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2006.03.02

五百羅漢図と白澤

319狩野一信が描いた“五百羅漢図”がみたくてまた、東博に出かけた。前回の記事は06/2/21

日本画をみてきた経験からすると、この絵が“国宝平治物語絵巻”のように2年に一回くらいの頻度で展示されることはまずない。次回の展示はだいぶ先になるだろう。だとすると、幸運な時のめぐり合わせを大事にしたい。

前回の鑑賞で五百羅漢図の構成と画題が頭に入ったので、2ラウンド目は細部にこだ
わってみた。奇怪で怖い地獄絵の前では、絵からでてくる強烈なパワーに圧倒され、
顔が画面から離れ気味になるが、心拍数が保てるほかの絵では面白い場面をいくつも
発見した。これも単眼鏡のおかげ。

日本画をみてると花や鳥の名前をよく覚えるようになる。自然の近くにいなくても、目の
前の花鳥画が心を和ましてくれるのは日本画のいいところかもしれない。この絵には
花や鳥よりは想像上のものも含めて生き物が沢山登場する。精緻に生き生きと描かれ
た動物が多く出てくるのは“神通”と“禽獣”。いくつかあげると。
・26幅:神通力で水があふれ、そこに亀、鰻がいる。魚は飛びはねたり、鳥や獣に食わ
     れてる。
・27幅:首吊りした女性がでてくる異様な絵だが、真ん中に甕がわれて、中からへびが
     出ている場面がある。
・30幅:上のほうに描かれた大蛇の口の中に座る羅漢にハットする。
・31幅:鹿は羅漢に耳そうじをしてもらっている。これは伝統的な図様らしい。左の大
     きな亀は存在感がある。
・32幅:下に虎、真ん中に鹿、上空には羅漢が乗った赤い鳥がいる。
・33幅:大きな孔雀と鷲に目を奪われるが、上のほうでこうもりが飛んでる場面を見落
     としがち。
・34幅:羅漢に手で頭をつかまれてる龍がユーモラス。その上にいる羅漢の手に白い
     蛙がぶら下がっている。
・35幅:中国の想像上の神獣、白澤(はくたく)がいる。

昔、日光東照宮で狩野探幽が描いた白澤をみた記憶があるが、こんなだったかは覚え
てない。よくみると面白い姿をしている。不思議なのが胴体にある3つの目と4本の角。
人面で髭を蓄えてるので、ここだけ見ると人間のよう。白澤は人語を解し、徳の高い
為政者の治世に現れるとされ、病魔よけになると信じられた。白澤の絵は厄よけにな
ると信仰され、江戸時代以降、道中のお守りとして身につけたり、病魔よけに枕元に
おいたりしたという。白澤に遭遇するとその家は繁栄すると言われてるらしい。わが家
もそう願いたい。

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コメント

 御蔭様で、居ながらにして、縁起のいい白澤に遭遇させていただきました。篤く御礼申し上げます。

投稿: daigofox | 2006.03.04 11:58

to daigofoxさん
狩野一信の“五百羅漢図”にでてくる白澤はとてもシャープな感じがします。
絵の中ですが、白澤に会いましたから、お互いにお家繁盛となればいい
ですね。

投稿: いづつや | 2006.03.04 19:36

いづづやさま、はじめまして、あべまつ、と申します。
Takさんのところで、チラリとお名前拝見して、こちらに辿り着きました。
お邪魔させて頂きます。

つい、17日に白澤に会ってきました。
こんな奴に気を入れるなんて、変な私、と思っていたのですが、こちらに記事があったので、驚きでした。
白澤のあやしいオチャメな姿に一目惚れしました。
しかし、恐るべし狩野一信!!ですよね。
嬉しかったです。
記事、今後も楽しみにさせて頂きます。
今から、たっぷりいづつやさんのコメントの渦に巻き込まれに行ってきます。
ぶくぶく。。。。。

投稿: あべまつ | 2006.03.20 12:26

to あべまつさん
はじめまして。書き込み有難うございます。こんなに濃密に描かれた仏画
はほかにありませんね。単眼鏡を使ってじっくりみましたが、ここに描き込
まれている情報量は尋常ではないです。

一信は昔から伝わってる五百羅漢図のマニュアルを下敷きにして、精緻な
描写と鮮やかな色で独自の羅漢図を描きたかったのでしょうね。白澤は額の
ところにもう一つ目があるのが普通ですが、これがないですね。増上寺
にある100幅を是非観たいです。

投稿: いづつや | 2006.03.20 17:07

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