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2006.06.30

吉原治良展

422東近美で開催中の“吉原治良展”(6/13~7/30)を開幕日にみた。

平日の午後だからか、まわりにあまり人はいない。世田谷美であった“堂本尚郎展”でも観客はこのくらいだったから、抽象絵画の展覧会の場合、これが普通の光景かもしれない。

この作家の名前が“よしはらじろう”とすっと口からでるようになったのはここ1,2年のこと。東近美には平常展をみるため、かなり頻繁に通ってるので、吉原治良(1905~1972)の作品にも目が慣れた。でも、観てるのはいつも右の“黒地に白”。ほかの作品をみたという印象がない。

チラシに“誰にでも描けそうで、彼にしか描けない円”とある。まさにその通り。この絵をみるといつもそう思う。でも、これは“コロンブスの卵”みたいなもので、円の形が簡単に生まれてきたわけではない。科学者でも芸術家でも事業家でも、何事も最初に発見したり、創造した人はエライのである。

日本の前衛作家や抽象画家の知識がないため、いつものように会場の解説パネルを頼りに作品をみてまわった。はじめてみる作品ばかりであるが、アンフォルメル風の抽象絵画からシンプルな円の形にたどりつくまでの流れがよくわかる展示になっている。これには感心した。吉原が円を描いたのは1965年で、60歳のとき。そこまでに描かれた作品はささっと流し、最も惹きつけられる円シリーズを集中的に観た。

色々なヴァージョンがある。“白地に黒い円”では円の外周から下に細い線が2,3本描かれていたり、内周へ白い線が出てたりする。白地はこの1点だけ。吉原は地は白より黒ほうがいいと思ったにちがいない。黒地に円を表現したのが3点ある。黒地の部分が少なく、画面の大半を白い円で埋めたもの、逆に黒地を多くし、両端が尖った細い白の板を曲げて円のようにみせたもの、そして白いドーナツが描かれたような右の“黒地に白”。絵の完成度としては“黒地に白”と黒地に赤の輪が映える“黒地に赤い円”(兵庫県美)が一番高い。ほかの色の組み合わせで1971年に制作された“赤地に青い円”にも目を奪われた。

形態を単純化し、黒と白あるい赤しか使わない絵が強い力をもっている。単純な形がかえって観る者の想像力を掻き立てるからかもしれない。円という形には無限の広がりや連続性を感じる。円シリーズの作品をこれだけ多く観れたのは大収穫だった。なお、この展覧会は東京のあと、宮城県美術館でも開催される(8/6~10/9)。

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