日本民藝館の小鹿田焼
4/4から行われている日本民藝館創設70周年記念展は明日、6/25(日)で終了する。
美術館が開館して○○年のような節目の年は名品をまとめてみる絶好のチャンス。今回はこの特別展にあわせて出版されたと思われる“別冊太陽 柳宗悦の世界”(06年2月、平凡社)や入場料を払うとくれるパンフレットにのってる柳宗悦が収集した代表的な民藝品がだいたい見られる。
2年前から定期的に通って、種々の作品を鑑賞してきた。はじめは河井寛次郎、濱田庄司、富本憲吉、バーナード・リーチの焼いた陶芸品を中心に見ていたが、今年は金城次郎が制作する魚文の琉球陶器(拙ブログ06/1/25)などとの出会いもあった。そして、1階の展示室にいつも展示してある李朝の焼物にだいぶ目が慣れた。今回、柳が李朝工芸の美しさに目覚めるきっかけとなった“染付面取草花文瓢型瓶”をはじめ“白磁大壺”、“鉄砂染付葡萄に栗鼠文壺”といった名品がずらっと揃っている。李朝陶磁器は静かな温かみが感じられてとてもいい。
日本の焼物にも味わい深いのが並んでいる。02年に日本民藝館所蔵品としてははじめて重文の指定をうけた“絵唐津芦文壺”、焼締の肌に黒が輝いている“信楽焼締黒釉流文壺”、朱赤の冴えが美しい“瀬戸麦藁手碗”、右の“小鹿田甕”などに痺れた。なかでも小鹿田焼(おんた)の色にぞっこん惚れている。3年前、小旅行で大分県日田市の小鹿田の里に行き、この焼物の虜になった。品物は大きな壺や皿から食卓やテーブルにおかれる碗や鉢、皿など色々あったが、惹きつけられたのは色の組み合わせ。
ヨーロッパの匂いがする質朴ですっきりした色彩なのである。濃い白を地にアクセントとして流された緑や青が実に心地よい。日本の色彩感覚や模様とはとても思えない。昭和29年、バーナード・リーチがこの焼物を賞賛し、1ヶ月滞在し、制作に取り組んだというのがわかるような気がする。そのときの作品が日田資料館に展示してあった。昨年はここでミニ小鹿田焼展があり、白、緑、茶色が印象深い刷毛目模様の大皿や大壺・甕をいくつもみた。Myカラーが緑・黄色なので、右の甕のように美しく流れる緑をみると最高に感激する。
絵画では朝鮮の民画、日本の大津絵、泥絵が面白い。また、沖縄紅型着物の模様に目を奪われる。そのなかに青地に紅色の雁が何羽も飛ぶ意匠の着物が飾ってある。いつかこれを見たいと願っていたが、雁の鮮やかな紅色をしばらくうっとりとして眺めていた。この展覧会のお陰でここの所蔵品は一休みできる。今、関心があるのは図録にでてた作品が見られなかった朝鮮の民画。期待して待つことにしよう。
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