« 大倉集古館の長澤芦雪 | トップページ | 亜欧堂田善の浅間山図屏風 »

2006.04.10

ブリジストン美の円山応挙

3574/8からはじまったブリジストン美術館の“雪舟からポロックまで展”(6/4まで)はおやっと思わせるタイトル。

ブリジストン美は大原美術館とともに民間が運営する美術館としては誰もが知る西洋美術の殿堂なのになぜ、雪舟があるのか?その理由はこう。

石橋財団が所蔵するコレクションは現在、久留米市にある石橋美術館と東京のブリジストン美の2箇所で公開されている
が、今年は財団の設立50周年にあたり、これを記念して開催されるのが今回の展覧会。雪舟の絵など日本・東洋美術品があるのは石橋美術館で、ここの名品がブリジストン美にやってきたというわけである。久留米の石橋美術館には行ったことがないので、ブリジストン美と日本画が結びつかなかったが、これで納得した。

今回は記念展だから、通常は一度には展示されないものを現地に行かず見られる
のは大変有難い。大体見ている洋画や彫刻よりは当然ながら、お目当てはこちらの
日本美術。とくに絵画と陶磁器に感動した。雪舟の“四季山水図”(重文)は過去、
2,3回見たことがある。最近では、昨年あった根津美術館の“明代絵画と雪舟展”
にでていた。いくつかある四季山水図のなかでは保存状態が良く、一番気に入っ
ている作品で、力強く、のびやかな筆さばきで描かれた切立った山々と松からは四季
折々の情趣と空気が伝わってくる。

この絵以上に新鮮だったのが江戸絵画。ここでもまた円山応挙と江戸琳派の鈴木
其一のいい絵に出会った。“18世紀京都画壇展”から展覧会同士が響き合うかの
ように江戸絵画の名画が目の前に現れる。其一のは六曲一双の屏風絵、“富士筑
波山図”。金地に富士山、筑波山が墨で描かれている。印象深いのがところ々に使わ
れる木々の緑と筑波山の群青。筑波山を青で彩色するとはなんと大胆!其一は
ドイツ表現主義の先駆けではないかと錯覚する。

この群青で驚愕させられるのが右の応挙作、“牡丹孔雀図”。03年にあった“円山
応挙展”(大阪市立美術館)にでてた孔雀図で味わった感動が蘇ってきた。じっとみて
ると、本物の孔雀がいまにも動き出すのではないかと思えてくる。羽根一枚々を繊細
克明に描写する応挙の真摯な姿勢にただただ感服するばかり。応挙の緻密な描き
方はていねいすぎて、若冲の遊び心をもった超細密描写にくらべると優等生的かも
しれないが、これはこれで見る者に深い感銘を与える。二本足の上の部分の緑青の
輝きが本当に素晴らしい。首のところの羽根やとさかを単眼鏡でみると金の極細の
線がひいてある。大阪でみた“牡丹孔雀図”(重文、萬野美術館)ではここまでは気づ
かなかった。

こんなすごい孔雀図が石橋美術館にあったとは夢にも思わなかった。この絵だけでも
入場料を払う価値がある。なお、宮内庁三の丸尚蔵館にも応挙の孔雀図があり、これ
が嬉しいことに現在開催中の“花鳥ー愛でる心、彩る技展”の5期(8/12~9/10)に
登場する。前回、展示替えで見逃したこの孔雀図でまた感動が再生産できるのでは
ないかと期待している。

|

« 大倉集古館の長澤芦雪 | トップページ | 亜欧堂田善の浅間山図屏風 »

コメント

6月4日までですか。。。
いけるかなあ?
6月ごろ東京周辺でよい展覧会があったら、お教えください。

投稿: seedsbook | 2006.04.10 20:39

いづつやさま、こんばんは。

日々充実の展覧会にお出かけの様子、うらやましいの一言です。「雪舟からポロックまで」のタイトルは???って私も思いました。大倉もブリジストンも、いいところやってますね。
三の丸も行ってないし、気が焦るばかりです。
秋には江戸博にボストン美術館がやってきますね。
今年は何かと盛りだくさん。ワクワクします。
なんとか見に行けるよう、頑張りたいです。

投稿: あべまつ | 2006.04.10 22:02

to seedsbookさん
西洋美術、日本美術のどちらに軸足をおかれてるかわかりませんが、6月のころ
ある展覧会で期待値の高いのをあげてみますと。

★西洋美術 
・プラド美術館展(6/30まで、東京都美術館)-ティツイアーノ、グレコ、ゴヤ、ムリー
リョ、静物画などにいい絵があります 
・ポンペイの輝き展(6/25まで、Bunkamura)-古代ローマの遺跡に興味が
ありますので期待してます 

★日本美術 
・若冲・動植綵絵展示3期(6/3~7/2、三の丸尚蔵館)-今注目の作品です 
・出光美所蔵名品展Ⅰ(6/18まで、出光美術館)-館自慢の屏風絵などがでます

投稿: いづつや | 2006.04.10 23:06

あらら~~、ってことは本家の石橋美術館はどうなっているのでしょうね。実はGWに福岡へ行く予定なので、久留米まで足をのばしてみようとおもっていたんですけど。まさかブリヂストンの作品が交換で行っているなんてことがあったらちょっと悲しいです。

投稿: リセ | 2006.04.10 23:35

to あべまつさん
ブリジストン美術館で応挙の“牡丹孔雀図”に会えるなんて、思ってもみま
せんでした。羽根の群青の輝きに気分がハイになりました。三の丸尚蔵館でも
5期にこれまた名画として有名な同名の絵がでてきます。江戸絵画が今集中的
にこちらに向かってきてくれてます。

浮世絵のお好きなあべまつさんならきっと感動されると思われるのが今、東博の
浮世絵コーナーにでています。それは広重が描いた“諸国名所百景”で16点
あります。広重は大体見たと思ってたのですが、こんなところにすごいのが残って
ました。手持ちの図録にも載ってなく、びっくりしました。200%感動しまし
たので、隣の方にも是非みせたくて、また見に行きます。展示は4/23まで
です。どうかご覧になって下さい。

投稿: いづつや | 2006.04.10 23:44

to リセさん
今回は2つの美術館の名品を一緒に展示してます。そして、あらたにつくった
図録もあります。石橋財団コレクションのすべてがここにでてます。東京展の
あと、6/15~7/2に石橋美術館でまた開催するようです。青木繁の“海の幸”、
フジタの“横たわる女と猫”など石橋美術館にある作品がありますから、6/4
までは名作のほとんどは、こちらにきているのではないでしょうか。

投稿: いづつや | 2006.04.11 08:00

情報有難うございました。
やはり日本美術を見たいと思っています。
↑の2件是非クリアしたいと思います。

投稿: seedsbook | 2006.04.11 14:38

いづつやさま、コメントにレスをして頂き、いつも嬉しく思っています。
今日は雨模様、フリーア美術館をネットで探検してました。
いずれ、アメリカに行って、訪ねるのが夢です。
最近とみに北斎は半端じゃないなぁ~と、ため息付いてます。
広重を見に東博に行ってきますね!!
プラドと、藤田が先に予定に入ってますけれど、間に合うように頑張ります。情報に感謝します!!

投稿: あべまつ | 2006.04.11 16:11

to seedsbookさん
帰国の折はどうか日本美術をお楽しみ下さい。

投稿: いづつや | 2006.04.11 18:00

to あべまつさん
フリーア美術館をいつか訪ねてみたいですね。その際は宗達の“松島図がみれる
タイミングを充分チェックして出かけようと思います。また、ここには歌麿の
素晴らしい肉筆美人群像画がありますので、北斎同様これもみてみたいです。

投稿: いづつや | 2006.04.11 18:08

いづつやさん、こんばんは
奇しくも同じ日にブリヂストン美術館の記事をアップしていました。私は西洋絵画中心でしたが、本日、日本画&古美術の記事をアップしましたのでTBさせていただきました。
応挙の孔雀は本当に色が凄かったです。特に羽のブルーグリーンはきらきらしていました。
久留米まではなかなか行けないのでお得な気持ちになりました。
次は三の丸尚蔵館の応挙も楽しみにしたいと思います。

投稿: アイレ | 2006.04.12 00:00

to アイレさん
記念展のお陰で石橋美術館の日本画や中国の陶磁器が見れました。
応挙の“牡丹孔雀図”がここにもあったのですね!応挙の写生力
というのは本当に凄いです。写生もここまでくるともう神業ですね。

投稿: いづつや | 2006.04.12 18:15

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ブリジストン美の円山応挙:

» ブリヂストン美術館-2 [青色通信]
石橋財団50周年記念 雪舟からポロックまで 4月8日 ブリヂストン美術館(〜6月4日)  昨日紹介した作品の殆どはブリヂストン美術館所蔵の絵画でしたが、今日は石橋美術館所蔵の日本画や古美術をメインの記事にしたいと思います。 まず展覧会タイトルにもある雪舟....... [続きを読む]

受信: 2006.04.11 23:46

« 大倉集古館の長澤芦雪 | トップページ | 亜欧堂田善の浅間山図屏風 »