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2006.03.27

東近美の川合玉堂

343ここのところ立て続けに、川合玉堂のいい絵を観た。

MOAで美しい桜が清々しい気持ちにさせてくれる“春色駘蕩”に酔いしれたあと、野間記念館では玉堂定番の鵜飼や墨一色の縦長山水図を楽しんだ。

そして、竹橋の東近美で現在、開催中の平常展(前期4/9まで。後期4/11~5/21)に足を運ぶと右の代表作、“行く春”(重文)が展示してあった。

川合玉堂の作品を多く所蔵しているのは東近美、山種美術館と奥多摩にある玉堂
美術館。都内では東博でも玉堂の作品が定期的に出てくる。東芸大美には鵜飼
シリーズの最高傑作があり、また宮内庁も大作を数点もっているが、これらはなかなか
お目にかかれない。玉堂の代表作はおおよそ鑑賞したが、まだ東芸大美の鵜飼が
残っている。1994年、日本橋高島屋で生誕120年を記念する回顧展が開かれたとき
もなぜかこの“鵜飼”は出品されなかった。以来、この絵に会えるのを首を長くして
待っている。

東近美には玉堂の代表作中の代表作が2点もある。秋に展示される“彩雨”と春に
でてくる右の大作、“行く春”。このほか、“二日月”、“朝もや”、“祝捷日”といった
名品もある。今、展示されてる“行く春”(5/21まで)をみるのは4年ぶり。六曲一双の
屏風の前に立つと、思わず“うわー!”と声が出そうになる。桜はこれから満開に
なるので花びらが散る絵はまだ早いが、画面いっぱいに点々と描かれた白い花びらが
風にただよってるさまは本当に美しい。

この絵で一番惹きつけられるのは手前の岩のうすい白緑。重なりあう岩は本来こん
な色はしてない。玉堂の山水画や風景画にでてくる岩はほとんど墨色か茶褐色だが、
この絵だけは白緑が使われている。この絵は玉堂が寄居から長瀞(ながとろ)を
歩いたときの印象をもとにして描かれた。壮大な岩畳が続くこの荒川上流の渓谷は
まだ見たことがないので、実感はないが、柔らかい岩の表現や、左上から枝が伸
びる桜から春の温もりがひしひしと伝わってくる。久しぶりに見た“行く春”に大変
感動した。

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コメント

「日本人が最も美しいと感じる桜は、水面に揺れる桜の花びら」という記事を週刊誌で読みました。玉堂のこの屏風絵は、まるで本当に川の流れているような錯覚をおこしますね。

桜の開花宣言があったというのに、今夜から2~3日、冬が戻ったような寒さになるそうです。まさに花冷えの春です。ブルブル。

投稿: リセ | 2006.03.28 22:24

to リセさん
最近、川合玉堂とねんごろです。東近美の“行く春”は名作ですね。
大きい屏風で画題もいいですから、本当に見ごたえがあります。
桜の花びらが飛び散る感じが実によくでてますね。長瀞にはまだ
行ったことはないですが、リセさんがおっしゃるように川に浮かぶ花びら
に感動するのではないかと思います。いつか行ってみたいです。

投稿: いづつや | 2006.03.29 08:10

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