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2006.01.27

狩野山雪の雪汀水禽図屏風

285現在、京博の平常展(1/29まで)に展示してある絵画は日本画が好きな人にはたまらないのではなかろうか。2階に飾ってある近世絵画を観たくて新幹線に乗った。

大きな屏風が4点あり、どれも見ごたえがある。狩野山楽の“龍虎図”、狩野山雪の“雪汀水禽図”、円山応挙の“雲龍図”と“群鶴図”。“群鶴図”以外は重文。

このなかで一番見たかったのが右の“雪汀水禽図”(せっていすいきんず)。04年、
京都の寺社にある非公開文化財の特別公開があったとき、妙心寺の天球院で
山雪が描いた“梅に遊禽図襖”をみて、たちまちこの絵師にはまった。この頃、どう
してこんなシュールで幾何学的な画面構成の絵が生まれたのか不思議でなら
ない。狩野派の伝統を引き継ぐ同世代の狩野探幽は垂直に折れ曲がる梅や対角
線に対象物をおくような絵は絶対描かない。狩野山雪が美術史家辻惟雄氏に“奇想
の絵師”と呼ばれるゆえんである。

その山雪の代表作として評価が高いのが“雪汀水禽図”。六曲一双の大きな屏風。
思わず、“おおー、凄い!”とのけぞった。右は左隻の真ん中あたり。まず、波に
感動する。波濤が立体的で流れ動いているように見える。加山又造の“千羽鶴”に
描かれたトポロジー的な波文はこの絵に触発されたのではないかと思った。
波頭は胡粉で盛り上がり、その上に銀箔が貼ってある。

この装飾的な波と手前にある松の葉に積もった美しい粉雪をみると琳派の世界で
はないかと錯覚する。雪のかかった松の葉は酒井抱一が描いた“雪月花図”(MOA)
と雰囲気がそっくり。金雲のなかを雁行する千鳥は白い腹をみせてる一群と背中
をこちらに見せる一群がきれいに逆S字をつくっている。工芸的な技法と幾何学的な
構図で月に輝く波と空を飛翔する鳥を見事に表現した傑作を見れて最高の気分。

屏風で昂揚したテンションを保ったまま隣の部屋にいくと、今度は伊藤若冲のいい
掛け軸が待ってくれていた。一度みたことのある“捨得と鶴図”とはじめての“墨竹
図”と“伏見人形図”。“捨得と鶴図”は若冲得意のユーモラスな絵。真ん中のこち
らに背を向けた捨得の頭は河童のよう。右にはお決まりの肥った鶴がいる。子供の
姿と赤の衣装が印象的な“伏見人形図”も面白い。

パスポートチケットを使ったので、この平常展はお金を払わなくて済んだ。満足感
一杯で館を後にした。

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