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2006.03.15

山種美術館の桜さくらサクラ展

331山種美術館の恒例企画展、“桜さくらサクラ展”(5/7まで)をみてきた。昨年はパスしたので2年ぶり。

今年は気が利いていてミニ図録があり、広くない会場にでていた45点の大半が載っている。最近では一番力が入った桜展である。

桜の絵では人気の高い、横山大観作、“夜桜”(大倉集古館蔵)は今はでてなく、4/28~5/7に展示されるようだ。
この絵はもう何回も見たので、4/27までみられる上村松篁が描いた花の扇面屏風、“日本の花”のほうが有難い。

今回は山種が所蔵する“桜”の名品がほとんどでている。千鳥ヶ淵に桜が咲き乱
れる頃、これをみたら感激は倍増するだろう。はじめてみる作品がいくつかあった。
そのなかで魅せられたのが稗田一穂の2点“惜春”と“朧春”。図録には“宵闇
に浮かぶ桜”として速水御舟の“春の宵”と一緒に掲載されている。共に幻想的な
桜だが、不思議な感じがするのが“朧春”。右上から斜めに下がるさくらの枝の先に
月がある。桜のむこうに描かれた山より下に月を配置する構図はみたことがない。

見慣れた絵でお気に入りは、東山魁夷の“春静”、加山又造の“夜桜”、小林古径
の“弥勒”と“清姫・入相桜”、そして奥村土牛の“吉野”と右の“醍醐”。加山の
“夜桜”の別ヴァージョンが現在、神戸大丸店で開催中の回顧展にでている。山種
が茅場町にあったころ、この絵に出会ったときの感動を今でもよく覚えている。
幻想的に映る夜の枝垂桜は琳派風の装飾的な表現にはうってつけの画題。金泥と
墨を混ぜ、噴霧器で処理した金地に桜の三角形のフォルムが浮かび上がってみ
える。神戸のときのようにだんだん興奮してきた。

この桜展を2年ぶりに観ようと思ったのは奥村土牛の“醍醐”をまた観たくなったから。
12月、東山魁夷の“年暮る”をみて、心が和むように、春になると、明るくて優雅
さに充ちているこの絵と会い、日本の春の美しさに浸りたくなる。うすピンクの桜の
花が大きく開き、地面に散った花びらは白の胡粉で点々と紋様のように描かれて
いる。写実を離れ、装飾的、象徴的に表現する日本画の本領がこれほど発揮された
絵はない。近代日本画を代表する傑作である。

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コメント

こんばんは
もうそんな時期なのですね...

今年も行ってこようと思います。
# 昨年行った時の感想をTBさせてください...,

投稿: lysander | 2006.03.19 01:12

to lysanderさん
TB有難うございます。昨年お休みした分、今回出品の桜の名品は大きな
満足を与えてくれました。やはり、ここの日本画は一級品です。大観の
“夜桜”を観に、また行くかもしれません。

投稿: いづつや | 2006.03.19 15:59

今から山種行って来ます。
「ぐるっとパス」に山種も加入してただで見られるようになりましたね。
大観の「夜桜」は「ぐるっとパス」でもう一回いきます。
いづつやさんは「ぐるっとパス」興味ありませんか?

投稿: oki | 2006.03.20 13:12

to okiさん
“ぐるっとパス”を近々購入しようと思ってます。山種と出光が観れるの
はメリット大ですね。今年の出光は記念展がつづきますから、パスを最大限
活用したいです。

投稿: いづつや | 2006.03.20 17:14

いづつやさん、こんばんは。
千鳥ガ淵の桜はまだのようですが、
一足先に山種でお花見を楽しみました。

土牛の醍醐は見事でした。
今回の展覧会で最も美しい作品です。惹かれました。

大観の夜桜はまだ拝見したことがありません。
出来ればもう一度足を運んでみようと思います。

投稿: はろるど | 2006.03.20 22:53

to はろるどさん
“醍醐”と古径の“弥勒”は絵の前に立たないと素晴らしさがわからない
ですね。奥田元宋の“奥入瀬・春”が飾ってあったのも最高でした。これに
大観の“夜桜”も展示されるのですから、まさにさくら尽くしの展覧会です。

“夜桜”は“昭和の日本画100選”(1989)で1位になってる傑作です。
これは美術評論家など専門家の投票結果なのですが、2位の鏑木清方の
美人画、“築地明石町”を大きく引き離して1位に選ばれました。
私は琳派狂いなので、この現代の琳派作品ともいえる大観の“夜桜”と加山又造
の“雪月花”、“春秋波濤”を最も愛しています。お楽しみください。

投稿: いづつや | 2006.03.21 08:20

いづつやさん、こんばんは
TBありがとうございます。
実は山種の「桜」は今回が初めてでしたが、いづれもが桜の美しさやはかなさを表現しており、楽しめました。
画家によって桜の花の描き方等に特徴があり、それを見比べるのも楽しいものでした。
奥村土牛の「醍醐」は大き目の花を描いていましたね。そこが枝垂桜の華やかさをより強調しているようでした。
一方染井吉野を描いている絵はフォルムや色のボリュームで表現しているようですね。人それぞれで興味深いです。

投稿: アイレ | 2006.04.17 01:16

to アイレさん
桜の絵がこれだけ沢山あると気持ちも華やぎますね。春の恒例
の企画展として定着してきました。今年は奥田元宋の“奥入瀬
(春)”もあり、本当に楽しかったですね。4/28からは大観の
“夜桜”も展示されます。

桜の美しさにほわーとなるのが奥村土牛の“醍醐”と“吉野”。
幻想的な雰囲気を漂わせているのが、加山又造と千住博の“夜桜”、
速水御舟の“春の宵”、稗田一穂の“朧春”。現代的で明るい
桜が魅力の石田武の“千鳥ヶ淵”。画家によっていろいろな表情
を見せる桜を満喫しました。

投稿: いづつや | 2006.04.17 12:21

いづつやさん
こんばんは

今年も行ってきました。

醍醐、いいですね...
来年からも、引き続き観にいきそうです...

投稿: lysander | 2006.04.22 22:11

to lysanderさん
イタリア旅行してたので返事が遅れました。すいません。山種の“さくら展”
は定番の展覧会としてすっかりお馴染みになりましたね。毎年楽しませてく
れる作品がごそっとあるのが山種のすごいところですね。“醍醐”をみる
たびに日本画を愛しててよかったと思います。

投稿: いづつや | 2006.05.01 17:25

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