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2006.03.10

川端龍子の美人画

326川端龍子の大きな絵を見るのが近代日本画鑑賞のひとつの楽しみになっている。

五浦美術館で名作と会って間がないが、大田区にある龍子記念館に出かけ、風景画の数々を見てきた(会期は4/21まで)。

例によって出品数は21点と多くない。今回のテーマは風景画。川端龍子は全国を方々旅している。絵を描くための写生
旅行である。四国遍路、西国三十三ヶ所、富士山の登頂、東北の奥の細道、京都、
奈良など。。お気に入りの作品をあげると。

構図がとてもいい、墨の濃淡で描かれた“長谷寺”。寺全体を暗めの青と黒で仕上げ
た“清水寺”。濃い緑、赤、黄だけで松島の情景を描いた“朝陽松島”は濃密な印象
を与える表現主義的な絵で、この画家が洋画から出発したことを思い起こさせる。
下の川に小舟が行き交い、その上を一羽の白いカモメを飛ぶ“千住大橋”も味わい
深い。橋の真ん中で立ち止まっている人物のように、川の流れをずっと見ていたい
気持ちになる。

龍子が得意とする大作は“寝釈迦”、“涼露品”(りょうろぼん)、“茸狩図”の3点。
伊豆の修繕寺には遠くに富士山が見え、釈迦が寝ているように見える場所があり、
その風景を描いたのが“寝釈迦”。富士山や手前の山には一部金泥が使われて
おり、男性的な力強さと横の広がりが充分に感じられる絵である。

右の“茸狩図”は龍子の本来の画風からはちょっとはずれた美人画。裸婦図は2,3点
あるが、女性の着物姿を描いた絵はほかにない。茸狩というのもおもしろい場面設定。
これは現代の風俗画である。左の腰をかがめて茸を探してる女性がしめてる帯の赤
と籠を右手にもちこちらを向いて立ってる女性の着物の青がなんとも鮮やか。普段見慣
れてる絵とはちがう、美しい絵に出会い、清々しい気持ちになった。

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コメント

本当に。着物の色が素晴らしいですね。抹茶色に朱色の帯の女性だけだと松に色が埋もれた感じになりますし、青い着物だけだと浮いてしまいそうですが、2人合わせてちょうど全体のバランスが取れているように思います。それにしてもこのような出立ちで茸狩なんて、この女性達はどのような職業、位の方たちなのでしょうか。

投稿: あかね | 2006.03.13 20:02

to あかねさん
この“茸狩図”は9年ぶりにみました。前回も右の女性が着ている着物の
青に魅せられたのですが、今回もやはり目を奪われました。これは官展の
帝国美術院が1935年改組され、新帝展となったとき、在野の美術団体、
青龍社(龍子がつくった)も参加協力し、出品したものです。

美人画は龍子にとって、本流ではないのですが、他流試合ということで、
美人画に挑戦したようです。関西の人が茸狩に興じるのを目にし、それを
ヒントにして制作しました。実際、こんな着物姿の女性が茸狩をしていたの
を見たわけではありません。江戸初期に描かれた桜を楽しむ遊女などの
遊楽図などが頭の中にあり、そこから着物姿の女性に茸狩をさせることを
思いつき、現代の美人風俗画に仕立てたのではないでしょうか。

投稿: いづつや | 2006.03.13 21:43

なるほど、いえば川端龍子のファンタジー画なのですね。

余談ですが、いづつやさんは毎日欠かさず記事を更新され、皆さんのコメントに対するお返事もいつもすばやくて本当に感服いたします。私なんて更新するのに最近は1週間かけてしまっています。。訪れていらっしゃる展示会の数も普通ではないですが、まめさも一般の枠を超えてらっしゃるようにブログからお見受けします。前から関心しておりましたので書かせてください。^^

投稿: あかね | 2006.03.14 04:31

to あかねさん
美術館を訪れる頻度が知らず々増えてます。最近は美術館も競争の時代
になってきたので、いい作品を展示する企画展が多いですね。一方で、
宣伝倒れだなとすぐわかるのもあります。そういう展覧会はパスして、
せっせと東博や東近美の平常展に通ってます。

鑑賞した作品はブログでなるべく早く紹介しようと思って、毎日更新してます。
皆忙しいので、文章があまり長くなると読む気にならないでしょうから、
スクロールしないで読める程度におさめ、映像でひきつけようという作戦なん
です。凄い展覧会だった場合、1回では紹介し足りないことがありますから
、数回にわけて書くようにしてます。“美の伝統展”は5回も取り上げました。
これは異例のケースですが。

見ればわかる映像のほうが、下手な文章より説得力がありますから、作品の
選択に頭を使ってます。コメントの返事はもっと早くしないといけないなと
思いながら書いてます。

投稿: いづつや | 2006.03.14 18:06

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