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2006.02.06

デルフィ考古学博物館

532先週放映された世界美術館紀行にデルフィ考古学博物館が登場した。ここは2年前、訪問したので、まだ記憶に新しい。

自分が購入した製品のCMはよく見るのと同じで、TVに映し出されるアポロン神殿、野外劇場、競技場や博物館に展示された彫刻を食い入るように見た。

ギリシャ神話に関する新しい本がでる度に、購入するというくらい、この神話にいれ込んでいるので、2度目のギリシャでは、アポロン神のお告げを聞くため多くの人が参拝したというデルフィの聖域に是非足を踏み入れてみたかった。

19世紀、フランスの考古学チームによって発掘された遺跡からでてきたものが、デルフィ博物館に収められている。これらはギリシャの都市国家やエジプト、ペルシャの王から奉納された品々。いいお告げを得ようと贅とつくした彫刻品などを各国は競って奉納した。参拝道の真ん中あたりに、奉納品をストックしてた“アテネ人の庫”や“シフノス人の宝庫”がある。

アポロン神殿の南側に紀元前6世紀中頃、12mの“ナクソスの柱”が建てられて
いた。現在は台座しか残ってないが、その柱に乗っかっていたのが博物館に飾って
ある右の巨大な“ナクソスのスフィンクス”。ナクソス産の大きな大理石のかたまり
から切り出してつくられた。背中から上にピント立った鳥の羽に目がいく。体の顔
の部分は女性で目をつぶっており、肩から胸あたりは鳥で下半身と足はライオン。
間近でみると、それほど恐ろしくもないが高いところにあると、参拝者には怪物のよ
うに見えたに違いない。

ギリシャ神話によると、スフィンクスはテーベ近くの小高い丘の上に住み着き、そこ
を通りかかる旅人に“朝は四本足、昼は二本足、夜は三本足の物は誰か?”と
いう謎をかけては、答えられない者を食べていたという。その謎をとき、スフィンクス
を自殺に追いやったのが英雄オイディプス。“そんなの簡単さ。人間だよ。人間は
人生の朝、つまり赤ん坊の頃は四つんばいで這い回り、昼、若い頃には二本足で
元気に歩き回る。が、夜、歳をとってくると杖をついて歩くようになるから三本足にな
る”。スフィンクスを見事退治したオイディプスはテーベの王になるが、生みの母親
と結婚するという悲劇が待っている。

スフィンクスを題材にした絵で忘れられないのが、昨年、ルーブル美術館展に出品
されたアングル作、“オイディプスとスフィンクス”(1808)と、これを先行例にして
1864年にモローが描いた同名の絵(メトロポリタン美術館蔵)。どちらも神話をとり
あげた絵としては出色のできばえ。

デルフィ博物館の至宝といわれる“御者の像”(拙ブログ05/1/7)に映像で再会した。
解説を聞いてると、これを目の当たりにしたときの感動が蘇ってきた。現地で驚か
された御者の目のまつげは銅でできている。ギリシャ青銅彫刻の傑作、“御者の像”
を見れたのは一生の思い出である。

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コメント

いづつやさん、こんばんは。
私も番組を見ました!「御者の像」にいづつやさんのブログを思い出し、しっかりと睫毛も眼彩も見てしまいました。お話通り、実にリアルで素晴らしい青銅彫刻でしたね!実物をご覧になったいづつやさんの感動が良くわかりました。「ナクソスのスフィンクス」もアングルやモロー作品の原型のようで、私もとても興味深かったです。デルフィでこれらの至宝をご覧になったいづつやさんが羨ましいです!

投稿: June | 2006.02.08 03:06

to Juneさん
デルフィの聖域を訪れたのは1年半くらい前なので、TVにでてきたところや
展示品はよく覚えています。“御者の像”はJuneさんも見られたのでおわ
かりと思いますが、180cmと背が高いんです。左腕と馬車の部分は
ありません。衣服のひだのつけ方、まつげや目の象嵌の精緻な細工に驚
かされます。

現地で買ったガイドブックに聖域の復元図がイラストで載ってるのですが、
高い円柱の上に“ナクソスのスフィンクス”がいます。高みから参拝者に
睨みをきかせてたスフィンクスはブルブルと震えがきそうな怖い怪物にみ
えたでしょうね。

古代ギリシャの遺跡をみるのは本当に楽しいです。次回はクレタ島やサントリ
ーニ島などに行くことにしてます。

投稿: いづつや | 2006.02.08 12:27

ギリシャ彫刻、大英博物館の1室で見たことありますが、超精巧な出来栄えの傑作が
ろくに間隔も開けずに所狭しと展示されていて、
圧倒されたと言うか部屋が薄暗いのもあってやや不気味でした(^ ^;;
ギリシャ神話、宗教としては廃れてしまいましたが芸術の源泉としてはその輝きは不滅でしょうね。

投稿: gem | 2006.02.08 12:42

to gemさん
ギリシャ神話に登場する神、英雄、怪物が描かれたレリーフや彫刻、壷など
をみるのがギリシャ遺跡巡りの大きな楽しみです。ギリシャ神話の神様はゼウス
にしろヘラにしろ人間くさいですから興味は尽きません。

嫉妬深いヘラの監視をかいくぐって美しい女性を追っかけるゼウスのような男は、
昔から人間世界では沢山いましたから。こうした身近に感じる物語が彫刻や神殿
の破風などにビジュアル化されてますので、ギリシャ神話の世界に一層馴染み
深くなります。現地では神話関係の本をどっさり買い込みました。また、ギリシャに
行きたくなります。

投稿: いづつや | 2006.02.08 13:34

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受信: 2006.03.28 03:35

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