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2006.02.08

大いなる遺産 美の伝統展

296PCのインターネットへの接続が時間帯によって不調になる頻度が多くなり、更新がとぎれがちです。現在、対応中ですが、そのため拙ブログは短期間休みになることがあるかもしれません。

東京美術倶楽部の創立百年を記念した“大いなる遺産 美の伝統展”(2/26まで)を見てきた。最近開かれた日本美術の展覧会としては一番凄いのではなかろうか。

とにかく絵画、陶磁器、工芸、書の名品の数々に圧倒される。とくに近代日本画と
洋画にびっくりした。日本画については、手元に画集や過去の展覧会の図録が
かなりあるが、これらに載ってない名画がいくつもある。これらの多くが個人の所有。
コレクター心理として、あまり知られたくないという気分が強く、画集への掲載は断
ってきたのだろう。教科書や画集で知っている巨匠たちが描いた代表作のほかに
まだ、こんな名画が個人コレクターのもとに秘蔵されていたのかという感じである。

これは間違いなく画家の代表作のひとつと思われる作品は。。。
橋本雅邦・“龍虎図”、横山大観・“或る日の太平洋”、菱田春草・“柿に猫”、川合
玉堂・“鵜飼”、小林古径・“山鳥”、右の前田青邨・“洞窟の頼朝”、東山魁夷・“青い
谷”、横山操・“清雪富士”。また、美人画が好きな人には心がとろけそうな絵がある。
上村松園・“櫛”、鏑木清方・“いでゆの春雨”、伊東深水・“通り雨”。みんな大き
な絵。三者三様だが、細かい描写、構図、色彩感覚どれをとっても非のうちどころの
ない傑作。部屋で一人でみていると、さぞかしいい気分になるだろう。毎日でもなが
められる個人コレクターが羨ましい。

竹久夢二・“平戸懐古”と安田靫彦・“木花之佐久夜毘売”も嬉しい絵。広島にある
ウッドワン美術館が所蔵する“平戸懐古”ははじめてみた。ここ3年くらいの間によく
見た夢二の回顧展でお目にかからなかった作品。青い海を背に鮮やかな赤い着物を
まとった夢二式美人が左手で傘を杖がわりにして立っている。こんないい絵があっ
たとは。

前田青邨には右の“洞窟の頼朝”のほかにもう一枚同名の絵がある。われわれが
よく知っているのはこの絵では無く、昭和3年に描かれたほう。画集に必ず載って
いる青邨の代表的な歴史画である。右の“洞窟の頼朝”はこれから30年たった昭和
32年の作で、前作よりは小ぶり。頼朝やまわりの武者の顔で鼻と目を大きく描く
ところや、前方を眺めるポーズは同じだが、こちらの方が甲冑や衣装の細かい文様
がよくでた色と相俟って際立っている。これまで前田青邨の名画をいくつも見、その
つど高い画技に言葉が出なかったが、今回も大変感動した。

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コメント

おはようございます。

日本画よかったですねえ。

わたしはどきどきしました。
TBさせてもらいます。いい展覧会でした。

投稿: 遊行七恵 | 2006.02.22 11:16

to 遊行七恵さん
画集に載ってる代表作以外に、こんな名画があったんですね。チラシで
うたってる知られざる名画を鑑賞できたことを大変喜んでます。
昨日も洋画好きの友人から電話があり、すごくよかったと興奮気味にしゃべっ
てました。もう一度行くようです。思い出に残る展覧会になりそうですね。

投稿: いづつや | 2006.02.22 15:52

こんばんわ
遅ればせながら、先週末に行ってきました。
永青文庫に行けば貸し出し中。
近代美術館に行けば展示変えといつも逃げられる、菱田春草の「黒き猫」
今回は木から下りて待っててくれた様でした。

時折見かける「個人蔵」
全くを持って羨ましい限りですね

投稿: るる | 2006.02.22 21:38

to るるさん
こんばんは。菱田春草の“黒き猫”は木から下りた猫でしたね。手元にある画集
にはこの絵を含めて猫の絵が4点ー白い猫(足立美術館、個人蔵)、黒い猫
(永青文庫、今回の個人蔵)ー、載ってるのですが、まだみてない個人蔵の白い猫、
“梧桐に猫”にいつか会えればと願ってます。

投稿: いづつや | 2006.02.23 17:55

TBありがとうございました。
菱田春草には白い猫もいるのですね。
“梧桐に猫”いつか拝見したいです。

伊東深水の“通り雨”も素晴らしく着物の合わせ方などは大変素晴らしいものでしたね。
源氏物語絵巻は今度は五島でゆっくり拝見しようと思います。

「今回ほど”単眼鏡”を買うべきだ」
と反省した会は無かったです。

投稿: るる | 2006.02.25 14:51

to るるさん
こんばんは。私は猫より犬派なのですが、春草は猫が好きだったのか、
黒い猫も白い猫も描いてます。足立美術館(島根県安来市)にある“猫梅”
(白い猫)はなかなかいい絵です。

伊東深水の“通り雨”にはびっくりしました。ちょうどいいタイミングで東近美の
平常展に深水のこれまたすごい絵がでてます。“雪の宵”という大きな絵
です。My深水美人画の1位にランクづけしています。3/5まで展示してます
ので、深水に興味があればご覧になって下さい。

投稿: いづつや | 2006.02.25 23:18

いづつやさん、こんばんは
TBさせていただきました。
いづつやさんがおっしゃる通り、近代日本絵画の名品に出会えた展覧会でした。
また、美術市場において国宝や名画を扱う美術商の役割が非常に大きいとことも認識できました。
私自身は、菱田春草「柿に猫」、横山操「清雪富士」に感銘を受けましたが、特に横山の富士の清澄さは忘れることができません。

投稿: アイレ | 2006.02.26 03:39

to アイレさん
こんばんは。知られざる名画というキャッチコピーはおおげさでなかったですね。
洋画の場合、モネでもピカソでも代表作というのは、おおよそ画集や美術館
の図録に載ってますから、知られざるというのは新たに見つかったカラヴァッジョ
やラ・トゥールなどの作品にしか使われませんが、日本では作品を所蔵してる個人
が公開をためらうケースが多いですから、こうした名画に驚かされるのでしょうね。

今回出品された近代日本画で過去見たとか、同じような絵を除いて、こんな
名画がまだあったのかと感じたのは、小林古径の“山鳥”、鏑木清方の“いでゆ
の春雨”、伊東深水の“通り雨”の3点です。

これと同じくらい感動したのが、他にも似たような絵のある前田青邨の
“洞窟の頼朝”、東山魁夷の“青い谷”、横山操の“清雪富士”です。現代の
風景画では東山魁夷、奥田元宋が好きなのですが、横山操の水墨画と
富士山も大変気に入ってます。山種にある横山の富士山もいいですが、
こちらの方がいいですね。びっくりしました。深い青を背景にした富士山は雪の
質感がよくでてますね。本当に参りました。

投稿: いづつや | 2006.02.26 16:15

こんにちは。
膨大な傑作、名作がそろい、圧倒されました。ほんと、こんな作品を個人でもっているなんて、そんな人なんでしょうか、と思います。
伊東深水の「通り雨」、艶やかな色気、表現しようがあrません。

投稿: 自由なランナー | 2006.02.28 08:06

to 自由なランナーさん
美術品を所有することより、鑑賞することにエネルギーを注いでいる者に
とって、知られざる名品は少ない方がいいですね。個人の所有権は何人
にも侵されないものであることはよくわかってますが、美術品は国民が
等しくその美を享受する公共財でもあるのだから、皆が楽しめるよう美術館
に寄贈してもらいたいという気持ちも根っこのところにありますね。

東近美あたりで伊東深水の“通り雨”や鏑木清方の“いでゆの春雨”が
定期的に見れると最高なのですが。

投稿: いづつや | 2006.02.28 15:40

いづつやさん
日本語になっていない文章書き込んでしまいましたね。すみません。

私が大金持ちになったら、やはり美術品買い漁るような気がします。

投稿: 自由なランナー | 2006.02.28 23:00

to 自由なランナーさん
絵画や陶磁器の名品に出会うと、これが自分の家にあったらなと
思いますね。とくに、いい茶碗をみると無性にさわりたくなります。

投稿: いづつや | 2006.03.01 11:08

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