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2006.02.22

鼠志野鶺鴒文鉢

310日本の陶磁器では、桃山時代にやかれた志野や織部の人気が高い。オブジェとしてみてもおかしくない個性的な形が愛好家の心をとらえて離さない。

これらとは長い付き合いになるので、はじめのころのように観ての感激度がいつもプラトー状態ということはないが、ときおりハットするフォルムに出会い、このやきものの魅力を再認識することがある。

今、東博の平常展に志野の優品が2点でている(6/4まで)。“志野茶碗 銘振袖”
と右の“鼠志野鶺鴒文鉢”(ねずみしのせきれいもんはち)。ここにはもう一点、
“志野橋文茶碗 銘橋姫”というのがある。“振袖”は形、色合い、景色とも三拍子
揃った名碗。胴はゆるやかな楕円形で、風にそそぐ薄、亀甲文、橋が描かれている。

今回、テンションが上がったのが久しぶりにみた“鼠志野鶺鴒文鉢”。そのダイナミ
ックに歪んだ形と絵付に釘付けになった。鼠志野というのは素地の上に鼠色に発色
する酸化鉄の釉をかけ、一部を掻き落としてそこに白い釉をかける技法。ここでは、
たまたまかけ残したところを岩に見立て、そこに鶺鴒をとまらせている。そして、線
彫りで河の流れを表す。見事な絵付と口縁の思い切り不均等な四方の形に強く惹き
込まれた。

桃山時代の頃に、こうした大胆なフォルムや織部のモダンなデザインがあったという
ことに驚く。茶人たちの好みに応えるため、美濃の地で陶工たちはせっせと陶器の枠
を超えるオブジェを創作していた。陶工にとっては個性を最大限主張できるいい作陶
環境だったに違いない。

“茶の美術“の反対側にある“暮らしの調度”コーナーにも魅力一杯の陶磁器が並ん
でいる。色絵磁器の優品、“色絵椿図大鉢”(伊万里、古九谷様式、3/26まで)。
白地に鮮やかに映える青と黄色の太湖石、紫、緑で描かれた椿に魅了される。
そして、鍋島焼には珍しい雪景色が絵付された“染付雪景山水図皿”もある。これ
は昨年、ここであった“華麗なる伊万里展”ではじめてみた。絵画とはちがった山水
の美しさを感じる作品である。偶然の組み合わせかもしれないが、今回出品された
陶磁器は優品揃いで、大きな満足が得られた。

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