« カプリ島の青の洞窟 | トップページ | ベルニーニの福女ルドヴィカ・アルベルトーニ »

2006.05.17

ボルゲーゼ美術館のベルニーニ

379ローマのボルゲーゼ美術館で念願のベルニーニの彫刻作品をみた。旅行から帰ってもう3週間ちかくになるのに、まだ“アポロンとダフネ”と右の“プロセルピナの略奪”の余韻にひたっている。

5年くらい前、BS2の番組、イタリア美術特集で細部まで映しだされたこの2作品を見たときはすごい衝撃をうけた。これが大理石の彫刻なの?その見事な彫刻に驚愕すると同時に、いつか実物を見るぞ!と心に決めた。それがようやく実現したのである。

ボルゲーゼ美術館はローマ北部にあるボルゲーゼ公園の一角にある。公園は広大な敷地に緑が広がる憩いの場で、多くの親子連れやカップルなどがのんびり歩いたり、芝生に横たわったりしている。ボルゲーゼ美術館は現在、インターネットで事前に予約をとって鑑賞することになっている。館内には2時間までいることができる。予約した時間の30分前にチケットを購入して、入場する。手荷物の持込は禁止。

予約のお陰で混雑せずにじっくり作品を鑑賞でき、そして展示してある絵画や彫刻は超一級品なので、大きな満足が得られる。ガイドブックで作品のすごさを確認していたが、実際、傑作の前に立つと体が熱くなるくらい感動する。とくにローマバロックの天才彫刻家、ベルニーニ(1598~1680)の作品が圧巻。4つの部屋に7つある。最も有名なのが“ダヴィデ”、“アポロンとダフネ”、“プロセルピナの略奪”。“ダヴィデ”は旧約聖書、“アポロンとダフネ”と“プロセルピナの略奪”はギリシャ神話にでてくる話を題材にしている。

ローマを観光する旅人にとって、ベルニーニの名前はサン・ピエトロ広場の柱廊をつくった建築家、ナヴォーナ広場の“四大河の噴水”やバルベリーニ広場にある大きな魚が支える貝殻の上で、半身半魚の神トリトンがほら貝を吹く“トリトーネの噴水”を制作した彫刻家として一応頭に入っている。広場にある大きな彫刻は見てて楽しくなる作品ではあるが、ベルニーニの神業的な技に驚くのはボルゲーゼ美術館やローマの教会にある作品。

“ダヴィデ”に使われている大理石には黒い混じりがある。巨人ゴリアテに立ち向かうダヴィデは緊張しているのか歯を食いしばっている。今から投げようとしている石投げ器が水平に彫られ、その端が両腕とつながり、なんとピント張られた上下の紐の間はくりぬかれているのである。こんなすごい彫刻をみたことがない。一本の大理石からどうやってこういう形をつくっていくのか?

動きのあるダイナミックな造形と繊細な彫りが一層発揮され、神品ではないかと思われるほどびっくりするのが“アポロンとダフネ”。この場面は恋狂いのアポロンに捕まった嫌がるダフネが河神の父の助けで“月桂樹に変身”する瞬間。ダフネの足はもうすっかりと月桂樹になって大地にシッカリ根付き、さらに腰から上のほうに伸びていき、手の先や足の指先は一部が月桂樹に変っている。月桂樹の小枝をよくこんなに薄く彫れるものだ。これはすごい彫刻である。すご過ぎる!

右の“プロセルピナの略奪”にも200%感動した。冥界の王ハデスが自分の妻にするためにプロセルピナを力ずくで奪い去る瞬間である。目を奪われるのはハデスの力のこもった指がプロセルピナの柔肌に食い込むところ。これ、本当に大理石なの!?ソフトテニスのボールを指でへこませたような感じである。大理石でこんな柔らかい肌の質感がだせるなんて信じられない。ハデスから逃れようとして必死にもがくプロセルピナの顔は恐怖でひきつり、涙を流している。涙を表現した彫刻なんてこれまでお目にかかったことがない。この涙と乙女の左太腿とわき腹にハデスの指が食い込むのを時間がすぎるのも忘れて眺めていた。

天才、ベルニーニの神業ともいえる作品を十二分に堪能した。まさにエポック的な美術鑑賞であった。ご参考までにボルゲーゼ美術館の予約やチケット購入のことはこのサイトに詳しい。

|

« カプリ島の青の洞窟 | トップページ | ベルニーニの福女ルドヴィカ・アルベルトーニ »

コメント

こんばんは

実にナマナマしいですね~~!
upで見て「おおおっ」と思いました。
ちょっとセザンヌの『誘拐』やドガの『室内』を思い出しましたが、立体の作品の「動き」には敵わないようです。
ああ・・・彫刻とはいえ、プロセルピナが哀れです。

投稿: 遊行七恵 | 2006.05.18 00:25

to 遊行七恵さん
“プロセルピナの略奪”でみせたベルニーニの表現力には驚愕します。プロ
セルピナの一粒の涙とゴムボールのような柔肌の質感を実際に確認し、感激
しました。これが23歳のときの作品ですから、ベルニーニという彫刻家は
まさに早熟の天才です。

投稿: いづつや | 2006.05.18 16:16

ベルニーニの像は男性も女性もホント美形で目も喜びますが、本当凄いですね
女性の身体に食い込む指をみると、本当に大理石かと触れて確かめたくなります

投稿: えみ丸 | 2006.05.22 17:00

to えみ丸さん
乙女の体にプロセルピナの指がくいこむところに驚愕します。これが大理
石なんて最初は信じられませんでした。もう作品の前に立ちつくして眺め
てました。

投稿: いづつや | 2006.05.22 23:28

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ボルゲーゼ美術館のベルニーニ:

« カプリ島の青の洞窟 | トップページ | ベルニーニの福女ルドヴィカ・アルベルトーニ »