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2006.05.28

アリベデルチ!ローマ

389団体ツアーによる観光は日程の後半になってくると、参加者の顔や名前を覚え、会話もスムーズになってくるので、最初は夫婦や姉妹、友人といった小さい単位だけにとどまっていた観光地での感動もだんだんグループ全体で共有する大きなものに変ってくる。

感動をすこしでも漏らさないために皆で大きなパックに包み込んでいるようである。こういうハレの増幅が日常の生活では味わえない団体ツアーのいいところ。

最終日の夜はローマ市内のレストランでカンツォーネを聴きながらのディナー。これが最高に盛り上がった。まず、入り口で古代ローマの兵士に扮するがっちりした男性と一緒に記念写真を撮る。昔、コロッセオでこの兵士が頭に被っているカッコいい兜に見蕩れたことがあるが、こんなところでも営業をしていた。

白ワインを飲んだり、前菜を食べていると、主役の歌い手(左)が現れた。はじめはカンツォーネばかりを歌うのかと聴いていたが、オペラのアリアもでてきた。部屋一杯に張りのある歌声が響く。二人はどうみてもオペラ歌手である。添乗員のKさんによると、ローマにあるどこかの歌劇場で歌ってる人で、アルバイトでこうしたレストランにくる観光客を相手に自慢の喉を披露しているのだという。カンツォーネの曲名はわからないが、知っている“サンタ・ルチア”とか“帰れソレント”などがでてくると、気分は全開で“I LOVE ITALY”モード。

オペラの名曲、“椿姫・乾杯の歌”を聴くとまるでガラコンサートの劇場にいるのではないかと嬉しくなる。また、リクエスト(チップを払って)に応じて、荒川静香選手のフィギュアの演技に使われて日本で大ブレイクした“誰も寝てはならぬ”を熱唱してくれたときは、拍手の嵐だった。こんな真近でプロのオペラ歌手が歌うこの名曲を聴けるなんて夢のようである。ホセ・カレーラスお得意の“カタリ”を頼んだら、嬉しそうな顔をしてすぐ歌ってくれた。♪♪“カタリー、カタリー、”もうたまらない!ワインを飲むピッチがあがる。

“音楽なら私にまかせておいて”とばかりにリクエストが続く。ミュージカル“キャッツ・メモリー”、“オペラ座の怪人・オールアイアスクオブユー”、サラ・ブライトマンの名曲など々。どれも上手に歌ってくれるのでそのたびに“ブラボー!”の歓声と大きな拍手。最後の曲は全員がテーブルナプキンを振っての“アリベデルチ!(さようなら)ローマ”。イタリアの旅の終わりが楽しいディナーとなり、こんな幸せなことはない。

拙文、イタリア旅行記にお付き合いいただきまして有難うございます。昨年4月のオランダ・ベルギー旅行のときよりも長くなりました。今回は日頃から鑑賞を願っていた絵画や彫刻をラッキーな日程変更などもあり、期待値以上に数多く見ることができました。

フランスの思想家ルソーの言葉に“旅人は自分の持っているもの以上のものを持ち帰ることはできない。同じように旅をしても、持ち帰ることのできる大きさは人それぞれ。自分のそれまでの経験や学問、人間形成の領域の広さ、狭さで違ってくる”というのがあります。今、イタリアから持ち帰ることのできたことを大事にし、次回訪れるときはまた違ったこの国の素晴らしい文化遺産を多く吸収できるようになりたいと思います。これからもよろしくお願いします。

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コメント

すばらしいイタリアの旅のお土産をありがとうございました。
私には別世界の旅を楽しませていただきました。
少しでも、いづつやさんの心豊かな日々に近づきたいと思いつつ。

投稿: 会津マッチャン | 2006.05.29 15:48

to 会津マッチャンさん
イタリア旅行記を読んでいただき有難うございます。会津マッチャンさんの
目を楽しませる観光地や美術作品がありましたことを嬉しく思っております。

イタリアは美術の宝庫で見所がいくつもありますので、訪問するときは、
毎回狙いの作品を決めています。今回のお目当てはベルニーニの神業的な
彫刻と劇的な構成と光と影により宗教的なテーマを表現したカラヴァッジョ
の絵画でした。予想以上にうまくいき、喜んでいます。

次回はバロック建築にしようかなと思ってます。イタリアとのつきあいは
まだまだ続きそうです。

投稿: いづつや | 2006.05.29 17:55

私のイタリア旅行を懐かしく思い出しながらブログを拝読することが出来ました。ありがとうございました。
私もローマのレストランの入り口で、古代ローマ兵士と写真を撮り、せんだみつおのソックリサンが歌を歌ってくれました。
まだまだ訪ねたい場所・見たい物が沢山残っているのが生きる糧になっているような気がします。

投稿: 酒徒善人 | 2006.05.29 22:35

絵画に古代遺産にと、
旅の感動を余さずおすそ分けいただいた感じです。
私も人を贅沢な気分にさせるレポートが書いてみたいです。
もしイタリアに行くことがあったら
記事をガイドブックの代りにします!(笑)

投稿: gem | 2006.05.30 12:49

to 酒徒善人さん
レストランの入り口にローマ兵士がいたのにはびっくりしました。これは
いい写真になりますので、買っちゃいました。こういうもてなしもあった
のですね。商売が上手です。

イタリアの歌を聴きながらの食事は楽しいですね。美味しい食べ物とワイン、
そして感動する美術品や立派な教会。。酒徒善人さん同様、行ってみたい
所がまだまだ沢山残ってます。パドヴァとかラヴェンナとかアルベロベッロ
とか。。またいつか楽しい旅ができればいいのですが。

お付き合いいただきまして有難うございます。これからもよろしくお願い
します。

投稿: いづつや | 2006.05.30 16:40

to gemさん
イタリア旅行記におつきあい下さいまして、有難うございます。感動の
総量があまりにも大きいため、どれを割愛するかで苦労しました。取り上
げた絵画や彫刻はどれも凄すぎて、順番はつけられません。

これらのなかにgemさんを楽しませるものがありましたことを大変喜んでい
ます。イタリアに是非お出かけください。

投稿: いづつや | 2006.05.30 17:09

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