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2006.06.17

伊藤若冲の動植綵絵 その二

397皇居の三の丸尚蔵館へ毎月出かけるのが楽しみになっている。伊藤若冲の代表作、“動植綵絵”の展示は第2期(4/29~5/28)は済み、現在は3期(6/3~7/2)を開催中。FIFOにしたがい、まず第2期の6点から。

出品作は“雪中鴛鴦図”、“梅花皓月図”、“梅花群鶴図”、“棕櫚雄鶏図”、“桃花小禽図”、右の“菊花流水図”。今回の公開は一度に6点しか出てこないが、絵のタイプが1点ごとに違うので、観る者の想像力を掻き立ててくれる。とにかく若冲はいろんな絵を描く絵師だ(拙ブログ06/3/28)。

期待の絵は“雪中鴛鴦図”。雪の積もった細い枝の下で頭を水のなかに突っ込んでいる鴛鴦に目が釘付けになる。花鳥画に鴛鴦はよく登場するが、こんなポーズは見たことがない。もう一方の鴛鴦は胡粉で表現された雪でいっぱいの岩に静かに片足でとまっている。この動と静の対比がすばらしい。日本絵画における花鳥画では出色の出来栄えである。

画面のなかで白の美しさが際立っているのが“梅花群鶴図”と“棕櫚雄鶏図”。鶴と鶏では白い羽根の描き方が一部異なる。鶴の首から下の胸のあたりは線が縦横にひかれているのにたいし、鶏の胸は後ろの背中の羽根と同じように描かれている。暗い色調の背景に一段と映える精緻に描かれた羽根一枚、毛一本。若冲は完全に胡粉(白)の魅力にとりつかれたようだ。“棕櫚雄鶏図”で白い鶏に較べ、黒い鶏は可哀そうなくらい存在感がない。棕櫚とともに白い鶏の引き立て役になっている感じである。

右の“菊花流水図”は“雪中鴛鴦図”と共にお気に入りの絵。若冲の全作品のなかで世界レベルで通用すると思うのが3つある。水墨の点描法の“石灯籠”(京博)、桝目描きの“鳥獣花木図屏風”(プライスコレクション)、そしてこのファンタジー画の“菊花流水図”。画面の上と下にある花火のようなふぐ刺しのような菊の花の根っこはどこにあるのだろうか?茶色の鳥が一羽とまっている群青と緑青の鮮やかな岩から出ているのか?この空に浮かんでいる感じとその下に描かれたこちらのほうに近づくにつれ大きくなる流水模様が面白い。光琳の流水からヒントを得たのかもしれないが、光琳模様よりずっと柔らかくトポロジー的な造形になっている。

下の部分をもうちょっとスッキリ表現していたらアールヌーボーも真っ青の作品になっていた。こんなサイケでファンタジーな絵を生み出す若冲のスーパー想像力にただただ唖然とするばかりである。

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コメント

いづつやさま、お久しぶりのカキコです。
先週の火曜日に三の丸尚蔵館に出掛けてきました。


投稿: あべまつ | 2006.06.18 15:31

ごめんなさい!途中で送信ボタン押してしまって・・・

若冲の絵を見ていると、時々着物の反物にしたい気持ちになります。タペストリーもいいなぁと思うことも。
京都の友禅の染物の匠の影が見えるような気がしています。

来月のプライス展楽しみですね。
残念ながら、三の丸の2期のほうをみる機会に恵まれず、
悔やまれます。残りはきっちり見届けたいと思っています。
いかれなかった展覧会の記事を拝見して、なんとか心休めています。感謝です。

投稿: あべまつ | 2006.06.18 15:38

to あべまつさん
若冲はデザイナーとしてのレベルも相当なものですね。細部の描写が
見事なので、同じ模様が何回繰り返されてもわずらわしいとかビジーと
いう感覚が生じません。

若冲は中国画を相国寺で見たり、友禅の紋様などにも接し、画題や造形の
ネタを沢山持っていたのでしょうね。あとは超想像力を駆使して、画面を
構成していく。まったくスゴイ絵師です。

7/4からはじまるプライスコレクション展は日本画では秋のボストン美の肉筆
浮世絵名品展とともに今年最大のイベントですね。楽しみです。

投稿: いづつや | 2006.06.18 22:48

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