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2006.06.05

ダ・ヴィンチ・コードと最後の晩餐

397映画“ダ・ヴィンチ・コード”を楽しんだ。小説が大変面白かったので、どんな映画になるのか興味深々だった。

昔から殺人物とか刑事物映画には目が無い。日本の刑事物でベスト3は“砂の器”、“天国と地獄”、“飢餓海峡”。洋画のサイコスリラーのお気に入りは“薔薇の名前”、“羊たちの沈黙”、“エンゼルハート”。

映画“ダ・ヴィンチ・コード”はうんちくが一杯つまった点では“薔薇の名前”と似たタイプの作品。派手に騒々しく作っているのではないかと心配したが、小説の面白さを割と忠実に反映していた。バックにながれる音楽もしっとりとしていていい。感心したのはカメラアングル。飛行機の離陸するシーンを真下から撮ったり、ラングドンが上に放り投げるクリプテックスをドームの上から見せたりとハットさせるアングルが緊迫した場面に観客を引きずり込む。

原作で詳しく説明されてる占星術、聖杯伝説、マグダラのマリア、魔女狩り、テンプル騎士団、シオン修道会などを節目のシーン毎に白黒映像でフラッシュバック的に見せてくれるので、西洋宗教史、オカルト話がイメージしやすいのもいい。が、ストーリー展開が速いので、これらを全部消化するのは無理。でも、あまり気にしないほうがいい。最後のほうでどうしてあの人が。。。。というのがある。見てのお楽しみ。ネタばれになるといけないので、このあたりで。トム・ハンクス(ラングドン)、オドレイ・トトゥ(ソフィー)、イアン・マッケラン(ティービング)のキャステイングは成功している。

ミラノで再会したダヴィンチの“最後の晩餐”(拙ブログ06/5/1)で関心の的はキリストの左側に座る人物。右の部分図では一番右の人物。12使徒の名前は昔から想定されていて、手前にいるのがユダ。その後ろがペテロ。そしてペテロの隣にいるのはヨハネとなっている。問題は小説“ダ・ヴィンチ・コード”で指摘されて話題騒然となったヨハネ。どうみても女性の顔である。ほかの使徒の顔とは明らかにちがう。

手元にあるダヴィンチ以前に描かれた“最後の晩餐”ではヨハネはキリストの隣にいてうつ伏せになったり、眠るように描かれている。例えば、ジョット、カスターニョ、ギルランダイオの描いた“最後の晩餐”など。ヨハネは幼っぽく描かれるのが通例だとすれば、ダヴィンチがヨハネを女性のように描いたとしても不思議ではないかもしれない。

だが、ダン・ブラウンのように“ダヴィンチはヨハネではなくマグダラのマリアを描いた。ここにコード(暗号)が隠されている”となると世間は大騒ぎになる。普通は聖杯があるのに、この絵にはでてこない。定説がひとつ崩れているのだから、ヨハネが描かれなくてもいいではないかという解釈もできる。“岩窟の聖母”だって、最初は光輪がないのだから。ヨハネの顔は何回みても女性の顔にしか見えない。どうして女性なの?ダヴィンチって一体何者なの?素人でも想像力を掻き立てられる。

修復で蘇った“最後の晩餐”がこれほどミステリアスな絵だったとは誰が予想したであろうか。

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コメント

さすが、いづつやさん☆と思いました☆
ネタバレなし。映画の感動が伝わるステキなレビューです☆
rossaも何度か、この映画のこと、BLOGに書きたいなぁ。と思ったのですが。。。断念(笑)いたしました。とても面白い興味深い映画でした☆

投稿: rossa | 2006.06.07 21:21

to rossaさん
映画“ダヴィンチコード”の監督はあの名作“アポロ13号”や
“ビューティフル・マインド”のロン・ハワードですから、ヒットしな
い方がおかしいです。

小説は面白いから全世界で6000万部も売れるのであって、歴史に残る
小説でしょうね。絵画をいつも見ている人ばかりがこの映画を観てるわけ
ではないので、“最後の晩餐”の暗号隠しをあれだけソフィーに丁寧に
説明する画面があれば、充分ではないでしょうか。

これは人間キリストの物語&マグダラのマリア物語(=キリスト教裏史)
ですね。これをダヴィンチのコード(暗号)隠しというフィクションを
使って、サイコスリラー風の小説にした。うんちくあり、スピード感あり、
サイコあり。。もう、やめましょう。

投稿: いづつや | 2006.06.08 23:19

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映画ダ・ヴィンチ・コード オフィシャル・ムービー・ブック角川メディアハウスこのアイテムの詳細を見る ついに、私も『ダ・ヴィンチ・コード』観に行きました!!! 公開後、世間の評判は、「小説の方がよかった」とか、「省略が多いから“どうしてそうなるわけ?”っていう疑問が多い」とか、「原作を読んでから行った方がいい」などなど、あまりいい感じではない。。。 だから私は、どうしても原�... [続きを読む]

受信: 2006.06.12 21:25

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