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2006.02.10

棟方志功の華狩頌

298現在、東博で開かれている“書の至宝展”が棟方志功への熱い気持ちにまた火をつけたように思えてならない。

鎌倉にある棟方板画美術館の新春展示(3/19まで)のテーマは“華厳の世界ー神々より人類へー”。棟方の書が13点でている。棟方は文字の造形性や意味に美を感じたのか、書の作品が多い。棟方の書を一度にこれほど沢山みたのははじめて。一文字々が太く、野性的で、力強い書体で書かれた“南無華厳”や“華厳”などからは強さだけでなく、静寂も伝わってくる。まさしく“華やかで、
厳かな”書である。

板画の目玉は“華厳譜”。宗教的な主題をとりあげた最初の作品で、華厳経に
即し、毘盧遮那仏を中心にして、左右に薬師如来や釈迦如来などを描いている。
全部で24体ある。お経に出てくる仏だけでなく、不動、風神、雷神など密教的
な仏や神も入れて華厳の世界をつくるところが棟方流。一体々独立してみても
楽しく、風を感じさせるポーズの風神や天をつく髪をした愛染明王は心に強く
残る。

心を揺さぶる棟方の書や板画に出会い、気持ちがしゃんとしたなと思っていたら、
東京美術倶楽部の“美の伝統展”でまた、棟方志功の代表作に会った。右の
“華狩頌”(はなかりしょう)。ここで棟方板画の傑作にお目にかかれるとは夢に
も思わなかった。この絵を観るのは5回目くらいだが、いつみても感動する。大き
な絵なので見ごたえがある。NYのMoMAなど世界の美術館で収蔵されてる棟方
作品の中で、この作品が一番多いらしい。

3人の馬上の人物は狩のポーズ。でも、弓矢や鉄砲はもってない。それは獣を
狩るのではなく、花を狩るから。心で花を狩り、美を射止める。弓矢をもつ手つきだ
けをし、空を狩るもの、地を狩るもの、地下を狩るものを表している。画面の上に
空をとぶ鳥、真ん中に地上を駆けるもの、下には地下にもぐる花や貝を配する。
白黒版画だが、模様で埋め尽くす画面は装飾性もたっぷりあり、華やか。疾走
する馬は躍動感にあふれ、鳥獣のポーズも面白い。この絵を愛する人が世界
中に大勢いるのも頷ける。世界の名画ではなかろうか。

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