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2006.03.28

伊藤若冲の動植綵絵 その一

344伊藤若冲の最高傑作といわれる“動植綵絵”(どうしょくさいえ)を観るため三の丸尚蔵館に足を運んだ。

1999年12月にあった“皇室の名宝展”(東博)でみたあと、なかなか出てこないなあと思っていたら、修復中だった。その修復が終わったので、全30幅が一ヶ月に6幅ずつ半年にわたって展示される。しかも無料で。若冲ファンにとってはたまらない公開なので、長丁場ではあるが、若冲ワールドを思いっきり楽しみたい。

3/25~4/23に展示されるのは“芍薬群蝶図”、“老松白鶏図”、“南天雄鶏図”、
“雪中錦鶏図”、“牡丹小禽図”、“芦雁図”。30幅をいくつかのグループにしてみる
のもひとつの楽しみ方。画題で分けると。
 ★グループ1:鶏の絵、これは8点ある。今回2点でている。
 ★グループ2:雪が描かれた絵、右の“芦雁図”など3点。
 ★グループ3:魚や貝など図鑑タイプの絵、4点。
 ★グループ4:蝶や昆虫などがでてくる絵、今回の“芍薬群蝶図と
         “池辺群虫図”の2点。
 ★グループ5:孔雀、鶴、白鳳など大きな鳥を描いた花鳥画、5点。
 ★グループ6:小禽の花鳥画、“紅葉小禽図”など7点。
 ★グループ7:鳥がいない花だけの絵、梅花図の1点。

描き方で目立つ色に焦点をあててみるとすぐ思いつくのが白。レース地のような鳥の
羽とか、ふぐの刺身の盛り付けを連想させる花びらとか、雪とか。これを仮に“グル
ープ白“とすると、胡粉の白が圧倒的な存在感で輝いている絵は10点くらいある。

“動植綵絵”をこんな切り口でみたとき、もっとも気に入ってるのが“グループ2”の
雪景色が出てくる絵。鳥では鶏よりは鶴や孔雀のほうが好み。そして、色はなんと
いっても白。高価な胡粉を惜しげもなく使っているのか、花びらや鳥の羽の質感には
驚愕する。若冲の彩色画ではこの白を見るのが最大の楽しみ。3期(6/3~7/2)
に出品される“老松鸚鵡図”などは若冲の高い画技と超想像力が最高に発揮され
た傑作ではないだろうか。

今回のお目当ては構図が素晴らしい“芦雁図”。これをみるといつも広重の“名所江戸
百景 深川洲崎十万坪”に描かれた上空を飛ぶ大きな鷲が頭をよぎる。雁は氷の張っ
た水面にかなりのスピードで降下してる感じ。超細密に表現された茶褐色の羽と枝に
積もった雪にいつものことだが声が出ない。若冲の雪はすごくクリーミーで、夏のかき
氷にかかってる練乳のよう。次回(4/29~5/28)の展示がいまから待ち遠しい。

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コメント

こんにちは。
トラックバックありがとうございました。

「練乳」とはうまい表現ですね。
そうその通り練乳ですよね、まさに。

1−7までのグループ分けもとても
参考になりました。

投稿: Tak | 2006.03.29 09:56

いづつやさま、おはようございます。

若冲は悩ましい画家です。
東京国立博物館も夏から、若冲をやりますね。
薄く淡白でスタイリッシュという時代には、気付け薬のようです。見に行く態勢を整えていかないと、脳みそにちゃんと映らないような気がしますが、しっかり見に行かねば!!と今から気合い入れています。
「芦雁図」は、どういうわけか、川端龍子の「南飛図」を思い出しました。
深い分析に感心いたしました。相当お詳しいですね。すばらしいです。

投稿: あべまつ | 2006.03.29 10:45

toTakさん
スーパー細密画、“動植綵絵”は若冲の神業的なテクニック、
超想像力が注ぎ込まれていますから、観てるほうも色々
イマジネーションが膨らみます。こんな絵は他にないですね。
次回でてくる“雪中鴛鴦図”にワクワクしてます。

投稿: いづつや | 2006.03.29 15:33

to あべまつさん
こんばんは。川端龍子の“南飛図”のことを忘れてました。
“芦雁図”にぶつけるには広重の鷲よりこちらの方がいいですね。
あべまつさんはいいとこ観られてますね。三の丸尚蔵館で9/10
まで“動植綵絵”の展示があり、夏には東博でプライスコレクション
と、若冲ワールドが続きますね。嬉しくてたまりません。

現在、京博の“18世紀京都画壇展”にも若冲の作品がでてますので、
週末また京都に出かけます。

投稿: いづつや | 2006.03.29 16:03

はじめまして。
Takさんのブログよりたどりつきました。
私も芦雁図が今回の展示では一番気になりました。
今回展示の6幅の中で、派手さはないのですが、一瞬をとらえた鳥の姿がまるで生きているようで、この絵の前に立った時、感動して鳥肌が立ったほどです。

東博も大好きで、上京の際、欠かさず行っております。
最澄と天台の国宝展記事を拝読し、やはり行くべきか悩んでしまいました。
これからも、楽しく拝見させていただきます☆

投稿: meme | 2006.04.01 11:17

to memeさん
はじめまして。書き込み有難うございます。この“芦雁図”は30幅の中では
一番余白があり、構図がとても冴えてますね。今回雪の絵が2点でましたが、
次回に出品される“雪中鴛鴦図”もお気に入りです。しばらくは若冲に集中しよ
うと思ってます。これからもよろしくお願いします。

投稿: いづつや | 2006.04.01 21:27

こんにちは
若冲の白、美しかったです。
アンティークレースの様に美しい『老松白鶏図』の
羽根には感動しました。
5期まで見落とさないように頑張ります!

投稿: るる | 2006.04.04 12:56

to るるさん
書き込み、TB有難うございます。“老松白鶏図”の地が暗いので羽根の白さ
がひときわ輝いて見えますね。2期以降も美しい白を眼に焼きつけたいと
思います。

投稿: いづつや | 2006.04.04 17:41

こんばんは。
30幅を漠然と見るつもりだったのですが、
いづづやさんの仰るグループ分けの視点で見て行きたいと思います。
ありがとうございます。

>若冲の雪はすごくクリーミーで、夏のかき氷にかかってる練乳

仰る通りです。
あのように独特な雪は他にはありませんね。
驚かされます。

投稿: はろるど | 2006.04.14 21:25

to はろるどさん
若冲の最高傑作の人気が高まってますね。こんなファンタジックかつ密度の
濃い絵が江戸時代にあったというのが驚きですね。若冲の柔らかい想像力
プラス超細密描法は情報量の多い現代にぴったりかもしれませんね。9月
までは目が離せません。

投稿: いづつや | 2006.04.15 17:49

いづつやさん、こんばんは
ようやく若冲の記事ができましたのでTBさせていただきました。若冲といい蘆雪といい、今年は江戸時代絵画の当たり年かもしれません。じっくりと腰をすえて鑑賞したいと思います。
胡粉の使い方、これには失念していました。次回の展示には気をつけたいと思います。
「芦雁図」は本当に面白い構図でしたが、若冲は何をもってこのような構図を思いついたのでしょうか?ちょっと気になりますね。

投稿: アイレ | 2006.04.20 22:59

to アイレさん
イタリア旅行してたため返事が遅くなりました。すいません。若冲、芦雪など
江戸絵画の人気がこれからどんどん高まっていくような気がします。

若冲の“芦雁図”の大胆な構図は唸らせますね。昨年7月、根津美術館で
あった“明代絵画と雪舟展”に文清作、“鳴鶴図”(重文、相国寺蔵)とい
うのがでてて、鶴の白さが若冲の鳥の白とあまりにも似てるため、直感的に
これを若冲は見たのかなと思ったのですが、最近出た若冲本、“もっと知り
たい伊藤若冲”(佐藤康宏著、東京美術、06年2月)にまさに予感どおり、
若冲の模写が掲載されてました。

“芦雁図”の雁の姿はこの絵にでてくる鶴のはっとさせるポーズに触発され
たのかなとも思ってます。どうでしょうか?

投稿: いづつや | 2006.05.01 17:09

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