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2006.04.06

伊東深水展

353先週土曜日、京都へ行ったとき、全くNO情報の“伊東深水展”に遭遇した。場所は伊勢丹(駅ビル内)7階にある美術館(4/23まで)。

京都へは京博の“18世紀京都画壇”をみるため出かけたのに、犬も歩けば棒にあたるとはよく言ったもので、思いもかけず、この展覧会の初日にめぐり合った。

美人画家、伊東深水の絵については師匠の鏑木清方や上村松園の作品に較べる
といまひとつ惹きつけられるものがないなという印象を持ち続けてきたが、昨年、
MOA所蔵の“深雪”(拙ブログ05/11/30)や東近美の平常展にでてた“雪の宵”
をみてから、この考えが変った。ようやく唸るほどの名画が現れてくれたので、
今では本屋で画集を物色している。画集を探しているのは“雪の宵”を手元におい
てみたいからだが、残念ながら鏑木清方、上村松園のように伊東深水のものは
出版されてない。いつか、神田の古本屋で時間をかけてあたってみようと思って
いた矢先に、京都で大回顧展をみることになった。こんな嬉しいことはない。

入館する前、ひょっとすると4/8から目黒区立美術館ではじまる伊東深水展では
ないかと思ったりもしたが、それとは違う正真正銘のビッグな回顧展だった。会場を
進むにつれて、これは凄い展覧会に出くわしたなと興奮してきた。展示会場の関係で
図録に載ってる73点のうち20点は展示されてない。初期の名品で、伊東深水の
出世作といわれる“指”や“湯気”などをはじめ、晩年までの代表作のほとんどが展示
されている。過去、見たのも数点あるが、大半ははじめてみる絵。現代風俗の美人
画だけでなく、“雪もち梅”といった花鳥画、バレリーナや現代的な普通の女性を描
いた肖像画も数点ある。

また、深水は芸能が好きだったのか、日劇ミュージックホールの楽屋風景を描いた
“戸外は春雨”(福富太郎コレクション)や新橋演舞場の楽屋が絵になった“春宵
(東おどり)”もある。“春宵”は日本画を鑑賞するときの参考にしている“昭和の日本
画100選”(1989、朝日新聞社)に選ばれてるので、長らく追っかけていたが、
昨年ホテルオークラであった恒例の展覧会でお目にかかった。

今回、最も感動したのが右の“姿見”。立ち姿がなんとも艶やかな美女であろうか。
とくに目がいい。昭和33年、深水60歳のときの作品で、“深雪”(昭和25年、MOA)
の女性とは随分ちがい、現代的でずっと身近に思える女性である。桜模様の着物
に身をつつみ、後ろ手に茶色の縞柄の帯を整えるしぐさが実に色っぽく、人気女優
が演じる映画の時代劇の一シーンを観てるようである。

この展覧会は京都の後、茨城県の五浦美術館(4/28~6/4)、弘前市立博物館
(6/10~7/16)を巡回する。五浦美術館には73点全部展示されるので、またクルマ
を走らせようと思う。これほどの名作が展示される機会を見逃すわけにはいかない。

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コメント

目黒の伊東深水は僕も期待しているのですよ。
いづつやさんでも「大半ははじめて見る」とおっしゃるのですから、目黒の展覧会への期待も膨らみますね。
渋谷の松涛に行ってきました。
台湾の日本人女性画家、陳深という人の展覧会で深水にも学んだ人のようです。
いづつやさんのご感想も期待しております。

投稿: oki | 2006.04.06 22:38

いづつやさん、こんにちは。いぬまゆと申します。いつもいづつやさんのブログを興味深く拝見しております。

僕もいづつやさんと同じく先週末に桜を見に京都へ行き「18世紀京都画壇の革新者たち」と「伊東深水展」を見てきました。

茨城県天心記念五浦美術館で行われる「伊東深水展」では京都では展示されなかった作品も展示されるようですので、ゴールデンウィークにでもドライブがてら行ってみようと思っております。

投稿: いぬまゆ | 2006.04.06 23:14

to okiさん
京都駅の伊勢丹で開催中の伊東深水展は目黒区美の素描を
中心とした展覧会とは別もので、本格的な回顧展です。山種、
東近美、MOAなどから代表作がずらりでています。図録が
これまたよく色をひろってますので、毎日眺めてます。

五浦美では京都展では出品されなかった20点がみれますので、
また出かるつもりです。

投稿: いづつや | 2006.04.07 14:32

to いぬまゆさん
はじめまして。書き込み有難うございました。共に関東から京都へ出かけ
“18世紀京都画壇展”と“伊東深水展”を鑑賞したことに不思議な縁を感じ
ます。これからもよろしくお願いします。

伊東深水展はノーマークだったので、京都駅について跳びあがるくらい嬉し
かったです。いい絵がずらっと出てましたね。深水美人画を200%堪能しま
した。五浦美にでる20点も追っかけます。これを逃すと次回はだいぶ先に
なりそうですから。

投稿: いづつや | 2006.04.07 14:45

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» 伊東深水展 @美術館「えき」KYOTO [徒然なるまままに]
伊東深水展 @美術館「えき」KYOTO 2006年4月1日から23日 いづつやさんのBLOGを見て、19日に合間があったので、京都で駅ビルで開催されている伊東深水展に寄ってみました。 伊東深水(1898−1972)の美人画はいまひとつピンときていないのですが、初期から晩年までの画業を振り返った展覧会で彼の画風の一端がすこし理解は出来たような気はします。 個人的には、初期の作品に共感します。 《指》(平和記念東京博覧会美術展 二等銀杯)(192... [続きを読む]

受信: 2006.04.21 07:36

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