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2006.04.05

速水御舟の京の舞妓

277現在、東博の平常展に速水御舟の有名な絵が展示されている。右の“京の舞妓”(4/23まで)。この絵をずっと追っかけていたが、やっとお目にかかれた。

御舟の作品を沢山所蔵している山種美術館に通いつめ、さらにここや東近美の平常展にも頻繁に足を運んだので御舟の“炎舞”、“名樹散椿”などの代表作はほとんど鑑賞済みになっていたが、この“京の舞妓”はなかなか縁がなかった。御舟の絵にかぎらず、画家の代名詞といわれるような絵に接したときの嬉しさは格別である。

東博がもってる御舟の絵の真打がこの絵。ここは昨年の12月から、画集に載ってるほどの代表作を連続して展示している。拙ブログ05/12/5で紹介した“紙すき場”、次がこの前でていた“萌芽”。そして、“京の舞妓”。この絵で一番感激するのは目に染み入るような群青による舞妓の衣装と染めの絞り目や畳の目一つに至るまで追求した超細密描写。

御舟は“紙すき場”(1914)のころは黄土色にはまっていたが、そのあと群青中毒
になる。その深い群青に吸い込まれそうになるのが、御舟が京都に住んでいたとき
に描いた“洛北修学院村”(1918、滋賀県立近代美術館)。近代の日本画家が描い
た風景画でこの絵ほどズキンとくる絵に出会ったことがない。この絵の2年後、御舟
が26歳のときに描いたのが“京の舞妓”。

燕子花の模様をした着物の群青と舞妓の白い顔が印象的で、目の前で本物の舞妓
がポーズをとっているような気がする。そして、焼けたあとまで描いている畳の質感
に目が点になる。こんな描き方をした日本画家はほかにいない。対象をとことんまで
観察した御舟は、その質感をリアルに表現するため、やり過ぎとも思える細密描写を
徹底的に行う。これが当時の院展の大御所で、あからさまな写実を嫌った横山大観の
怒りを買う。が、一方で、洋画家の梅原龍三郎からは“えげつないまでつっこんだ細密
描写の舞妓図などマンテーニャの写実に通ずるものがある。真に一世に稀有の画才”
と絶賛される。

レオナール・フジタの絵が日本画のような西洋画なら、速水御舟の“京の舞妓”は
油絵のような日本画かもしれない。

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コメント

こんにちは

わたしも御舟大好きです。
大観と梅原の観方の差は東西の差のような気もします。
文化論になってしまうかもしれませんが、日本画と洋画の違いだけでなく、根にそれがあるような。
御舟の婦人像は舞妓でも奥さんでも、美人画とは異なる領域に入っているように思いますが、いかがでしょうか。

ところで京博では凱旋記念とでもいうのでしょうか、蕭白・若冲・芦雪・応挙らの未公開か何かの展示をしているようです。
40点ばかり。
詳しい情報はあちらのサイトにあると思います。
週末に花見がてら見てきます。

投稿: 遊行七恵 | 2006.04.05 17:11

to 遊行七恵さん
京の舞妓がやっと平常展に出てきました。大観が激怒したという細密表現は
やはり尋常ではないですね。油絵の質感です。大観は精神性を強く言いますから、
この絵はどうしても我慢できなかったのでしょうね。応挙の流れをくむ京都画壇
の写生重視を大観は職人的といって軽く見てますから、絵画にたいする考え方
がはじめからちがっています。御舟の女性画は静物画みたいですね。
おっしゃるように美人画には思えません。

18世紀京都画壇展、4/1に見てきましたので、近々UPします。

投稿: いづつや | 2006.04.05 22:32

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