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2006.04.12

鎌倉大谷記念美術館の前田青邨

359鎌倉へは頻繁に出かける。今回訪問した美術館は定期的に足を運ぶ鏑木清方記念館や棟方板画館ではなくて、駅の西口のほうにある鎌倉大谷記念美術館。ここへ行ったのははじめて。

これまでは館の存在を承知するていどだったが、所蔵する近代日本画の名品を展示するというので、期待をこめて入ってみた。

特別展のチラシには“美しき日本の四季ー大観・御舟を中心に”(5/27まで)とある。
1階と2階の展示室に18点が飾られている。小さな美術館なのでこれくらいしか
展示できない。作品は少なく、大作の絵はないが、質はかなり高い。近代日本画を
代表する横山大観、川合玉堂、上村松園、速水御舟、小林古径、前田青邨など大物
画家の絵がずらっとある。松園と伊東深水の美人画2点以外は日本の四季折々の
自然を描いた風景画と花鳥画。

関心の高い速水御舟の作品は手元の画集に載っている“木苺に蜂”、“林丘寺堀外
の道”、“唐もろこし”の3点。御舟が住んでいた京都洛北修学院村の林丘寺のま
わりを描いた作品に惹かれる。道にできた影と光があたってるところのシャープなコン
トラストとその道を両側から挟むように植えられた木々の緑に目を奪われる。同じ
ころ制作された“洛北修学院村”では画面全体を濃い群青で表現していたが、この絵
では緑が多くの部分を占める。しかも、木の葉が写生的でなく、深い緑の点々で
琳派のたらし込み風に描かれているので、幻想的な感じがする。

御舟の絵が期待通りのいい絵だったので喜んでいたら、もう一点、テンションをぐっと
上げてくれるのがあった。前田青邨が描いた右の“紅白梅図”。松・竹とともに、日本
画の画題に使われる紅白梅の絵を青邨は何点か制作している。04年の“琳派展”
(東近美)に出品された“水辺春暖”をみたときの感動は今でも鮮明に覚えている。
この“紅白梅図”は“水辺春暖”より3年前の1970年に描かれ、構図は異なるものの、
画面構成は同じ。

左右上下に伸びる紅白梅の太い幹と枝、華麗な色彩で繊細に描写された花。幹に
は墨のたらし込みが使われているので、誰もがこの絵をみて光琳の“紅白梅図屏風”
(MOA)の現代版をイメージする。現代の紅白梅図は華やかさに加え軽快でとても
明るい。梅の花が満々と咲き、水辺には鴛鴦が泳ぎ、番い(つが)の鶯が枝にとまって
いる。青邨の自然にたいする深い愛情と高い画技によって描かれた名画をみれたの
は大きな喜びである。

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