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2006.05.01

ダ・ヴィンチの最後の晩餐

365大好きなイタリアを訪問し、ルネサンスやバロック美術を楽しんだので、名所観光を含めしばらくはイタリアの話しが続きます。よろしかったらお付き合い下さい。

イタリアを旅行するのは1999年以来。参加したのは10日間の普通のツアー。訪れたのはミラノーヴェネツィアーヴェローナーピサーフィレンツェーサン・ジミニャーノーシエナーアッシジーポンペイーナポリーカプリ島ーローマ。このうちはじ
めて行くところはヴェローナ、サン・ジミニャーノ、シエナ、アッシジ、カプリ島。

このツアーを申し込んだ一番の理由はカプリ島にある“青の洞窟”が入っていたから。
何年か前、ほかのツアーで一緒になった人から、“青の洞窟”の素晴らしさを聞か
され、是非その青をこの目で実感したくなった。何回行っても天候が悪く、中へ入れな
かったという人もいれば、一発で見れたという人もいる。4月の下旬、“青の洞窟”に
入れる確率について事前に情報は集めなかったが、勝手に100%見れるものとして
参加した。その結末はいずれ。

最初の観光地はミラノ。お目当てはサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会の修道院の
壁に描かれているダ・ヴィンチの“最後の晩餐”。この教会の前に立つのは23年ぶり。
残念ながら正面は修復工事のためカバーがかけられてたため、まったく見えない。
だから、以前のイメージを手繰り寄せることができない。まあ、どこをどう入って“最後
の晩餐”にたどりついたかの記憶がまったく飛んでいるから、この絵は実質はじめて
見るようなもの。

長い年月をかけて女性の修復家が丹念に汚れを取りのぞいたり、後世の人が描く加
えた部分を消して、ダ・ヴィンチが絵を完成させた1498年のころの状態に戻してくれ
た。もちろん顔料の剥落部分は取り戻しようがないので、色の鮮やかさに感激する
ことはないが、ところどころに残っている青や赤の輝きを頼りに、頭の中でコンピュー
ターに作成されたCG画面を思い出し、当時の画面状態を想像した。

テンペラ技法で描かれたこの絵の色でひきつけられるのは、イエスや12使徒の何人
かが着ている衣装の青。青の色調は微妙に異なっている。それはふたつの青が重ね
塗りされているから。まず、空色の顔料、アズライトを細かく砕いたのを使って彩色し、
その上から粒子の粗いラピスラズリーを塗り重ね、色調の深みをだしている。だが、裏
切り者のユダ(真ん中のイエスから左へ3番目の男)の衣装にはラピスラズリーが使
われていないので、その青は深みのない単調な空色。衣装の青よりもっと魅せられる
のは背景の窓の部分。窓の向こうの遠景にみえる空のうすい青が実に美しい。

“最後の晩餐”が名画中の名画として多くの人をひきつけるのはイエスが“汝らのひ
とり、我を売らん”と言ったときに見せた12使徒の顔の表情と身振り、手振りであろう。
呆然自失、驚愕、悲しみなど人間の内面に潜むあらゆる感情をこれほどリアルに
表現した画家はダ・ヴィンチのほかにはいない。絵の具の剥落した部分があるので、
使徒各人の表情を完全に把握するのは難しいが、それでも揺れ動く感情を充分に
認識することはできる。すごい絵である。

現在、この“最後の晩餐”は見るためには事前に予約が要る。これは旅行会社が
手配してくれる。絵がある部屋(もとは食堂)に一度に入れる人数は25名。鑑賞時間
は15分だけ。なかではガイドの説明は全く無いので、大変静か。また、部屋に外気
がはいらないように途中の通路でのドア開閉が2回くらいある。

我々のツアーは5組に分けられ予約してたのだが、8:15と8:30の2組が予想外
の交通渋滞に巻き込まれ、その時間に間に合わず、鑑賞できなくなった。が、そこは
ベテランの男性添乗員Kさん。懸命のリカバリーショットで15人の予約券を別の時間帯
でなんと確保した。添乗員人脈をいろいろあたったらしい。流石である。終わりよけれ
ば。。。とかで、まずはミラノでいいスタートをきった。

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コメント

いづつやさん、おかえりなさい。
ブログの長いお休みは、イタリア旅行のためだったのですね。(^^)
私も、レオナルドの《最後の晩餐》は修復中に一度観ました。(足場があってちょっと観づらかったです。)現在は予約制になっているのですね。
たまたま今、池上 英洋さんの新刊『ダ・ヴィンチの遺言』を読んでいる最中で、その中にも《最後の晩餐》の記述があり、もう一度、見たいなぁなんて思っていたところなんですよ。
レオナルドの「青」、カプリ島の「青」の洞窟。
今回のご旅行のテーマは「青」なのかしら?
レポートのつづき、楽しみにしています。

投稿: snow_drop | 2006.05.02 10:50

お帰りなさい お久しぶりです
10日もお休みなんて珍しいなあと思っていたらイタリアへ行かれていたのですね
この時期のイタリアはとても気持ちいいでしょうね
「最後の晩餐」はまだ見たことが無いのでいつか行きたいと思いつつ(先立つものが。。。)
この後のお話すごく楽しみです!が、10日でこれだけの場所を回られるとは。。。中々強行軍ですね

投稿: muha | 2006.05.02 13:28

to snow dropさん
イタリア旅行を楽しんできました。イタリアを毎年訪れるのが夢なのですが、
まだまだ他にもみたいところがありますので、そうもいきません。これから、
しばらくルネサンス、バロック美術とイタリアの町、カプリ島のことを書こうと
おもいます。お気に入りのものがでてくるといいのですが。

ダ・ヴィンチの“最後の晩餐”については、小説“ダ・ヴィンチ・コード”
人気もあり、旅行会社は鑑賞予約券の確保に相当エネルギーを使ってるそう
です。GWにミラノに出かけた人は全員見られかどうかちょっと心配です。
なにしろ一回25人をかっちり守ってますから。

投稿: いづつや | 2006.05.02 23:36

to muhaさん
イタリアが大好きなのです。食事が美味しいですし、町の教会や美術館には
古代ローマの美術品、中世美術、ルネサンス、バロック芸術がどっさりつまっ
てます。何回いっても感激します。今回、はじめて訪れる町が5箇所あり、
とても新鮮で楽しかったです。しばらくイタリア一色になりますが、よかった
らお付き合いください。

投稿: いづつや | 2006.05.02 23:45

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