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2006.01.30

アラビア書道

288先週訪れた“アラビアンナイト大博覧会”(国際交流基金フォーラム、1/31迄)で新しいアートとの遭遇があった。それはアラビア書道。

昨年末、この展覧会の存在を偶然知り、アラビアンナイトやイスラム文化のことが手っ取り早く分かるいい機会なのではというごく軽い動機で足を運んだ。

会場は地下鉄銀座線“溜池山王駅”12番出口すぐのところにある赤坂ツインタワ
ービル1階。アラビアンナイト誕生の歴史をイラスト入りのパネルでざっと頭の
中に入れ、フランス人、ガラン(1646~1715)が翻訳した“千一夜”(1704~
1717)の初版本やアラブの風俗、女性の衣装などが展示してあるコーナー
を見た後、これで終わりかなと一息ついてたら、アラビア文字と美しいフォルムで
構成された現代アートのような右の作品(部分)が目に飛び込んできた。

アラビア書道の作品らしい。アラビア文字が全く分からないので、この青で描か
れた部分がデザインなのか文字なのか区別がつかず、文字の意味するところや
書道家の表現したいイメージが充分に伝わってこないが、芸術作品として充分
感じることはできる。この書はイラク生まれの書道家の作品(00年)であるが、
その隣にあった中国人の最新作(04年)にとても惹きつけられた。波濤のような
形がシャープな黒の線で描かれている。線がシャープで繊細に見えるのは鋭い
ナイフ状の筆先を使っているから。瞬間的に京博でみた狩野山雪作、“雪汀水禽
図”の波の文様が頭をよぎった。

アラビア書道のもつ高い芸術性が世界的な関心を呼んでいるそうだ。で、ネットで
いろいろ調べてみた。日本におけるアラビア書道の第一人者、本田孝一さん(大東
文化大学教授、1946年生)の作品が昨年、大英博物館に買い上げられたという。
“神の顔”と題する三部作は鮮やかな赤、青、緑の地の上にアラビア文字が左右
対称に配置されている。堂本尚郎の“宇宙Ⅰ”を連想させるような新しいアート感覚
の書である。

4月にこの書道家の作品集が出版されるとのこと。東博の“書の至宝展”と“雪汀
水禽図”、この二つの文化記号がアラビア書道を導いてくれた。アラビア書道に
はまるかもしれない。

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コメント

国際交流基金情報センターの麦谷真理子と申します。“アラビアンナイト大博覧会”にお運びいただき、ありがとうございました。
アラビア書道の本多孝一先生には、昨年の『遠近』(をちこち、と読みます。国際交流基金が2ヶ月に1回発行している雑誌です)に、「神聖な書を美しい文字で」というご寄稿を頂きました。その号は、「知られざるアラビア世界」というタイトルで特集を組んでおり、表紙も本田先生の作品を使わせていただいております。もしよろしければ、是非、ご一読いただければと存じます。詳しくはリンクさせていただいたURL先の国際交流基金HPをご覧くださいませ。それでは、突然にお邪魔し、また宣伝にて恐縮でございますが、ごめんくださいませ。

投稿: 『遠近』編集部 | 2006.01.30 23:19

to “遠近”編集部さん
絵のようなアラビア書道に魅せられました。いつか機会があれが本田
孝一さんの作品を直にみたいと思います。ご案内のありました本田さん
が貴センターの雑誌に書かれた記事を読まさせて頂きます。タイムリーな
情報を誠に有難うございました。これからも宜しくお願いします。

投稿: いづつや | 2006.01.31 18:04

 いづつやさんのプロフィールに、次元が違いますが共通点を感じました。(失礼な言い方ですが・・・・)
広範囲にわたる人間の芸術・文化を語られる貴兄の文章を、自分も鑑賞しているごとく、楽しく拝見しております。
偶然に出会ったブログときどき訪問させていただきます。
ご健筆をお祈り申し上げます。

書道と言うことで、全く関連はありませんが、思い出したエッセイを読んでください。

『心に響く歌・書』

 夏休みに、新潟市の會津八一記念館を訪ね、特別展「春日野 會津八一と杉本健吉」を鑑賞した。来館者名簿に丁寧に墨書したが、その墨の香りが館内にかすかに漂い、心地よく妙に心が落ちついた。静かな空間で日本のふるさとの心を探ることができた。
 八一の短歌と健吉の絵画の合作の意義を考えた。歌は文字から左脳に、カット画はイメージから右脳に働き、そうした調和のとれた芸術の素晴らしさが感じられた。
 何事にも師があり、上達には守、破、離のプロセスを経るのが普通だが、八一の書は独創を重んじ、自ら工夫し作り上げたという。彼の書には、裏に隠された重々しい文化人の目が感じられたが、同時に、鑑賞する側にも心がなければならないと痛感した。
 数年前から各地の美術館、歴史館等を訪ねる旅を楽しんでいる。夫婦でささやかな豊かな時を共有しながらいつも勉強しなければと思っている。      (1899.8)

投稿: 会津マッチャン | 2006.01.31 22:30

to 会津マッチャンさん
日本の書にもアラブ書道のようなのもあると聞きました。創作的な
書道家がいるようなので、いつか見てみようと思ってます。

好きな版画家、棟方志功の作品を定期的にみてますので、書に多少は
接することがありますが、作品としての書には詳しくありません。会津
八一は名前はどこかでみたような気がしますが、書のことは残念ながら
知りません。書の至宝展(東博)とアラビア書道のお陰で書への興味が
涌きかけてるところです。

投稿: いづつや | 2006.02.01 09:43

 志功の話が出ました。数年前に、青森市の志功記念館を見学しました。その時の思いです。

「圧倒された志功の版画」
 青森市に念願だった棟方志功美術館をたづねた。私の彼への思いは、以前テレビで見た版画制作中の、圧倒されるエネルギッシュな姿だ。強度の近視のため板に顔をくっつけるようにして猛スピードで作品を彫っている姿は天才人間、志功そのものであった。周囲の文化人は、「志功君は奇人」、「熊の仔のよう」、「初々しさは縄文時代から迷わず出てきた人のよう」などと世界の版画家の印象を語っているが、私もその人間的な魅力に取り付かれ、尊敬の眼で彼の作品を見てきた。
 作品の解説から、志功の生まれつき多量な「自己」や彼の「板画」「倭画」「柵」などの造語を知った。志功は版画を板の魂をじかに生みだす「板画」と呼んだ。また多くの作品名に付けられた「柵」は、生涯の道標として一つ一つをそこに置いていくと言う意味で使ったが、これらは私にとって共感した生きた語だった。
 心の遍歴そのものである志功の作品のすべてに圧倒され、あまりに多くのことを学んだ。
                (2002.10)

投稿: 会津マッチャン | 2006.02.01 17:22

to 会津マッチャンさん
過去、棟方志功の展覧会は見逃さず出かけてましたので、代表作の
相当数が済みマーク付きです。今は鎌倉にある棟方板画館で開催され
る年4回の企画展で生命力あふれる志功の絵を楽しんでます。
近々、またクルマを走らせることにしてます。いつか、青森の棟方志功
美術館を訪問したいと思ってます。

投稿: いづつや | 2006.02.01 19:57

大変ご無沙汰しております。国際交流基金の雑誌『遠近』(をちこち)の麦谷です。
本田孝一先生の作品集『アラビア書道の宇宙』という本が白水社から出版されたそうです*。(ただ、とてもお値段が高いのと、Amazon**では在庫切れとなっているので-一時的なものだと思いますが-、その点、予め申し添えます。)

実は、本田先生から国際交流基金図書館に1冊ご寄贈いただいたものを、私も手元で拝見したのですが、(不勉強でアラビア語の文字は読むことができながらも)本当に美しい本で心が洗われるようです。どのような経緯で本田先生がアラビア書道の道に進まれたのかも読むことができます。

ご参考までに、お知らせ申し上げます。

* http://www.hakusuisha.co.jp/FMPro?-db=shosekidata.fmj&-format=detail.html&ISBN=4-560-02706-4&-Find
** http://www.amazon.co.jp/gp/product/4560027064/ref=sr_11_1/250-4561292-4726637?ie=UTF8

投稿: 『遠近』編集部 | 2006.10.02 11:57

to “遠近”編集部・麦谷さん
本田氏の本をご案内いただきまして誠に有難うございます。アラビア書道の
美しさにKOされましたので、早速本屋に行ってみます。これからも新しい
情報がありましたら、宜しくお願い致します。

投稿: いづつや | 2006.10.02 15:53

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こんにちは、松岡です。 おとといの1/31(火)、国際交流基金フォーラムで開催されていたアラビアンナイト大博覧会に行ってきました。 さんざん行こう行こうと思っておきながら、行ってみたら休館だったり、すでに閉まっていたりで不運続きでしたが、その日で最終日でしたので見られてよかったです。 たくさんの方が、ブログでアラビアンナイト大博覧会について感想をくださっていました。 どうもありがとうございました m(_ _)m 「あ、もうおわっちゃったの!!」 という方も、もしかしたらいらっ... [続きを読む]

受信: 2006.02.02 17:00

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