« ダ・ヴィンチの最後の晩餐 | トップページ | アンブロジアーナ絵画館のカラヴァッジョ »

2006.05.02

ブレラ美術館のマンテーニャ

366ダ・ヴィンチの“最後の晩餐”を観るツアー5組の予約が連続的な時間にならず、1組だけが午前中の4組と大きく離れた午後5時30分からとなったため、最初の日程が変更され、昼食後は自由行動となった。

これが成田を出発まえの案内でわかったときは飛び上がるほど嬉しかった。それは念願のブレラ美術館に行けるから。当日は最後の5組だったので、集合時間までの2時間半を使ってすばやく美術
館を回ることにした。

ブレラ美術館はゴシック様式の大寺院、ドゥオーモからそう遠くないところにあり、
歩いても行ける距離だが、少しでも時間を無駄にしたくないので、既に“最後の晩餐”
を観られてた姉妹の方、隣の方とタクシーに乗り込んだ。2階の展示室に入ると、
1994年ごろ買った“ラミューズ・世界の美術館、ブレラ美術館”(講談社)に載って
いる絵をチェックしながら精力的に観てまわった。

この美術館で一番見たかったのがマンテーニャが描いた右の“死せるキリスト”。
入ってすぐの5番の部屋に飾ってあった。この絵を画集ではじめてみたときの衝撃度
はマグニチュード7クラス。まず、どきっとするのが画面に対して垂直に置かれたキリ
ストの遺体。短縮遠近法で描かれたその衝撃的な構図の絵が目の前にある。迫真
的なキリスト臨終の場面に声がでない。

遺体の手足に残る釘痕が痛々しく、左上に描かれた年老いた母マリアの悲痛な顔
がキリストの悲劇を際立たせている。死せるキリストの体は骨格や筋肉が実にリアル
で、緑がかった灰色の肢体は彫塑的に表現されている。これはマンテーニャが解剖
学に精通していたことや彫刻家ドナテッロの制作した写実的で躍動感溢れる作品
から影響を受けてたことの表れ。

マンテーニャ以外の絵で関心が高かったのが、ピエロ・デラ・フランチェスカの“聖母
子”とカラヴァッジョの“エマオの晩餐”。この二人の画家の人気が最近とみに高まって
いることは関連本や欧州で開催されている展覧会などで知ってはいるが、それを裏付
けるかのような光景に出くわした。イタリアはこの時期、子供の修学旅行の季節らしく、
名所旧跡のほか美術館で先生に引率された中高校生たちをよくみかけた。

ブレラ美術館でも鑑賞の真っ最中。ピエロの“聖母子”のある部屋にはラファエロの有名
な絵、“マリアの結婚”が展示してあるのだが、先生が最初に解説していたのは“聖母
子”のほうだった。われわれの感覚だとまず、ラファエロのほうが先だとおもうのだが、
現実は逆だった。明るい色彩とふっくらとした女性の顔が特徴のピエロ・デラ・フランチェ
スカの代表作に会えたのは望外の喜びである。

また、カラヴァッジョの人気も相当なもの。傑作“エマオの晩餐”の前では多くの人が
熱心に見ていた。同じテーマで描かれたロンドンナショナルギャラリーにある作品は
画面からキリストの手がこちらにむかってくるように描かれている(突出効果)のに対し、
この絵で身振りは小さく、色調も暗い。左からあたる光と影の表現が巧みで、静謐な
印象を与えている。深い感動を覚える作品である。

ここには近現代絵画を展示するコーナーもあり、セガンティーニの澄んだアルプスの
空気が心地よい“春の牧場”や未来派、ボッチョーニの“上昇する都市”や“アーケード
での喧嘩”などにも魅せられた。憧れのブレラは満足度200%の美術館であった。

|

« ダ・ヴィンチの最後の晩餐 | トップページ | アンブロジアーナ絵画館のカラヴァッジョ »

コメント

いづつやさん、おかえりなさいませ。イタリアに行ってらっしゃったのですね♪
ブレラではやはりマンテーニャ作品が一番印象的ですね。多分同じ部屋でジョヴァンニ・ベッリーニ「ピエタ」もご覧になっているだろうと思いますが、2作品とも観る者をいやおうなく圧倒する力を感じます。ちなみに、初めてブレラに行った時、CARAVAGGIO好きなのにマンテーニャに負けたような気がして困りました(^^;;;
「エマオの晩餐」前はいつも団体さんに占拠されていますよね。それだけ深く人を惹き付ける作品だと思います。
ちなみに、昔(改装前)はあんなりっぱな展示コーナーなんて無かったんですよ。

投稿: June | 2006.05.07 23:32

to Juneさん
思わぬ日程変更で、ブレラ美術館が見れました。マンテーニャの
“死せるキリスト”は西洋絵画史のなかでははずせない絵と思
ってましたので、これを見れたことは嬉しくてたまりません。ベリー
ニの“ピエタ”も名画ですね。

そして、カラヴァッジョの“エマオの晩餐”も見ちゃいました!
ミラノのガイドブックに紹介されてるブレラ美術館には“死せる
キリスト”の次にこの絵が載ってます。カラヴァッジョの絵がイタ
リアで高く評価されてることを垣間見るようです。

投稿: いづつや | 2006.05.08 17:04

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/65878/9870249

この記事へのトラックバック一覧です: ブレラ美術館のマンテーニャ:

« ダ・ヴィンチの最後の晩餐 | トップページ | アンブロジアーナ絵画館のカラヴァッジョ »