加山又造展
加山又造の絵をみるため神戸まで行ってきた。現在、大丸神戸店で加山又造の回顧展が開かれている(3/20まで)。
加山又造が亡くなったのが04年だから、今年は三回忌にあたる。今回は版画を含めて90点くらいが出ている。日本画では好きな画家のひとりだが、どういうわけかこれまで回顧展に縁がなかった。04年に東近美であったミニ回顧展を見た程度だったが、これで加山又造の
画業の全容に接することができた。
手元にある画集に載ってる代表作のいくつかが展示されてたので天にも昇る気持ち。次から次とでてくる琳派風の装飾的な屏風や晩年に取り組んだ水墨画の名品に
感動の連続だった。加山の作域は広い。初期の狼や鴉などを描いたもの、大和絵
や琳派の画題を現在的に表現した華麗な屏風、桜や牡丹、鶴などの花鳥画、
雪山シリーズ、裸婦図、水墨画、版画と多岐にわたっている。大きな屏風を手がける
一方で、職人気質がでたような細かな線描の版画を制作する。若い頃から繊細な
描写はお手のもの。イタリア未来派の画風を彷彿させる“狼”では、狼の歯、背中の
毛が実に繊細に描かれている。
加山の絵で最も魅了されるのが意匠を様式化し、日本の美を象徴的に表現した
花鳥風月の屏風絵。その極めつきが3点ある。代表作、“千羽鶴”の小型版、扇面
散らしの屏風、“華扇屏風”、そして右の“雪月花”。“華扇屏風”の優美さといったら
ない。まさに装飾料紙の最高傑作である“本願寺本三十六人家集”の現代版で
ある。
金剛寺にある“日月山水図屏風”(重文)に霊感を受けて、現代に蘇らせたのが
“雪月花”。すばらしい傑作で、惚れ惚れする。トポロジー的な波文は実に滑らかで
立体感がある。左には深い緑の丸い山が3つあり、手前の2つに桜が咲き乱れる。
右の雪山もそうだが、手前が小さく、遠くにある山が大きく描かれている。これは視点
を意識せず、自由に空間を捉える日本画のよさを存分に発揮した描き方。東近美に
もこれと似たような名品、“春秋波濤”がある。現在の琳派といわれる加山又造が
創り出す華麗なる美の世界を200%堪能した。
なお、この展覧会はこの後、次の会場を巡回する。
★名古屋松坂屋:3/25~4/11
★水野美術館:4/15~5/14
★富山県立水墨美術館:5/19~6/25
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コメント
こんばんは☆加山又造展☆ほんとにぞくっとするほどに、感動的☆でした。モノトーンのグラフィカルな作品にも、金の装飾の屏風にも、、神業☆感じました。TBありがとうございました☆うれしいです☆
投稿: rossa | 2006.03.16 22:05
to rossaさん
加山又造という画家は本当にすごいですね。現代の琳派の代名詞のような
華麗な装飾屏風“雪月花”、そして水墨画の傑作、“月光波濤”。
rossaさんのおっしゃるように神業ですね。
いいタイミングで弘前の枝垂桜を描いた“おぼろ”を観れたのも良かったです。
今、この小型版が山種にでてます。
投稿: いづつや | 2006.03.17 14:54