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2006.05.29

絹谷幸二のイタリア天空の調べ

390イタリア旅行から帰って2,3日は現地で撮った写真を整理したり、購入した観光ガイド本や入館した美術館の図録を楽しい気分で眺めていたが、4/29はそれを一時中断して、日本橋三越に出かけた。

ここで開かれていた“絹谷幸二展”(4/18~30)を観るためである。旅行の出発日と展覧会の初日が重なり、日本に戻ったら必ず行こうと決めていた。有難いことに郵便受けには友人から送られた招待券が入っていた。

絹谷幸二のあの鮮烈な原色に彩られた絵画に魅せられて長い時が経つのに、これまでこの画家の回顧展にお目にかかったことがない。日本の洋画家の作品は東近美の平常展でしか見ないので、現在洋画界をリードしている人気の画家とか新進気鋭の若手作家などについての情報は皆無。こんな不熱心な鑑賞態度だから、大変気に入っている絹谷幸二の作品にミューズが会わせてくれなかったのだろう。

不思議なことに東近美で絹谷の絵を見たことがない。ここは所蔵してないのだろうか?過去見た作品は3点くらいしかないのに、この展覧会では最新作が41点ドッと現れた。これが絹谷幸二の絵か!やっと見たぞという感じである。はじめてみるようなものだから作品1点々をワクワクしながら見た。

モティーフは“薔薇の花”、“イタリアの風景”、“人物画”の3つ。人物画が面白い。眺めてるといろんな画家の作風が浮かんでくる。“天穹のコンチェルト”からは幻想の画家、シャガール。顔が3つある女性が歌を唄いながら食事をする場面を描いた“SALUTE!”はピカソのキュビズム。古都奈良生まれで日本画もよく知っている絹谷は千手観音像やピカソの絵をミックスして、顔を増やし、手も5本にしたにちがいない。

食事をしたり、唄ったり、楽器を演奏する絵が多いのは絹谷幸二が骨の髄からイタリアを愛していることの表れ。笑うとキューピーちゃんのような顔になるこの画家はユーモアもたっぷりある。“BUON APPETITO”では、女性の舌の先に漫画の吹き出しのようにイタリア語が書いてある。意味はわからないが、たぶん“美味しいわー、でも食べ過ぎてもうはいらない!”と言っている。豚や蛸も登場し、豚の鼻先には日本語の“ぶーぶー”。これには驚いた。“ええー、絹谷ってこんなことをしちゃう画家なの?!”と口にしそうになる。まったく楽しい絵である。

ヴェネツィアやローマなどイタリアの都市を描いた作品も素晴らしい。この国から帰ってきたばかりなので、ここで描かれている情景を鮮明に思い出す。なかでも、イタリア全土を俯瞰の構図と赤と青で表現した右の“イタリア天空の調べ”は嬉しい絵。ちょっと前、この絵にでてくる観光地を回ったのだから。このタイミングの良さは一体何だろう!南のほうにポンペイの遺跡やヴェスビオ火山があり、上のほうにあがるとローマのコロッセオ、フォロ・ロマーノ、フィレンツェのダビデ像、北にいくとミラノのドォーモ、そしてヴェネツィアのサン・マルコ寺院がみえる。

いい気分でこの絵をみていたら、近くに画家本人がおられた。で、急いで図録を買い、サインをしてもらった。これを機に絹谷作品の展示を定期的にチェックしようと思う。

なお、この展覧会は東京会場は終了しているが、今は6/2まで松山三越で開催中、そのあと次の都市を巡回する。
 ・名古屋栄三越:8/15~8/20
 ・仙台三越:10/10~1016
 ・新潟三越:10/24~10/29
 ・札幌三越:07/1/16~1/22
 ・福岡三越:3/13~3/18

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コメント

僕は招待券が手に入らなくて行かなかったのですよ/涙。
その代わり梅原龍三郎はしっかり招待券で鑑賞しました!
明日から三浦小平二という人の作陶展もはじまりますね。
いづつやさんはいかれますか。

投稿: oki | 2006.05.29 23:13

いづつやさん、こんにちは。

絹谷幸二さんの展覧会のチケットがありながら、体調不良で動けず、結局見に行けず仕舞いとなってしまいました。
奈良の絹谷さんご縁者のお店に、何度も行ったことがあります。
日本人らしくないおおらかな色彩感覚は、一体何処で身に付けられたのか、また、なんて晴れ晴れしい画面なのか!!と元気をもらえる、お気に入りの作家さんです。
展覧会会場でご本人とご対面なんて、ミューズはちゃんと見て下さっていたのですね!!
池袋の芸術劇場の天井絵に絹谷さんの絵があったような。

イタリア旅行記たっぷり堪能させて頂きました。グラッチェ★

投稿: あべまつ | 2006.05.30 14:31

to okiさん
待ち焦がれた絹谷幸二展だったものですから、日本に帰ってからこの展覧
会だけはすぐ足を運びました。赤や黄色、青などの原色を対比させる画家
独自の画風に200%魅了されました。

カラリスト好きとしては、梅原龍三郎の絵ははずせません。きっちり観て
きました。三浦小平二展にも近々でかける予定です。

投稿: いづつや | 2006.05.30 16:51

to あべまつさん
絹谷幸二の作品を見る機会にやっと恵まれました。デパートでの展覧会は
会期が短いのに運よく間に合い、画伯のサインまでいただきました。喜んでます。
フレスコ画ですから、赤や青が輝いてます。イタリア人もこの絵が好きになる
だろうなと思いながら眺めてました。

今回、国立近代美術館でイタリア現代作家の抽象絵画を沢山みて、その素晴ら
しい色彩感覚に完璧にKOされました。日本人はとても叶わないなと感心して
帰ってきたのですが、キヌタニコウジだけは例外でした。イタリア人以上の
明るさがあります。これからこの画家の作品を本格的に追っかけます。

イタリア旅行記を読んでいただき有難うございます。イタリアが誇る文化遺産
に心からグラッチェです。

投稿: いづつや | 2006.05.30 17:35

今、この企画展は松山三越に来ています。(~6/2)
こちらでは入場無料です、どなたでも・・・です。
開会の前夜、絹谷さんを囲んでのレセプションがあり
招待していただき、行ってきました。
お描きになる絵と同じようにお話も楽しい方でした。

投稿: リセ | 2006.05.30 22:21

to リセさん
松山三越では入場無料ですか。それはいいですね。絹谷幸二の絵をこんな
に数多くみたのははじめてです。ますますこの画家にのめりこみます。
人柄もいいですしね。70歳代で文化勲章をもらうような気がします。

投稿: いづつや | 2006.05.31 17:40

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