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2006.02.03

パウラ・モーダーゾーン=ベッカー展

293美術館が作成する展覧会のチラシというのは時々、大きな宣伝効果をもつことがある。

神奈川県立近代美術館・葉山館で1/7から行われている“パウラ・モーダーゾーン=ベッカー展”(3/26まで)のチラシを見たときから、これに載ってるこの女性画家の自画像が気になってしょうがなかった。

昨年、損保ジャパンに展示してあった池口史子が描いた女性肖像画と同じくらい
の磁力がある。で、葉山までクルマを走らせた。これまで画家の名前は聞いたこと
ないし、作品には全く縁がない。パウラ・モーダーゾーン=ベッカー(1876~190
7)は表現主義の先駆けとなる絵を描いた画家である。才能が豊かな作家が突如
として死に見舞われることはよくあるが、パウラも最初の子供を生んだあとまも
なく、31歳の若さで亡くなっている。画業が短いとどうしても作品数が少なく、世間
での知名度はあまり上がらない。

今回は絵画、素描、版画120点位を展示している。作品の多くは人物画や
自画像であるが、静物画、風景画も描いている。自画像は9点あり、魅力的なの
が3,4点ある。そのなかで特に気に入ったのが右の“琥珀の首飾りの自画像”。
堅牢な量感表現と明るい色彩が強い存在感を与えている。彫塑的な表現はピカソ
の“ガートルード・スタインの肖像”(拙ブログ05/2/11)を彷彿させる。もう一つ
の傑作、“やや左向きの自画像”のほうがより表現主義的で、顔の赤、目の青、
背景の緑が目に焼きつく。

パウラは、古代エジプト芸術、デューラー、セザンヌ、ゴッホ、ゴーギャン、日本の
浮世絵などの影響をうけている。惹きつけられた静物画、“観葉植物と卵立て”、
“青い小箱”、“把手付壷とダリアの花束”の色彩はゴーギャンから、画面構成は
セザンヌから学んだという感じ。パウラの個性が強くでた自画像、静物画に大変
感動した。My好きな女性画家に登録しようと思う。

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コメント

 毎日訪問させていただき、今まで知らないでいた世界が広がります。
 洋画家池口史子さんも初めて知りました。
それにしても、人が集まる都会が、いかに文化的空間であるかをあらためて思っています。
これからは私の小旅行も、展覧会をみることを1つのテーマにしようと思います。

投稿: 会津マッチャン | 2006.02.03 22:56

こんにちは。
パウラの絵には、並々ならぬパワーを感じました。短い画業ながら、その作風は変貌し続けていて、とても興味深かったです。おそらく、パウラのスタイル、画風を完成するまえに亡くなったのでは、と思いました。
宮城県美での鑑賞記を、TBさせてもらいます。

投稿: 自由なランナー | 2006.02.03 23:13

to 会津マッチャンさん
年に何人かはじめての作家と出会います。美術の教科書にでてこない
画家でも、パウラのように名画を残してます。とかく、初ものというの
はパスしたり、食わず嫌いになるケースが多いのですが、時々向こう
から“是非観に来なさい”と声をかけてくれることがあります。池口史子と
パウラの絵がそうでした。不思議な縁です。

投稿: いづつや | 2006.02.04 13:53

to 自由なランナーさん
パウラ展は最初、宮城県美で開催されたんですね。葉山が終わると
栃木県美に巡回するようです(4/2~5/28)。

パウラがもっと生きていたら、沢山の名画を描いたような気がします。
天は時々むごいことをします。人物画では母親の大きな手にはっと
する“乳飲み子と母の手”と“眠るこども”に惹きつけられました。

近代の画家ではルノワールやモネが描いた子供がお気に入りだった
のですが、パウラのもいいですね。単純なフォルムとマチエールの見事さ
に感動します。

投稿: いづつや | 2006.02.04 14:12

神奈川県立美術館葉山でのポスター観た時から惹かれ、
栃木県立美術館に巡回したので喜んで行きました
この人が、何故今まで知られていなかったのかと思いました
ドイツ年ありがとうです

投稿: えみ丸 | 2006.05.13 21:34

to えみ丸さん
画家との出会いは偶然であることが多いですね。今年、事前の情報が全く
無く、作品を見てびっくりした女流画家は洋画ではバウラ、日本画ではつい
最近みた陳進です。バウラの女性の肖像画は大変魅力がありますね。
栃木で展覧会を楽しまれてなによりです。

投稿: いづつや | 2006.05.13 23:20

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受信: 2006.05.13 19:50

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