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2006.04.03

青騎士の画家、マルク

350“日本におけるドイツ年”に因んでドイツの画家の作品を見る機会が多い。現在、ホテルニューオータニ美術館で開かれている“青騎士の画家展”(5/7まで)はカンディンスキー、クレー、マルク、ミュンターの版画(26点)を集めた展覧会。

出品数は少ないが、好きな画家、カンディンスキー、クレーの絵はなるべく見逃さないようにしているのでさらっと観てきた。カンディンスキーの作品が一番多く、木版画、リトグラフなど12ある。このうち“コンポジションⅣのための下絵”、“小さな世界Ⅲ”、“小さな世界Ⅶ”が印象深い。

“コンポジションⅣ”は完全な抽象絵画に到達してない作品で、“戦闘”という副題がついている。馬に乗った騎士が戦う場面ははっきりとみえないが、垂直に伸びる線や丸みを帯びた円錐形などは騎士の持ってる槍や馬のフォルムをイメージさせる。これに較べると“小さな世界”は円、曲線、直線といった幾何学的モティーフを赤や青、黄色の鮮やかな色彩で構成した抽象絵画。カンディンスキーの作品に魅せられてるのがこの抽象美。小さな版画でも気分が高揚する。

1911年、カンディンスキーとともに“青騎士”を結成したマルクの作品(4点)もなかなか魅力的。右は第一次世界大戦で従軍する前に制作した“馬”(木版画)。マルクは動物を愛し、牛、馬、などの家畜や鹿、狼、虎などの野生動物を描いている。昔、グッゲンハイム美術館蔵の“黄色い牝牛”を見たときの印象が強烈だったため、マルクの絵というとすぐ、“牛の絵”を思い浮かべるが、馬もよく登場する。森美術館でやっている“東京ーベルリン展”(5/7まで)にも牡牛のほかに馬と虎の版画があった。この木版画における色の組み合わせに釘付けになった。赤い地とうす緑の地に描かれた躍動感溢れる黒い馬と青い馬が強く心に残る。平面的に表現した馬をぐるりと囲む輪郭線や勢いのある黒の線が画面をひきしめている。

クレーの絵は5点あり、“恋する男”というのが面白い。顔と頭を表す円のなかに下半分は男の目と鼻が描かれ、上半分にはブラジャーをつけただけの女が横たわっている。なんとも面白い発想!クレーという画家は超一級の漫画家でもある。この絵に出会ったのは大きな収穫。

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