« 谷文晁の公余探勝図巻 | トップページ | 狩野典信の唐子遊図屏風 »

2006.06.22

山口蓬春の紫陽花

414自宅の周りを散歩していると、庭に咲き乱れる紫陽花をよくみる。梅雨時に目を惹く花はやはり紫陽花。その紫の美しさに心が洗われる。

花鳥画に長く親しんでいると、自然界に生育する花を実際に見ることなく、画家が表現する四季折々の花を観て、イメージだけでその美しさに魅せられこともままある。だが、この時期の紫陽花のように近くで瑞々しい色や花の生を感じて、作品を鑑賞するのが一番いい。

先週、訪問した山口蓬春記念館ではこの理想的な状況のとおりに右の“紫陽花”をみた。近くの駐車場でクルマを停め、小雨のなか急いで記念館にむかって歩いていたら、途中の石段の右側に水色の紫陽花がいっぱい咲いていた。あまりに綺麗だったので思わず立ち止まってみた。2,3分もすれば、お目当ての“紫陽花”をみるのである。ふと、蓬春はここに咲いてる紫陽花をみて、絵を制作したのかな?と思ったりもした。

現在、ここで開催中の“山口蓬春素描展”(6/8~8/6)は花、果物や風景の素描がメインの展示なのだが、1点だけ本画の“紫陽花”が飾ってあった。紫とうす紅が交じり合った紫陽花は対角線上に配されている。顔料の発色がよく、色彩の濁りがないので、見てて気持ちがいい。写実をベースにした明快な造形表現と色と色の美しい調和が素晴らしく、紫陽花の確かな実在感が伝わってくる。先ほど見た紫陽花が目の前にあるようだ。

紫陽花は蓬春が好んで描いた花のひとつで、名品がいくつもある。ちょうどいいタイミングで、東近美の平常展(7/30まで)に代表作、“榻上の花”(とうじょう)、山種美の“緑雨の景観展”(6/25まで)に“梅雨晴”が出品中。そして、この記念館はもう一点、“まり藻と花”という紫陽花の作品を所蔵している。

“榻上の花”を長らく待っていたが、やっと平常展に登場した。これはモダニスト、蓬春の代表作中の代表作。椅子の上に紫陽花がさされた白い水差しが置いてある。椅子の向こうの窓枠の緑、紫陽花の紫、葉っぱの緑、椅子の脚と水差し白の組み合わせがとても斬新で強く印象に残る。2年前から、山口蓬春が描く新感覚の日本画に魅了され続けている。本当にいい画家に巡り合った。

鎌倉の明月院は紫陽花で有名な寺。建長寺と円覚寺の前をいつも走っているのに、この中間にある明月院の紫陽花をまだ見ていない。来年にでも行ってみようと思う。

|

« 谷文晁の公余探勝図巻 | トップページ | 狩野典信の唐子遊図屏風 »

コメント

こんばんは

数年前大雨の中、近代美術館で『水の物語-ヨーロッパ絵画に見る神話と象徴』というなかなか素敵な展覧会を見た後、歩いて明月院へ向かいました。丁度小降りになっていて、ついたら貸しきり状態でした。ビックリです。
青紫のアジサイは清方を、ややピンクは蓬春を、ガクアジサイは抱一を思い起こすようでした。
シャツのように真っ白なアジサイが一際印象深かったです。

投稿: 遊行七恵 | 2006.06.22 22:20

to 遊行七恵さん
梅雨時、紫陽花の紫が目にしみます。庭に紫陽花を植えてられる家は
結構ありますね。明月院の紫陽花を是非楽しもうと思います。七恵さん
のように清方や蓬春や抱一の絵を感じてみたいものです。

投稿: いづつや | 2006.06.22 22:45

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/65878/10636374

この記事へのトラックバック一覧です: 山口蓬春の紫陽花:

« 谷文晁の公余探勝図巻 | トップページ | 狩野典信の唐子遊図屏風 »