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2006.05.20

カラヴァッジョ絵画三昧 in ローマ

381前々から次にローマを訪ねるときはベルニーニの彫刻とカラヴァッジョの絵の鑑賞に多くの時間をさくことを決めていた。ベルニーニ同様、ローマにはカラヴァッジョ(1571~1610)の作品が沢山ある。

美術館、教会にある名画のすべてを一日でみるのは無理なので、リストアップした作品にあらかじめ観たい順番をつけておいて、時間の許す限りタクシーでまわった。まずは美術館にある作品から。

日本を発つ前日、Juneさんのブログで貴重な情報を戴いた。ヨーロッパの美術館でカラヴァッジョの展覧会が開かれるというと、孫悟空のようにあっというまにかけつけるJuneさんはまたまたアムステルダムのゴッホ美術館で開催中の“レンブラント/カラヴァッジョ展”(2/24~6/18)を観られ、展示されているカラヴァッジョの作品のことをブログで書かれていた。で、カラヴァッジョ絵画を多く所蔵することで有名なボルゲーゼ美術館とバルベリーニ宮・国立絵画館からどの絵が今、貸し出されているかがわかった。期待していた“ホロフェルネスの首を切るユディト”(国立絵画館)と“ゴリアテの首を持つダビデ”(ボルゲーゼ美)に会えないのはとても残念だが、これは仕方がない。

ボルゲーゼ美術館のカラヴァッジョの絵が飾ってある部屋には大勢の人がいる。これをみると、ベルニーニとカラヴァッジョがこの美術館の2枚看板であることがよくわかる。観光客のガイドさんが熱っぽく説明していたのが右の“蛇の聖母”。大きな絵である。裸の幼児キリストのわきの下に両手をおき、少し前かがみになっている聖母マリアの姿に目がいく。優しそうで静かな女性である。でも、目を下にやるとギョッとする。足で踏んづけているのは罪と異端のシンボルである蛇。自分の足の上に幼児キリストの足をのせ、蛇を踏み潰す方法を教えているのである。背景を暗くし、左から聖母と幼児キリストに光を当てる描き方に魅了される。

聖母のモデルは娼婦レーナといわれており、サンタゴスティーノ教会にある“ロレートの聖母”にも衣装を変えて出てくる。右にいる聖アンナもローマの下町に行けばすぐ会えそうな老婆。光輪があるのでこの絵は聖母子像であるが、カラヴァッジョは市井の人々を使い、宗教画をより身近に感じるものに変えた。これが最初は依頼主の教会からは“卑俗で、神を冒涜している”などと非難され、受け取りを拒否されたりするが、一方で人間の感情や内面をとらえ深い精神性の感じられる宗教画と高く評価するパトロンたちがいた。

その一人が教皇パウルス五世のお気に入りであったシピオーネ・ボルゲーゼ枢機卿
(1579~1633)。はじめは12点あったボルゲーゼコレクションのうちの6点が現在、この美術館にある。今回見れたのは“蛇の聖母”、“病めるバッカス”、“聖ヨハネ”の3点。残りはゴッホ美術館に行っている。“果物籠を持つ少年”と“聖ヒエロニムス”は日本であった“カラヴァッジョ展”に出品された。カラヴァッジョお得意の暴力的な表現が強烈にでた“ゴリアテの首を持つダビデ”がなかったのは想定外だが、狙いの青白い顔をしたバッカス(カラヴァッジョ自身)も見れたのでトータルの満足度は高い。

バルベリーニ宮・国立絵画館では“ナルキッソス”と“瞑想の聖フランチェスコ”と再会した。隣の方ははじめてみる“ナルキッソス”に喜んでいた。また、日本にも出ていたカラヴァッジェスキ、サラチェーニの“聖チェチェリアと天使”、バリオーネの“聖愛と俗愛”にも足がとまる。次回はここでなんとしてもホロフェルネスの首から鮮血が飛び散るあの代表作を見るぞと思いながら、館をあとにした。

04年末、いいカラヴァッジョ本、“カラヴァッジョー聖性とヴィジョン”(宮下規久朗著、名古屋大学出版会)が出版された(拙ブログ04/12/23)。ご参考までに。

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コメント

いづつやさん、こんばんは。拙ブログまでご紹介いただき恐縮です(^^ゞ
ローマでボルゲーゼやバルベリーニのCARAVAGGIO作品を堪能されたようですね。でも、ゴッホ美術館に貸出し中の作品だけでなく、「ゴリアテの首を持つダビデ」が不在だったとは!これはきっとCARAVAGGIOがいづづやさんにローマへ再訪するように促しているのかもしれません。

画像でご紹介の「蛇の聖母」もCARAVAGGIOらしい光と闇に浮かびあがり、やはり名画ですよね!聖母子と踏み付ける蛇との対比も不気味で、なんだか一筋縄ではいかない画家を感じてしまいます(^^;。いづづやさんもCARAVAGGIO廻りでますます画家の魅力に捉えられてしまったのではないでしょうか?

投稿: June | 2006.05.22 00:19

to Juneさん
ボルゲーゼの“蛇の聖母”は大きな絵ですね。これまで聖母子といえば、
ラファエロの作品を最も気に入っていたのですが、これにカラヴァッジョ
の“蛇の聖母”と“ロレートの聖母”が加わりました。

これまでカラヴァッジョというと“ゴリアテの首”など過激なリアリズム
のイメージばかりが頭のなかを占めていましたが、深い精神性が感じられ
る二つの聖母子に大変感動しました。ホロフェルネスとゴリアテの首が観
られなかったのは残念ですが、Juneさんがおっしゃるようにローマを再訪
する動機になります。隣の方共々、カラヴァッジョ絵画の魅力にのめり込ん
でるところです。

投稿: いづつや | 2006.05.22 12:34

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