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2006.02.01

日本橋絵巻展 その2

290先週、小学館から出版されたアートセレクションシリーズ、“熈代勝覧の日本橋”(06年2月)は“日本橋絵巻展”(三井記念美術館)の鑑賞に格好の手引本だ。

早速、購入し、これを携えてまた入館した。もちろん、展示替えで後期(1/31~2/12)に出品される極上の浮世絵をみるためでもある。

拙ブログ1/7に前期のことを書いたが、“熈代勝覧”(きだいしょうらん)と“江戸名所
図屏風”(出光美)は通期の展示となっている。今回は洛中洛外図屏風(舟木本)
をみたときのように、本にピックアップされた場面を確認しながら12メートルの
絵巻を楽しんだ。洛中洛外図と較べると、この風俗画は画面の状態がとてもいい
ので目疲れがまったくない。目線を一定にして大勢の人が往来する通りを横に
移動するだけでいいので、見るのが楽。

前回もじっくり見たので、どんな人が歩いているか、通りに並ぶ店の商売は何か、
往来する人々の混雑度などはわかっているが、情報満載の解説本がある分、
今回は理解度が格段にいい。まさに“へえー、へえー”の連発。小沢弘、小林忠
両氏によるこの江戸の町アラカルト本はいろんなことを教えてくれる。

例えば、右は春の風物詩、十軒店の雛市の場面。ここは日本橋付近についで
人が大勢集まっている。本石町の両側に十軒ほどの外売りの仮店が並んだのが
“十軒店”のいわれらしい。毎年三月の雛祭りの十日くらい前から雛人形を売る市が
たつ。大変な賑わい。ここには興味深い解説が2,3ある。右中央の車椅子に乗っ
てるのは、江戸患いといわれた脚気に悩む人。白米を食べるのが江戸っ子の
自慢だが、そのためビタミンB1が不足して脚気になる者が多くなった。

雛人形を飾り付けてる左の店の後ろに、二八蕎麦屋“三河屋”がみえる。問屋街
に買い物客やおのぼりさんが来るのを見込んだ食べ物屋。もとは屋台。名前の
由来は“二八、十六文”から。蕎麦の値段は一文を30円として、480円くらい。
これはリーズナブル。

この本のお陰で商売のこと、店舗の特徴、往来する人の服装、女性の髪の形など
がよく分かった。古い時代のことを頭に入れる場合、書籍のような文字情報よりこう
した絵の方が役に立つ。次回江戸物小説を読むときは状況設定をイメージしやすく
なるのでは思う。収穫の多い展覧会であった。

なお、以前出たアートセレクションをみたら、出光美術館所蔵の“江戸名所図屏風”
にも同じように編集された本があった。内藤正人著“大江戸劇場の幕が開く 江戸
名所図屏風”(03年9月)。本が出版されるということはそれだけ風俗画のなかに
情報が詰まってる証。前期、“江戸名所図”もかなり時間をかけて、描かれてる
場面を目に焼き付けてたので、この本で理解がさらに深まった。

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» 煕代勝覧 [Art & Bell by Tora]
煕代勝覧は、1月に江戸博物館でみた。これはエプソンの精巧なコピーだったが神田今川橋から日本橋のかけての江戸時代の賑わいを描いた絵巻物で、これに想を得た壁画が東京江戸博物館へのアプローチに描かれている。 その壁画に「時の鐘」が描かれていたので、《Art & Bell》というタイトルのこのブログにふさわしい話題と考えて 小文を書いた。 三井記念美術館の開館記念特別展Ⅱ《日本橋絵巻》にベルリン東洋美術館からこのホンモノが来ているとのことであったが、エプソン・コピーを見た後だし、細かくてゆっくり全... [続きを読む]

受信: 2006.02.03 17:50

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