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2006.01.13

川端龍子の金閣炎上

272川端龍子の名画を求めて茨城県の北にある五浦美術館までドライブした。常磐道をいわき勿来ICまで走るのははじめて。美術館には自宅から2時間半で着いた。

ここで今、昨年江戸東京博物館であった“川端龍子展”が開かれている(2/19まで)。東京展でいい絵に沢山出会い、満足度は高かったのだが、東京会場に出品されなかった絵でどうしても見たいのがいくつかあったため、再度
足を運んだ。高速料金はかかるものの、滋賀県立美術館(4/11~5/21)に出か
ける費用と較べれば安いもの。

東京で観たものはどんどんパスして、お目当ての絵をめざした。入ってすぐのところ
に一番観たかった“天橋図”が飾ってある。長らく追っかけていた絵にあっさり出会
った。図録で見る以上に感動する。上空からみた天橋立が俯瞰の構図で縦長に描か
れている。両サイドの海岸線に打ち寄せる白い波と金泥が使われた群青と緑青の
交じりあう海が実に美しい。装飾的ではあるが、波の音が聞こえてくるような実在感
がある。真ん中の松は横からの視点で描かれているので、松林が立体的に見える。
巧みな画面構成である。ちなみに、日本画を鑑賞するとき参考にしている“昭和の
日本画100選”(朝日新聞社、1989年)には、この絵と“愛染”(足立美術館)が入
っている。

ほかの作品では、定期的に通っている龍子記念館(大田区)の所蔵でまだ、見て
なかった“龍子垣”と“小鍛冶”に魅せられた。描かれた題材により、龍子の特徴であ
る大作の魅力がこれほど発揮されている絵はない。“龍子垣”の左右に配された
白梅と藤の花、その間に組まれた竹垣を唖然としてみていた。竹の質感に全く驚か
される。

この2点と同じところに展示してあった右の“金閣炎上”を9年ぶりにみた。何度見て
も凄い絵である。これを描いた川端龍子はショッキングな事件に接し、絵心魂がめ
らめらと湧き上がったのだろうが、観る者は絵のもつ強烈なパワーに圧倒される。墨
で描かれた周りの木々が一層、炎に燃える金閣寺を浮かび上がらせ、空から降り
注ぐ雨が白い線となって、生き物のように金閣寺を焼き尽くす炎と木立のなかに消え
ていく。“金閣炎上”は平山郁夫が広島の被爆を描いた“広島生変図”とともに炎を
表現した絵の傑作。遠くまで出かけた甲斐があった。

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コメント

いづつやさん
こんばんは、五浦行かれましたか。
「金閣炎上」は、あの炎の凄さに圧倒されました。あそこまで描けるというのは本当に凄い。
それと、「草炎」を見にもう一度いこうかどうしようか、悩んでおります(笑)。

投稿: イッセー | 2006.01.17 02:37

to イッセーさん
水とか炎とか、形の無いものを表現するのは難しいと思いますが、
“金閣炎上”の炎は凄い迫力ですね。久しぶりに見て、感動しました。

イッセーさんは東京展で“草の実”を観られなかったのでしょうか?“草炎”
はこれとほとんど同じですが。構図的には“草炎”のほうがいいですね。
2年前の琳派展に出品されたとき、この絵を気に入った人が多かった
のを覚えてます。

後期にでてくる京近美所蔵の“佳人好在”、“曲水図”がよさそうですね。
“佳人好在”は2回みたことがあるのですが、“曲水図”には縁がなさそう
です。9年前も展示替えで観れませんでした。

投稿: いづつや | 2006.01.17 16:03

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