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2006.01.19

湯女図

278MOAの今年最初の展覧会は“浮世絵展”(1/25まで)。出品作は前回と多少ダブルものの、狙いの風俗画や肉筆画があるので、熱海までひとっ走りした。

肉筆画で注目してるのは今回出ている風俗画2点と菱川師宣、宮川長春、勝川春章の絵。ここには菱川師宣のいい絵がある。昨年は鬼の酒天童子を源頼光らが退治する話を12枚の揃物に描いた“大江山物語”を見た。

今回は“江戸風俗絵巻”と“見返り美人図”がでた。“江戸風俗絵巻”の見所は
男や女の着ている衣装の色と柄。赤や薄緑、紫の綺麗な着物を身に着けた女性
が男たちと楽しそうに遊んでいる。これだけ色彩が鮮やかな風俗画はなかなか
見れない。東博と同じレベルの師宣を所蔵しているのだからすごい。

“見返り美人図”は菱川師宣の代名詞となってる東博のものとは異なるポーズ。
例のお尻をこちらにむけて、後ろを振り返っている姿ではなく、正面から捉えられた
女は顔を左後ろに向けている。名前は同じでも頭のなかにカッチリ記憶されてる
いつもの見返り美人のほうがやはりいい。一番のお目当ては右の“湯女図”
(ゆなず)と雲谷等顔作、“花見鷹狩図屏風”。

“湯女図”(重文)は風俗画を代表する作品の一つ。前々から知ってはいたものの、
巡り合わせが悪く、見る機会がなかったがようやく対面できた。江戸の寛永年間
(1624~1642)に流行した湯屋で客の垢を流したり、酒や食事プラスαの
相手をした湯女が6人いる。2人をのぞいてふっくら型の顔を横から描いている。
ポーズのとりかたがいいのか長身にみえる。背景は何も描かれてないので、目
は自然と着ている着物の柄にいく。

真ん中の女は大きな桜の柄の衣装をまとっている。こんなに大きな桜の文様は
みたことがない。普通のサイズでは目立たないから、“エイー、私はなんと言われ
ようとビッグなのでいくわよ”という感じだろうか。その後ろにいる女のは鳥の柄。
左から二人目の湯女の着物には、篆字(てんじ)風の“沐”字が入っている。
元気がよく、きっぷのいい女が多い湯女は仕事を離れるとこんな格好で町を歩い
ていたのだろう。当時の様子が伝わってくる風俗画の名品である。

湯女の仕事ぶりが見られる絵が現在、三井記念館で開催中の“日本橋絵巻展”
(2/12まで)にでている。それは八曲一双の大き屏風、“江戸名所図屏風”
(出光美所蔵)。湯屋で多くの湯女が客の体を洗ったり、髪を梳いたり、整髪した
りする場面が描きこまれている。熱心に見ればすぐわかるハズ。

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コメント

去年はパリで大きな浮世絵の展示会が多く開催されました:グラン・パレ、ギメ美術館、パリ日本文化会館(広重)。。

浮世絵は早くに価値を見出したアメリカやヨーロッパに多数流れてしまったようですが、この展示会には海外から借りたものもあったのでしょうか?フランスには「うちに日本の版画を見に来ませんか」という(あまり上品ではない)成句まであるんですよ。

投稿: あかね | 2006.01.28 01:22

to あかねさん
江戸の初期に描かれた風俗画を今年の美術館めぐりのターゲットに
しているのですが、幸先よくこの“湯女図”を観れました。

パリのギメ美術館で昨年夏開催された浮世絵展は東京、原宿にある浮世
絵専門館の太田記念美術館が開館25周年を記念して1~2月に展示した
作品をそっくりそのままもっていったものです。拙ブログ1/5、2/8で取り上
げましたが、名品のオンパレードで大変感動しました。

この1月、NHKで興味深い浮世絵の番組をやっていました。日本に住むフラン
ス人漫画家が現在の浮世絵師を訪ねて浮世絵の技法などを教えてもらうと
いう趣向ですが、情報一杯で浮世絵への理解が進みました。番組の最後、
それまで日本語で喋っていたのがフランス語にかわり、フランスでイメージさ
れてる浮世絵のことを語ってました。それによると、ほとんどのフランス人は
浮世絵というと春画を思うそうですね。そして、あかねさんが言われる誘い
の文句を引き合いにだしてました。

パリには、ギメをはじめとする有名美術館や浮世絵専門の画商のもとに
質のいい浮世絵が沢山ありますから、風景画、美人画、北斎漫画を一般
の人も楽しんでいるのではと思ってましたが、こうした浮世絵はまだまだ通の
愛好家だけのものだったのですね。因みに、1850年代、フランスに渡った
はじめての浮世絵は“北斎漫画”だったと言われています。

現地で話題になったかもしれませんが、ギメ美術館で葛飾北斎が90歳
ころ描いた最晩年の“龍”の肉筆画が見つかったようですね。4年前寄贈
され、倉庫にあった掛け軸を太田記念館の副館長が鑑定したところ、ギメ
の“龍”と太田の“雨中の虎”が一双(ペア)だったとのこと。

07年、これを“龍虎図”として、太田記念館と大阪で一般に公開するようです。
“龍”は大傑作ということなので是非みたいですね。昨年10月の北斎展
(東博)は大混雑でしたが、これにも大勢の人が見にくるような気がします。
世界のHOKUSAIですから、日本にいる外国人も北斎展のように沢山駆け
つけるのではないでしょうか。

投稿: いづつや | 2006.01.28 10:30

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