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2006.04.14

関屋・澪標図屏風と琳派展

361現在、静嘉堂文庫で行われている“関屋・澪標図屏風と琳派の美展”(5/14まで)は見ごたえがある。

宗達の傑作、国宝“関屋・澪標図屏風”が前回出品されたのは3年前。昨年9月、この絵の描かれた制作年代が明らかになった(拙ブログ05/9/14)後の展示だけに、今回の公開を楽しみにしている日本美術ファンは多いのではなかろうか。

ここは企画展の図録をあまり作らないのに、今回は特別なのか、屏風の立派な
解説本を販売していた。展示室は広くないので、作品数は少ないが、はじめてみる
光琳や抱一、其一の作品などがあり、さらに公開を待っていた“平治物語絵巻 信西
巻”(重文)をみることができたので気分はかなり良い。

入ってすぐのところに展示してある“平治物語絵巻”で驚いたことがある。牛が力
いっぱい右方向に引っ張っている牛車の車輪の内側に、時計のぜんまいのような
円い線が幾重にも墨で描かれている。最初これが何を表しているのかピントこな
かったが、次第にすごい表現方法であることに気づいた。牛車が勢いよく進む
様子を車輪がぐるぐる回ることで表現するため、ぜんまい線を描いているのである。
これはイタリア未来派のバッラやボッチョーニが犬の動きやスポーツ選手の運動
を連続的に描いたのと同じ発想。鎌倉時代の13世紀に制作された絵巻にこんな
描法があったとは!!

右は“源氏物語関屋”の場面。六曲一双の屏風は右隻に“澪標”(みおつくし)、左隻
に“関屋”(せきや)が並べてある。最近はこの配置もありというのが専門家の解釈
らしい。これだと右に海があり、左のほうに山がくるので空間的な広がりがあり、しっく
りくるという。前回もこの配置だったような気がする。色彩では、金地に映える緑青が
目にしみる。そして、白砂や衣装に使われた胡粉の白が心地よい。前回は目に留ま
らなかったが、白砂のところに胡粉が盛り上がった点々を確認した。

今回発見したのは“関屋”の左端に見える牛車(なかに空蝉がいる)の横に立っている
牛飼の背丈。この男はえらく背が高い。もうひとつ印象深かったのが、“澪標”に描か
れた海上の舟(明石君がのっている)と左の反橋に彩色された灰みを帯びた青。日本
画であまり見ない色である。この絵を鑑賞するときの新たな楽しみが見つかったので、
心も浮き浮きしてきた。これだから琳派狂いをやめられない。

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コメント

いづつやさん、こんばんは
遅ればせながら、お帰りなさいませ。(イタリア記事、楽しく拝見しております。)
俵屋宗達の屏風を見てまいりました!!!
非常に象徴的でかつ色々想像させるという意味で文学的な作品だと思いました。
私が行った日、屏風の配置がいづつやさんのご覧になられた配置と逆になっていましたが、それはそれで面白かったのですが、“しっくりする”配置の方も見たかったです。

「平治物語絵巻」では別の場面の部分が紹介されており(信西獄門の場)、車輪の回転が見れなかったのは残念でした。

投稿: アイレ | 2006.05.08 01:52

to アイレさん
炎の弾丸東京ツアー、お疲れ様です。静嘉堂文庫がもっと都心にあったら、
時間も節約できたでしょうね。俵屋宗達の絵は自由闊達で巧みな構図とやわ
らかくて可愛いらしい人物表現が魅力ですね。

“平治物語絵巻”では実は“信西の首”の場面を見たかったのですが、展示
してあったのはびっくりする“車輪”でした。次回はクロスして見ましょうね。

投稿: いづつや | 2006.05.08 17:36

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