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2006.03.23

鳥居清倍の役者絵

268浮世絵鑑賞については、東博の平常展のウェートがましている。

それは平常展が無料のパスポート券があるためと、専門館の太田記念美術館が昨年から開催していた記念展が2月で終了したから。

2階の浮世絵コーナーは大体一ヶ月くらいで展示作品が替わるので、年間を通してみると相当数の浮世絵がみれる。しかも、北斎や広重、歌麿といったビッ
グネームの絵師たちの代表作が頻繁に登場するので、ここにいるときの満足度はかなり高い。

今回の展示(3/26まで)にも、いい絵が結構あった。お目当てのひとつが右の
役者絵、“市川団十郎の竹抜き五郎”。描いたのは江戸前期に活躍した浮世絵師、
鳥居清倍(きよます)。浮世絵は最初、墨一色の木版画の“墨摺絵”(すみずりえ)
であったが、次に墨摺絵に筆で丹(たん、赤)を着色する丹絵(たんえ)が流行する。
この役者絵は丹絵の代表作で、重文に指定されている。

見所はなんといっても、曽我五郎に扮する市川団十郎の全身に塗られている強烈
な赤。なぜ、体が赤いのか?土に根を張ってる竹はいくら力持ちの曽我五郎でも
そう易々とは引っこ抜けない。だから渾身の力で竹を抜こうとして、全身が真っ赤に
なっているのである。よくBS1でやっている世界力持ち選手権で大男が鬼の形相で
重い物を持ち上げたり、引っ張ったりしてるのと同じ。

力が入ってるところを表すため、手足はひょうたん足、みみず描きといわれる筋肉
表現が用いられている。ひとつ異様に見えるのが足の親指のへんてこな曲がり方。
役者絵でこれほど力感にあふれるのは見たことがない。運慶、快慶の彫刻、“阿形、
吽形”を思い出すほど迫力ある曽我五郎の姿に見入ってしまった。

役者絵は人気歌舞伎役者のブロマイド。市川団十郎がはじめたとされる荒事(荒っ
ぽい立ち回りの演技)は江戸で爆発的な人気を獲得したという。この力持ちの曽我
五郎を演じる大スター、市川団十郎のブロマイドはとぶように売れたに違いない。

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コメント

この絵を見て思い出しましたが、『修羅の絵師』という小説が鳥居の話を題材にしていました。
なかなか面白い小説で、それを読んでからこの絵をみたのですが、色々と思うところがあって、楽しかったです。

投稿: 遊行七恵 | 2006.03.23 22:31

to 遊行七恵さん
展示を長いこと待っていた“竹抜き五郎”をやっと見れました。強烈な赤が
印象的です。鳥居清信のほうは生没年がわかってますが、清倍はいつ
生まれたのかわからないらしいですね。

鳥居派は清長の絵には魅せられることが多いのですが、清信、清倍は軽く
流してしまいがちです。でもこの“竹抜き五郎”は出色の出来で、感動しました。

投稿: いづつや | 2006.03.24 09:22

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