴル美術館は15年前に行ったきりなので、古代ギリシャ彫刻の印象もだんだん薄れ、今では04年のギリシャ旅行で見た大理石やブロンズ彫刻、陶器、黄金の装飾品によりギリシャ美術のイメージができあがっている。今回の出品作はギリシャでの鑑賞体験や図録などで得た知識を補強する上で大変役立ち、見入ってしまうものが多かった。

ローマ時代の模刻とはいえBC5世紀からBC4世紀のクラシック期の彫刻が目の前にあるのだから、テンションはかなりあがる。展示リストの原作者をみるとその頃の大彫刻家がずらっと出てくる。アテネのパルテノン神殿の総監督フェイディアス、ポリュクレイトス、アルカメネス、クラシック時代後期(BC380~330頃)に活躍したプラクシテレス、スパコス、リュシッポス。

展覧会の売りはプラクシテレスの“アルルのヴィーナス”。ヘレニズム期、BC100頃の“ミロのヴィーナス”に較べると、あまり官能的でなく穏やかで優雅なやさしさが感じられるヴィーナスである。横からみた端正な顔がとても美しい。このヴィーナスに負けず劣らず魅力的な顔をしているのが“カウフマンの頭部”。男性裸体像で美しさが目立つのがエラフラノール作、“ガニュメデス”とプラクシテレスの“とかげを殺すアポロン”。プラクシテレスはかつては大蛇を殺したアポロンを女のような体をした少年として表現している。後ろからみてもふくらはぎはなく、すらっとした足。

これに対し右のアルカメネス作、“ボルゲーゼのアレス”(BC420年頃)は典型的なギリシャ彫刻。ここには力強さと優美さが一体となった理想的な肉体美が見られる。ぐるぐる何回もまわってみたが、どこから見てもグッとくる。筋肉逞しい肉体だけでなく、頭に被っている兜にも目がいく。作品のなかでは一番魅せられた。また、アレクサンドロス大王の宮廷彫刻家であったリュシッポスの“ヘラクレス”にも足がとまる。頭や手が欠けているが、怪物やライオンをやっつけたヘラクレスの豪腕ぶりが伝わってくる見事な作品である。

流石、ルーヴル美術館。作品のレベルがちがうという感じ。満足度150%の展覧会であった。

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2006.07.02

ワールドカップ ポルトガル4強

423ワールドカップ決勝トーナメント、準々決勝イングランド対ポルトガル戦をみた。

2日前のドイツ対アルゼンチン戦も最後の決着がつくまでTVの前にいたが、またしても勝敗はPK戦で決まった。ベスト4に入ったのはポルトガル。ポルトガルが準決勝まで進んだのは40年ぶりだそうだ。

国内では日本代表が決勝トーナメントに進出できなくなり、オシム氏の次期監督就任に関心が集まっているが、そんな話しより準々決勝に勝ち進んだ8チームの死闘のほうが数倍面白い。でも、ワールドカップのときだけTV観戦する俄かサッカーファンで、戦術とか選手の名前はほとんど知らないので、サッカーの楽しみ方はきわめて感覚的で単純。

イングランドではベッカム、オーエン、ポルトガルの選手はフィーゴしか知らない。オーエンは一次リーグで怪我したらしく、イングランドのFWはルーニーの1トップ。この選手、まだ20歳という。へえー。態度はかなりデカイが。昨年スポーツニュースでジェラードとかランパードがよくでてきたが、FWではなくMFだった。この試合をみてると攻撃のテンポはイングランドのほうが速く、なんか点が入りそうな感じだが、なかなかシュートが決まらない。いかつい顔をしたルーニーは元気よく走りまわっているが、いい形でボールにタッチできない。

注目はひとえにベッカムの動き。だが、期待したFKも壁に当たってしまった。面白かったのはベッカムがキックするときポルトガルの壁をつくっていた選手は皆跳び上がっていたこと。ボールの軌跡を読んでこういう動きをするようだ。そのベッカムが後半、7分、右足負傷のため交代した。これでイングランドは負けるのではと思っていたら、17分にはルーニーがレッドカードで退場になった。後半、ポルトガルの司令塔、フィーゴがだす柔らかいパスでイングランドは危ない場面も何回かあったが、なんとか守りきった。

だが、イングランドの選手は延長戦で足が動かない。これに対し、ポルトガルはイケ面のロナルド(左)が強烈なシュートを放つなど、ゴールが決まりそうな雰囲気だった。イングランドの頑張りもここまで。PK戦はことごとくポルトガルのGKリカルドに止められてしまった。ポルトガルの二人もはずしたが、イングランドのGKロビンソンがとめたのではなく、ミスキックによるもの。結局、足を動かしそわそわしていたロビンソンの読みは全部はずれ、逆に冷静なリカルドはきっちりコースを読み、ランパードを止め、、ジェラードも防いだ。ポルトガルは最後に若きストライカー、ロナウドが決め、勝利を手にした。

フランス対ブラジル戦は100%、ブラジルの勝ちと思っていたが、目を覚ましてみると1-0でフランスが勝っていた!!ジダンがお膳立てしてアンリが軽くシュート。8年前の強いフランスが戻ってきた。準決勝のポルトガル対フランス戦も目が離せない。

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2006.07.01

展覧会情報(06年後半)

本年も今日から後半。そこで、美術関連雑誌、チラシ、美術館HPなどから得た
情報をもとに7月から12月に開催される注目の展覧会をまとめてみた。

★西洋美術
7/8~8/27     ガレとドーム兄弟展        Bunkamura
7/8~8/31     岡本太郎・明日の神話の公開  汐留日本テレビ
7/8~9/3      ポップ・アート展          損保ジャパン美術館
7/8~10/1     旧朝香宮邸アール・デコ展   東京都庭園美術館
7/13~9/24    シャガール展           青森県立美術館
7/22~8/27    イギリスの美しい本展      千葉市美術館
7/23~8/20    クローデル展            府中市美術館
7/28~8/27    京近美蔵洋画展         横浜そごう美術館
8/1~10/1     ペルシャ文明展          東京都美術館
8/3~8/24     アートコレクション展        ホテルオークラ
8/15~10/15   モダン・パラダイス展       東京国立近代美術館

9/2~1015     ピカソ・モディリアーニ展     Bunkamura
9/7~9/26     ラウル・デュフィ展         大丸東京店
9/9~10/15    日曜美術館展           東京芸大美術館
9/12~12/10   ベルギー王立美展        国立西洋美術館
9/16~11/12   ウィーン美術アカデミー展    損保ジャパン美術館
9/23~1/4     ダリ展               上野の森美術館
10/14~1/8    ビル・ヴィオラ展         森美術館 
10/7~12/10   アンリ・ルソー展          世田谷美術館
10/19~12/24  大エルミタージュ美展      東京都美術館
10/14~1/14   アールデコ・ジュエリー展    東京都庭園美術館
12/11~1/14   草間彌生展            千葉市美術館

★日本美術
7/1~9/24     夢二大正ロマン展         竹久夢二美術館
7/4~8/27     プライスコレクション・若冲展   東京国立博物館
7/4~9/24     民藝運動の巨匠展        日本民藝館
7/8~8/6      若冲・動植綵絵展示4期     三の丸尚蔵館
7/8~9/24     マンダラ展             埼玉県立近代美術館
7/15~9/24    三輪壽雪展            東近美工芸館
7/15~8/27    開館110年記念展        京都国立博物館
7/22~9/3     青磁の美展            出光美術館
8/1~10/9     始皇帝と兵馬俑展        江戸東京博物館
8/12~9/10    若冲・動植綵絵展示5期     三の丸尚蔵館
8/22~28      濱田&河井展           日本橋三越

9/1~10/26    歌麿・栄之展            太田記念美術館
9/2~10/22    花鳥画展              野間記念館
9/5~10/9     広重・東海道、木曾街道展    千葉市美術館
9/5~10/9     前田青邨展             岐阜県立美術館
9/9~10/1     国宝 風神雷神図屏風展    出光美術館
9/9~12/23    花鳥画展              松岡美術館
9/10~10/15   近藤浩一路展           練馬区立美術館
9/16~11/12   楽焼茶碗展             三井記念美術館
9/26~10/22   国宝 山越阿弥陀図展示    東京国立博物館
9/29~12/10   現代日本画名作展        八王子夢美術館
9/30~11/19   竹内栖鳳展            山種美術館

9/30~11/26   清朝磁器展            静嘉堂文庫
9/30~12/3    富本憲吉展            茨城県陶芸美術館
10/3~12/3    仏像展               東京国立博物館
10/3~12/10   中国宋元画展           畠山記念館
10/5~17      棟方志功展            大丸東京店
10/7~11/5    国宝 伴大納言絵巻展      出光美術館
10/17~11/26  京焼展               京都国立博物館 
10/21~12/10  ボストン肉筆浮世絵展      江戸東京博物館
10/21~11/26  天心と日本美術院展       五浦美術館
10/21~12/24  山口蓬春展            神奈川県近美葉山館
11/3~12/3    浦上玉堂展            千葉市美術館

11/7~12/24   日本画と洋画のはざま展    東京国立近代美術館
11/11~12/24  所蔵名品展Ⅱ           出光美術館
11/11~12/29  江戸絵画展            遠山記念館
12/2~1/23    鍋島展               MOA美術館
12/2~3/4     千住博展              山種美術館
12/19~2/25   松田権六展            東近美工芸館

(ご参考)
・西洋美術で期待が膨らむのは“ベルギー王立美術館展”、“ダリ展”、“大
 エルミタージュ美術館展”。
・ベルギー王立美術館は昨年訪問したばかり。ブリューゲルの“イカロスの
 墜落”やマグリッド、クノップフにまた会えるかと思うとワクワクする。
・フロリダにあるダリ美術館には行けないので、ここの名品がやってくるのは
 有難い。
・東京都美術館がプーシキン美展に続いて、今年も印象派の名画をみせてく
 れる。ゴーギャンの“果物を持つ女”は現地でみたが、絶品。メトロポリタン
 美蔵の“マリアを拝す”とともにゴーギャン作品のなかでは一番のお気に
 入り。これがまた観られのは最高に嬉しい。

・日本美術も豪華な展覧会が目白押し。7/4から東博ではじまる“プライス
 コレクション、若冲展”、“仏像展”、“ボストン肉筆浮世絵展”がビックスリー。
・プライスコレクションは若冲のほかでは芦雪の“象と牛図屏風”が狙いの
 1点。首をながくして待ったが、ようやく観られる。
・ボストン美術館の肉筆浮世絵には相当しびれるのではないかと期待して
 いる。ビゲローが熱心に蒐集した北斎、春信らの絵に気がはやる。
・国宝の一級品がこの秋、沢山東京でみられる。関西からやってくるのが
 宗達の“風神雷神図屏風”(京都・建仁寺)、“山越阿弥陀図”(京都・禅林
 寺)、仏像展に出品される“十一面観音菩薩立像”(滋賀・向源寺)。
・久しぶりに展示されるのが出光の“伴大納言絵巻”と畠山美術館の牧谿作、
 “煙寺晩鐘図”。“煙寺晩鐘図”は中国宋元画展の10/31~11/12に限って
 展示される。お見逃しなく。
 

          

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