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2006.06.13

出光美術館の日月四季花鳥図屏風

405現在、日比谷の出光美術館では開館40周年を記念した“所蔵名品展Ⅰ”(6/18まで)を開催中。ここにはだいぶ通ったので、前期だけを観てきた。

自慢の“国宝 伴大納言絵巻”は今回はほんの顔見世程度で、秋に全巻全場面が公開されることになっている(10/7~11/5)。1991年以来の展示らしい。

これは何年前だったか記憶が薄れているが、大阪の出光美術館で全巻観た。伴大納言の家司と舎人の息子同士が喧嘩するのをみて、家司が自分の子供を加担したばっかりに、怒った舎人が“応天門に放火したのは伴大納言だぞー!”と大声でいいふらす。この場面が最高に面白い。あとの展開は10月の展示でまた楽しもう。

出光コレクションは幅が広い。今回出ているのは、最初の絵巻、“絵因果経”、“十王地獄図”、やまと絵、仏画、雪舟、中国絵画、古筆手鏡(国宝)、中国・朝鮮陶磁、茶陶など。過去見た作品もかなりあるが、こうしてずらっと並ぶとあらためて、コレクションの質の高さに驚かされる。なかでも屏風が圧巻だった。雪舟、能阿弥の“四季花鳥図”。そして、室町時代に制作された右の“日月四季花鳥図”(じつげつしきかちょうず、右隻部分)。

久しぶりに対面する“日月四季花鳥図”をじっくりみた。右隻では右にある満開の桜、真ん中の若葉にしなだれる柳、鮮やかな緑青に降り積もった花びらが目にとびこんでくる。花びらをみてて、ボッティチェリの“ヴィーナスの誕生”に描かれた薔薇の花を連想した。柳の下にいるのは日に照らされる雉(きじ)の親子。円い黄金の太陽は金属板で表し、そのまわりをたなびく流線の雲霞には大小の金銀箔や野毛が使われている。地面にも細かい箔が散らされており、まるで料紙装飾を見るようである。

左隻の見所はダイナミックなフォルムをした松の幹と左端から流れる水。緑の松の左右に描かれた楓はちょっと松に負けてる感じ。また、番の鹿は秋草と重なり、存在が薄くなっている。この絵が当時の色彩のままで目の前に現れたら、さぞかし感動するだろう。

中国絵画では南宋時代の作、“漁釣図”にまた会った。04年、根津美術館で開催された“南宋画展”で気に入った絵の一枚だったので、感慨深い。中央の大きく伸びた蘆荻のむこうで、体を丸めて座る漁夫の横向きのポーズが実にいい。後期にはターナーの絵を思い出させる南宋画の傑作、玉澗作、“山市晴嵐図”が展示されている。

日本画、中国絵画の名品を堪能した。次回の名品展Ⅱ(11/11~12/24)が待ち遠しい。

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コメント

いづつやさん、こんばんは。
今回初めて観た「日月四季花鳥図屏風」は眼の果報でした!本当に私も当時の絢爛たる色彩を観てみたいです。CG復元して欲しいと切に思ってしまいました。
で、TBさせていただきました。

投稿: June | 2006.06.16 01:55

to Juneさん
“日月四季花鳥図屏風”は雪舟の絵を完全に食ってましたね。コンディ
ションのせいで重文にならなかったのだと思います。金銀の箔散らしが
ふんだんに使われてますから、描かれた当時は華麗だったでしょうね。

投稿: いづつや | 2006.06.16 22:39

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開館40周年記念「出光美術館名品選Ⅰ」を観て来た。 http://www.idemitsu.co.jp/museum/2006new_tenjimain01.html 東京に出てきて憧れの日本美術を観ることができるようになった花耀亭は出光にもお世話になっている。特に最近茶碗が面白く感じ始めたものだから、陶磁器の歴史など勉強になることが多い。もちろん陶磁器だけでなくたくさんの名品を所蔵しているのだが、今回は初めて観る「日月四季花鳥図屏風」に目が釘... [続きを読む]

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