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2006.06.29

エドゥアルド・チリーダ展

421今月は鎌倉で気持ちのいい美術鑑賞が続いている。

上旬、“ジャコメッティ展”を観終わって、“ジャコメッティの人物彫刻ってほんとうに軽い!浜松土産の鰻パイみたいに薄いのがあったな”と作品を思い出しながら帰ろうとしていたら、目の前に気になるチラシがあった。

それは神奈川県近美鎌倉(鶴岡八幡宮境内)ではじまる“エドゥアルド・チリーダ展”(6/10~7/30)。絵柄に使われているのが、ごつごつした岩のある海岸線に設置されたスクラップ処理場でクレーン車が操作する取っ手機械のような大きな鉄の抽象彫刻。この作品の印象があまりに強かったので、開幕を待ってすぐにでかけた。

ここへははじめて入った。目と鼻の先にある鏑木清方記念館には定期的に訪問しているのに、これまで企画展で惹かれるのがなかったため、いつもパスしていた。でも、今回の展覧会でここを見直した。ひょっとすると食わず嫌いだったかもしれない。

チリーダ(1924~2002)はスペインが誇る世界的な彫刻家らしいのだが、これまで作品を本物はもちろんのこと図録などでもみたことがない。日本でチリーダの本格的な回顧展が開かれるのははじめてという。長崎県美(2/21~4/2)、三重県美(4/11~5/21)のあとここへやってきた。展示室に飾られている欧米の都市の公共空間におかれた大型の野外彫刻の写真パネルをみて、だんだんこの作家の大きさがわかってきた。ブランクーシ、カルダー、ジャコメッティクラスの彫刻家である。

今回はこれらの鉄鋼彫刻のためのモデルが18点出品されている。その造形の面白さに吸い込まれ、夢中になってみた。右は“寛容の記念碑のためのプロジェクト”(1992年、セビリアに設置)。中をくりぬかれた半円柱からでた突起物は曲がった指のように水平にあるいは下から上に伸びている。野外につくられる作品はスケールが大きいので複雑なフォルムは適さない。で、基盤となる板金の上に円柱を2,3本立てその間を緩やかに曲がったパーツでつないだものとか、先がイイダコの足のように開いた四角棒など鉄という素材のもつ強靭でどっしりしたイメージをストレートに表現した作品が多い。

鉄との関わりが強いのはチリーダが製鉄所があり、鍛冶職人が多くいるバスク地方に生まれた作家だからである。会場には制作ドキュメンタリービデオが放映されていて、その中にバスクのお祭りの目玉、200キロもの重い石を持ち上げる競技を映していた。バスク男子の逞しさがチリーダの抽象彫刻にも表れている。

2000年9月、チリーダの長年の夢であった野外彫刻美術館、チリーダ=レクが生地、サン・セバスチャンの郊外に開館した。いつかここにある作品をみてみたいものである。美術館の公式ホームページはここ

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