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2006.05.23

ラファエロのフォルナリーナ

384ラファエロの絵画については、1999年に訪れたフィレンツェのピッティ宮殿・パラティーナ美術館で“小椅子の聖母”(拙ブログ05/1/4)などの名画を沢山みて、思いの丈をとげたということもあり、今回の美術館めぐりでは特に観たい作品はなかった。

だが、後から数えてみるとミラノ、フィレンツェ、ローマで12点ほど観ることができ、カラヴァッジョの15点につぐ多さになっていた。大収穫である。

ミラノでの初期の作品、“マリアの結婚”(ブレラ美)と“アテネの学堂の原寸大下絵”(アンブロジアーナ絵画館)は、ダヴィンチの“最後の晩餐”鑑賞に伴う日程変更の賜物。ダビンチ様々である。フィレンツェのウフィツィ美の“自画像”、“レオ10世の肖像”などは過去みているので、とくに心拍数があがることはなかった。ただ、残念だったのは大好きな“ひわの聖母”が現在修復中で見られなかったこと。

ローマでは最後に訪問したバルベリーニ宮・国立絵画館で衝撃的ないい絵に出会った。それは右の“フォルナリーナ”。ボリゲーゼ美でもラファエロの作品を代表作のひとつ“埋葬”など4点みたが、そのなかに似たような“フォルナリーナ”が“埋葬”の隣に飾ってあった。二つの絵のちがいは国立絵画館にあるほうが半裸身像でボルゲーゼのが衣装をきているところだけ。顔の向きなどはまったく同じに描かれている。二つのうち好きな方をもっていっていいと言われたら、即座に国立絵画館の“フォルナリーナ”と答える。

この女性はちょっと微笑んでいるようにみえる。そして目が輝いている。この生き生きした目にものすごく魅了される。この肖像画は1519年頃制作されたのに、今みてもそれほど違和感なくすっと絵のなかに入れる。これがすごい。ティツィアーノもこれと同じような半裸身の女性の肖像画、“毛皮の少女”(ウィーン美術史美術館)を1535年に描いている。この絵も大関クラスの魅力をもっているが、ラファエロの“フォルナリーナ”はどうみてもワンランク上の横綱級の作品。

絵のモデルはラファエロがローマにいるとき愛したマルゲリータといわれている。彼女はパン屋の娘で、飛ぶ鳥をおとす勢いであった宮廷画家、ラファエロとは身分が釣り合わないというので二人が結ばれることはなかった。当時、女性が上半身でも体を見せるというのは尋常ではない。ラファエロと親密な関係にあったのだろう。女性が左手にしている腕輪には“ウルビーノのラファエロ”と銘が刻まれている。これをみるとラファエロが大変な女好きだったことは100%確信できる。

マルゲリータに花嫁衣裳を着させて描いた“ベールの女”(1516年)は前回、ピッティ宮殿でみた。これも女性の美しい姿にうっとりする名画だった。今回、ローマで“フォルナリーナ”を2点みれるとは予想もしていなかった。しかも、バルベリーニ宮にあるのは官能的な感じではなく、生気溢れる女性画の傑作であった。これは館自慢の絵らしく、入り口の垂れ幕にこの絵が使われていた。200%満足したので、これをバックに写真をとった。

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