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2006.05.26

ヴィラ・ジュリア博物館の夫婦の陶棺

387_1ボルゲーゼ公園には3つの美術館がかたまっている。今回のハイライトであるボルゲーゼ美術館、国立近代美術館、そしてヴィラ・ジュリア博物館。

ボルゲーゼのあと、ここから歩いて20分くらいのところにあるヴィラ・ジュリア博物館を訪問した。お目当ては5年前、BS2の番組で紹介された右のエトルリア彫刻、“夫婦の陶棺”。

前回、ヴァティカン博物館でミケランジェロが熱心に研究したという“ベルヴェデーレのトルソ”、“アポロン”、“ラオコーン”など古代ギリシャ・ローマ彫刻の傑作をじっくりみたので、今度もカピトリーニ美術館にある“瀕死のガリア人”、“円盤投げの戦士”、“ヴィーナス”をみて、古代彫刻にさらに目を馴染ませるというオプションもあった。

だが、ベルニーニとカラヴァッジョを最優先にした美術館、教会巡りを考え、流れのよいヴィラ・ジュリア博物館でエトルリア美術の最高傑作、“夫婦の陶棺”を見ることにした。展示場所がパンフレットだけではわかりにくく、このテラコッタ(素焼き)の彫像にたどり着くまで結構時間がかかった。この作品のためだけに特に一室がもうけてあり、観光客がひっきりなしにやってくる。

ギリシャの強い影響をうけたエトルリア文化は紀元前7世紀~6世紀に最盛期をむかえる。ローマの近くにあるチェリヴェテリから出土したこの彫像は紀元前520年頃のものである。宴のときなのであろうか、仲睦ましく寄り添った夫婦は枕にひじをついて横になり、口元には“アルカイックスマイル”を浮かべている。こんな明るい表情をした彫刻とは思わなかった。また、衣の襞がとても柔らかく折れ曲がっている。元来粘土が持ってる柔らかさを生かした造形には温かみが感じられ、大変感動した。

ここにはもう一つ目玉がある。それは紀元前6世紀後半の作といわれる“ヘラクレスと戦うアポロン”。現在、修復が進行中で作業部屋のなかにあった。両腕がなく、体の一部には補強材が使われている。このアポロンはやけに頭が大きい。人体比例を無視した力強い造形表現がエトルリア彫刻の特徴だという。優れた技術を持っていたウルカというエトルリア人美術家がこれを制作した。この時代につくられた彫刻の制作者の名前がわかるなんて、不思議な気がするが、ローマの文献にも登場するそうだ。

時間があまり無く、駆け足の鑑賞となったが、展示品は一通りみた。昨年11月、新装なったイタリア文化会館で開催された“エトルリアの世界展”で(拙ブログ05/11/25)、予備知識は入っていたが、今回の鑑賞でエトルリア美術への理解がだいぶ進んだ。素晴らしい“夫婦の陶棺”にお目にかかれたのは一生の思い出になりそう。

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