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2006.05.08

パルミジャニーノのマニエリスム

462ウフィツィのようなルネサンス絵画を中心に教科書に必ず載っている名画が沢山ある有名な美術館を訪問したからといって、展示されてる絵画のすべてに通じているわけではない。

前回見たときは関心の薄かった作品だが、その後の海外の美術館などでの鑑賞体験がきっかけとなり注目するようになった絵もある。

ここは2度目の訪問だった1999年のとき、時間をかけてじっくりみて、おおよそ展示されている作品群を頭に入れたので、今回は1999年以降目覚めた画家の絵や見逃した作品を丁寧にみることにした。

そのひとつがマニエリスムの絵。ここはマニエリスム絵画の宝庫。中にはちょっと精神を病んでいるのではないかと思われる絵もあるが、プラス評価ができる名画もちゃんとある。昔からマニエリスムの評価はなかなか定まらない。何度みても、これはいいやという絵もある。例えば、サルトやポントルモの描く人物は目の周りに黒い隈があり、体が異様に長く、そして特徴である捻ったS字ポーズも無理やりとってる感じ。こうした絵を見ているとこちらまで精神が不安定になってくる。

同じマニエリスム様式の画家、ブロンツィーノ(1503~1572)については、最近はマイナスイメージが少なくなり、逆に魅力を感じるようになった。で、“トリプーナ”と呼ばれる八角形の部屋に飾られてる肖像画の数々を熱心にみた。中でも惹きつけられるのが赤の衣装と端正な顔が印象的な“ルクレツィア・パンチアティキの肖像”と子供の肩に右手におき、豪華なスペイン風紋様の衣装を着たコジモ一世の妃を描いた“エレオノーラと息子ジョヴァンニの肖像”。

ブロンツィーノよりもっと関心の高い画家がパルミジャニーノ(1504~1540)。03年、ウィーン美術史美術館を訪れた際、たまたま見た“パルミジャニーノ回顧展”でその画技の高さに驚愕し、すっかりこの画家の作品にはまった。ウフィツィにはいい絵が2点あり、右は代表作の一つ、“長い首の聖母”。首も長いがそれ以上に手が異常に長い。顔は卵型が特徴。髪の毛一本々のウエーブや衣装の襞の滑らかな質感が見事に表現されている。

盛期ルネサンスが求めた均衡や自然らしさだけでなく、パルミジャニーノの絵にみられる自然を超える洗練された表現や高い芸術的な技巧にも心が揺すぶられる。パルミジャニーノが描くマニエリスムの絵が今、人気が高いということは、時代がこうしした人体を自然な比例とはちがって極端に長くしたり、色彩は鮮やかだけどどこか冷たい感じのする絵を求めているのかもしれない。そんなことを考えながらこの絵を眺めていた。

拙ブログは5/9,10はお休みいたします。

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コメント

いづつやさん、パルミジャニーノも良いですよね!ウィーンでご覧になった回顧展にも興味津々です。
私が一番好きな作品はナポリのカポディモンテ美術館で観た「若い女性(アンテア?)の肖像」です。
http://www.artrenewal.org/asp/database/image.asp?id=19689
長いネックレスに指をかけたところなど、ちょっと挑発的ですが、とっても魅力的なのです。回顧展には出展されていましたでしょうか?

投稿: June | 2006.05.13 01:08

上記↑で紹介した画像が個人蔵になっていました(汗)。模写の可能性があり、別の画像を見付けました(^^;;;
http://www1.kcn.ne.jp/~aida/mannnerism_folder/manneri_images/parmi9.jpg
カポディモンテのガイド本表紙がこの絵なのですが、家のスキャナが使えません(涙)

投稿: June | 2006.05.13 01:26

to Juneさん
パルミジャニーノの回顧展を観たとき、その画力に200%KOされました。
精緻な描写と滑らかな絵肌がとても魅力的です。ご紹介の“若い女性”も
いいですね。回顧展だけに時間をかけられなかったものですから、この絵が
出品されてたかどうか分かりません。

英語版のかなり分厚い図録があったのですが、他の美術館などをまわり手が
もげそうになるくらいバッグが重くなってたので、購入しませんでした。今、
とても後悔してます。かなり沢山でてましたから、例えば、ドレスデン美術館
にある名画、“ばらの聖母”などがありましたから、カポディモンテのガイ
ド本の表紙を飾るくらいの作品でしたら、展示されてた可能性もありますね。

投稿: いづつや | 2006.05.13 11:54

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