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2006.02.09

美の伝統展の富本憲吉

297“美の伝統展”(東京美術倶楽部、2/26まで)の余韻に浸っている。会期が22日と少ないが、古美術や近代絵画、洋画の名品を所有している個人コレクターや美術館は長い期間、手元を離れるのを嫌がるから、展示期間が短くなるのは仕方がない。

日本の美術品の場合、名品が出てきたらその機会を逃さず、万難を排して見に出かけるくらいでないと、なかなかいいものには会えない。今回のような倶楽部
の創立100年周年とか開館○○周年記念とか、美術館のオープニング記念展は
多くの名品を一度に観れる絶好のチャンスである。

今回の展示では、普段、数人の画家を除いて、あまり関心のない洋画にすばら
しい作品がいくつもあった。まず、お気に入りの梅原龍三郎の“富士山図”、安井
曾太郎の“霞沢岳”に惹きつけられた。“富士山図”は赤が、“霞沢岳”は緑が画面
いっぱいに輝いている。色彩が一番強烈なのが林武が描いた“富士”。林武の絵
をみるといつもその鮮やかな色にびっくりさせられるが、この赤富士はすごい。

赤が目にしみる作品が続くが、岸田劉生の“二人麗子図”もいい。この絵は昨年、
ホテルオークラで開催された展覧会ではじめてみた。光があたった麗子の顔やくっ
きりとでた衣装の文様に見蕩れてしまう。また、最近頭のなかを占領するようにな
った須田国太郎・“樹上の鷹”や佐伯裕三・“リュクサンブール公園”、そして、彫塑
的な顔を黒と土色で描いた香月泰男の“人と梟”もある。藤田嗣治のちょっとコミ
カルな絵、“私の夢”も面白い。ベッドに眠る裸体の女のまわりに衣服をまとった犬、
猫、猿、狐、兎、梟、リスがいる。藤田が好きなのは猫だけかと思っていたが、ほか
の動物も可愛がっていた。

中国の名品と近代陶芸家の作品が揃った陶磁器も見ごたえがある。目新しさでい
うと右の富本憲吉作、“色絵飾箱”がぴか一。富本が石川県九谷で九谷焼の色合い
などを研究してたとき焼かれたもので、最近発見されたらしい。日本で焼かれたも
のでこれほど黄色がよくでた作品にお目にかかったことがない。緑のひょうたん
型の瓶に左右バランスよくさされた紫の花と側面の幾何学模様の対比が実に美
しい。こんなすばらしい色絵に会えて嬉しくてたまらない。

国宝室にある美術品のなかで、陶磁器は超一級品が揃った。野々村仁清・“色絵
藤花文茶壷”(MOA、2/11まで)、日本にある青磁花生の名品として名高い、“青磁
下蕪瓶”(龍泉窯、アルカンシュール美)、そして三井記念館自慢の“志野茶碗 
銘卯花墻”(2/15まで)。追っかけている“玳玻天目茶碗”(吉州窯、相国寺)は
2/16~26の展示だった。肩透かしを食った感じだが、気を取り直して再度出かけ
ようと思う。

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