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2006.06.12

大絵巻展の華厳宗祖師絵伝

404京博で6/4まで行われていた“大絵巻展”は大変な盛況だった。

後期の展示がスタートした5/16に出かけ、10時半に入場したのに観終わったのは午後の1時半。43点を観るのに3時間かかった。途中、昨年徳川美術館で全点みた“源氏物語絵巻”はとばしたので、この列にも並んでいたら、さらに30分を要したことになる。

事前の情報で混雑してることは承知していたが、これほど混んでるとは思わなかった。出品された絵巻が“鳥獣人物戯画”、“信貴山縁起”など四大絵巻のうち3点をはじめ名品ぞろいだから、多くの人が押し寄せるのも無理はない。質の高い絵巻をこれほど沢山みたのは1993年の“やまと絵展”(東博)以来。

東京に巡回しないので、京都に駆けつけるほかなかったが、行く日はHPに載っている展示替え予定表とにらめっこして決めた。既にみた作品のプライオリティを下げといて、まだ未見で是非ともみたい絵巻が前後期どちらに多いかを比べ判断しなければならない。5/16にしたのは今回の一番のターゲットが“国宝 華厳宗祖師絵伝・義湘絵”だったからである。

四巻ある義湘絵のうち右の巻三を待ち続けてきた。03年にあった“女性と仏教展”(奈良博)でみたのは巻二のほうで、お目当てだった右の龍が出てくる巻三は展示替えでみれなかった。巻三はロマンティックで楽しい絵巻で、唐に渡った新羅の僧、義湘(ぎしょう)が修行を終えて国に帰るとき、義湘に恋する富家の美しい娘、善妙(ぜんみょう)が海に身を投げ、龍となって、義湘の乗る船を支えて新羅に送り届けるという場面が描かれている。

上はさよならも告げずに帰ってしまった義湘の船を龍になった善妙が追いかける場面、下は龍がその船を背に乗せて、新羅まで運んでいくところ。上の龍は表情が怖いのに、船を乗せた龍は穏やかな顔をしている。龍船が荒い波間をつききって進むような動きは横長の画面に物語が右から左に展開していく絵巻にはもってこいの場面である。海の淡い青がとても綺麗で、立体的に表現された波の大きなうねりにのみ込まれそうになる。感動200%の絵巻であった。

このほか関心の高かったのは“地獄草子”(国宝、奈良博)と福富草子(重文、京都・春浦院)。“地獄草子”では罪人が鉄のすり臼に入れられて、ミンチにされる場面が描かれた“鉄磑地獄”(てつがい)を期待したのだが、これは前期の展示で終了し、替わりに大きな鶏が口から火炎を吐き出し、人間をけちらす“鶏地獄”があった。この地獄絵でも大満足。

“福富草子”は思わず笑ってしまう作品。話しの内容は本で頭に入っていたので、絵画化されたユーモラスな場面を夢中になってみた。今回、お伽草子物は“酒天童子絵巻”、“十二類絵巻”などもあった。ユーモアとペーソスがつまった絵巻をいくつも観れてこんなに嬉しいことはない。京博に感謝々。

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コメント

こんにちは
善妙にはなにか静かな感動がありました。

清姫は蛇身になったけれど、善妙は龍に化して一心に嵐の海を突っ切った。
善妙の想いが昇華したようでした。

以前この絵巻で虎の洞穴にいる絵を見ていますが、義湘は苦難も多いですが、わりに虎や龍に親切にされていますね(笑)

投稿: 遊行七恵 | 2006.06.13 11:12

to 遊行七恵さん
義湘はイケ面で人や動物に対して優しかったのでしょうね。善妙には
龍に変身してもらって加護を受けるし、虎に親切にされるのですから。

これと較べると、安珍は可愛そうですね。ストーカー化した清姫は龍に
なって鐘のなかに隠れた安珍を焼き殺してしまうのですからコワいです。

投稿: いづつや | 2006.06.13 18:23

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受信: 2006.06.14 22:22

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