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2006.03.18

MOAの速水御舟

334現在、MOAで開催中の“近代日本画と工芸展”(4/12まで)は収穫の多い展覧会だった。

昨年12月、ここが所蔵する近代日本画の質の高さに驚き、図録に掲載されてる残りの作品にもお目にかかりたいと願っていたら、これが意外と早くでてきた。

出品数18点のうち狩野芳崖、橋本雅邦、横山大観などの絵7点は再度の登場
だが、新規の作品に優品が多く、あらためて岡田コレクションのレベルの高さを思い
知った。まず、のどかな春の山村風景を描いた川合玉堂の“春色駘蕩”(しゅん
しょくたいとう)に唸ってしまった。構図のよさに加え、色使いが素晴らしい。とくに
中景に描かれたピンクの桜が鮮やかで、近景の左下から伸びる大きな松の濃い緑
とともに画面をひきしめている。

平福百穂(ひらふくひゃくすい)という画家の絵はこれまでいくつか観る機会があり、
画風自体に目は慣れているが、心拍数が上がるほど感動したという経験はなか
った。が、今回でていた“巌頭むら千鳥”には大変惹きつけられた。岩にとまった千鳥
がそこから飛び立ち、大空を舞う場面をシンプルに描いた襖絵なのだが、平福の
写生力がすごいのか、千鳥がまるで目の前にいるようで、飛ぶ直前の姿態、だん
だん上昇していく千鳥の体の動きが一羽々異なっている。雁や鶴が飛翔する絵では、
飛ぶ姿は様式化されて表現することが多いのに、ここにいる千鳥にはリアリティー
がある。この画家に対する認識を改めなければいけない。

また、速水御舟の2点にもぐぐっときた。“早春”と右の“八重の花”。“早春”は南画風
の絵。春らしく、柔らかい色調で、太い黒線で格子状に描かれた屋根と黄色の土壁、
そして前の畑にある草の緑がうまくとけあっている。“八重の花”は御舟のピュアな絵心
がそのままあらわれた名品。下はまだ蕾が多いが、上のほうはぽっちゃりした感じの
八重桜が美しく咲き誇っている。花びらの描写は実に緻密。これほど品格のある花
鳥画はそうない。何時間でも見ていたい絵である。この絵に会わせてくれたミューズ
に感謝。

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